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一年生の三学期
第七十六話 あきらめムード
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しばらくすると、務と杏奈が走ってやって来て、奈緒たちに合流した。
さすがはバレー部の二人。春樹もそうだったが、長いこと走り続けていたはずなのに、たいして息が上がっていない。
すぐに気がついて、杏奈が嘱目する。
「ん? 高木君、なんで成瀬さんのボア着てるの?」
「いや、なんかこいつ暑いって言いだして、途中で預かったんだけど、抱えてんの大変だからさ」
「ああ、なるほど」
「でもこれほんと暑い。すんげー熱こもんの。奈緒のやつどんだけ寒がりなんだ? 下にあれだけ着て、さらにこれ着てるなんて信じらんねー」
春樹が奈緒を見やると務と杏奈も見やる。
その視線を感じ取ったのか、この子が顔を上げて、きょとんとした様子で言った。
「そういえば、本入れた袋なくした」
「ああ、それならほれ、俺が持ってる」春樹はそう答えて、左手に持つ紺のトートバッグを掲げた。
それを見てお礼を述べた奈緒が、自分の体を見まわして続ける。
「あら? わたし、色々ない気がする。気のせいかな?」
「そりゃ、気のせいじゃねーだろよ。片っ端からないだろうな」
そう言って、腕を広げで見せた。
「まず、このボアだろ。[右手の]てさげに[左手の]トート。それに[左腕にかけた]ワイシャツ二枚」
「ほんとだ、なんでわたしの持ってんの? どろぼー」
「お前が持たせたんだろう―が。暑いって言って」
「ほうか、寒いから返して」
「げんきんなやつだなぁ」
春樹が、洋服を奪い取る奈緒に言葉をぶつける。
「よーいしょ、よーいしょ」と一生懸命にアウターを着こんでいく少女をしり目に、務がスマホを見ながら春樹に言った。
「僕たちは、まず平塚公園に行って、そのあと、中延一丁目特定児童遊園と中延児童遊園を経由して、ひらさん広場とたけのこ公園を見てきたけど、それらしき人物はいなかったよ」
さすがはバレー部の二人。春樹もそうだったが、長いこと走り続けていたはずなのに、たいして息が上がっていない。
すぐに気がついて、杏奈が嘱目する。
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「ああ、なるほど」
「でもこれほんと暑い。すんげー熱こもんの。奈緒のやつどんだけ寒がりなんだ? 下にあれだけ着て、さらにこれ着てるなんて信じらんねー」
春樹が奈緒を見やると務と杏奈も見やる。
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「そういえば、本入れた袋なくした」
「ああ、それならほれ、俺が持ってる」春樹はそう答えて、左手に持つ紺のトートバッグを掲げた。
それを見てお礼を述べた奈緒が、自分の体を見まわして続ける。
「あら? わたし、色々ない気がする。気のせいかな?」
「そりゃ、気のせいじゃねーだろよ。片っ端からないだろうな」
そう言って、腕を広げで見せた。
「まず、このボアだろ。[右手の]てさげに[左手の]トート。それに[左腕にかけた]ワイシャツ二枚」
「ほんとだ、なんでわたしの持ってんの? どろぼー」
「お前が持たせたんだろう―が。暑いって言って」
「ほうか、寒いから返して」
「げんきんなやつだなぁ」
春樹が、洋服を奪い取る奈緒に言葉をぶつける。
「よーいしょ、よーいしょ」と一生懸命にアウターを着こんでいく少女をしり目に、務がスマホを見ながら春樹に言った。
「僕たちは、まず平塚公園に行って、そのあと、中延一丁目特定児童遊園と中延児童遊園を経由して、ひらさん広場とたけのこ公園を見てきたけど、それらしき人物はいなかったよ」
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