FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の二学期

第四十一話 不満爆発

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 来る予定の無かった春樹を除けば、今日の監視役は杏奈のみだ。そのせいか、魚子は遠慮のない口ぶりで激しく指南を繰り返す。
「何度言ったら分かるの」
 書道教室に怒声が響く。
「ごめんなさい」奈緒はびくりとして、反射的に謝った。
「1 2 3 4、じゃないの。1エン2エン3エン4エン。&を取らなきゃダンスにならない」奥ぶたえで細い切れ長の目でこの子を睨む。
「はい。分 か り ま し た」
 おびえながら返す奈緒は、言われた通りのつもりでバウンズするが、その姿を見やって、魚子がため息をついた。
「体が硬い。指圧行ってんでしょ。なんでそんなに硬いの。関節はばらばらにして。膝を沈ませたら、あとから他がついてくるようにして。戻す時も同じ。膝をあげたら、それに押し上げられるように、腰、背中、肩、首って持ち上げていって」
 そう言って、順々にこの子の体の部位それぞれを手のひらではたいてきた。そうしてまた怒鳴る。
「そうじゃないよ。どうしてかくかく動くの。トランポリンみたく溜めて溜めて弾んで」
「全然ためだね。年寄りの屈伸みたい」暖乃が笑う。
「ちっ、ずっとバウンズしてろよ」
 魚子は吐き捨てて、パワームーブの練習に戻る。それを見送った奈緒が杏奈を見やったが、彼女は今のやり取りを気に留める様子も無く雑誌を読んでいた。
 仕方なさそうに背を向けたこの子は、一人ぼっちで練習を再開するが、すぐに「もうだめだぁ。疲れたから休憩しな くっちゃ」と言って、リュックの上に置いてあったなにやらを取って立ち上がると、後ろを向いた。
「とんとん、とんとん」
 そう呼びかけながら、杏奈のそばに歩み寄る。
「これ、やってください。これ、やってください」
 差し出したその手には、晴信餅の小さな包みが一つ乗っていた。雑誌をめくりながらちらっと見やった杏奈は、鼻で息を吐いて仏頂面で雑誌を閉じて向き直る。
「なんでも自分でやれるようにならなきゃだめだよ」
 言い終わると、笑顔になって奈緒を見上げ、優しく続ける。
「今はわたしたち友達がいるからいいけど、卒業したらどうするの? お母さんやお父さんにずっとしてもらうわけにもいかないでしょ? 人に頼らないことを覚えなきゃ」
 奈緒は困った顔をして黙り込む。


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