FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の一学期

🐿️

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 他愛もない会話が続くのをしばらく聞いていた奈緒が静かに一歩踏み出そうとした時、おばあちゃんが真顔じゃないと出せないような真剣な声音になって話し始めたので、この子は思わず振り返った。
「そういえばあんた、さっき嫌われているって言っていたけど、どういうことだい? 前、あの……あそこから戻った時も、電話でわたしのおかげだなんておかしなこと言っていたけど、まさか親子でちゃんと話していないじゃないだろうね」
「児相にいたことは隠してないから、向こうを気にしなくていいよ。お父さんとはあまり話していない。話そうにも、顔を合わせればすぐに視線を逸らして無視してくるし、いつもごろごろしてて、お酒の無心しかしてこないから……」
「そうなの。情けない人だね、あの人も。こんなに可愛い娘をほったらかした上に、いらない心配までさせて、ほんと呆れるよ。本当は大好きで大好きで堪らなくて、離したくないくらい大切に想っているくせにねぇ」
「ふっ、お父さんが?」南が鼻で笑って、悲痛交じりの自虐的な声を漏らす。
「しょうがないから代わりにわたしから言っちゃうとだね、あなたが児童相談所から学園に送られるのを拒んだ時ね、わたしが引き取ってもいいですよって、恭介さんに言ったのよ。でも恭介さん、あれは俺の娘ですから自分のそばで育てたいですって言うの。自分がお酒におぼれて南には寂しい思いをさせたけれども、あいつのために断酒して、また料理業界に復帰して、詩織との夢を追いかけて必ず果たしてみせます、そうすることであいつが更生する道しるべになるんだって真面目に話していたのよ。南はお母さんのこと、自分のせいだなんて思っているんだろ? そんなことないよ、お父さんもわたしもそんなふうに思ったことなんてないし、ましてや詩織なんて後悔のこの字もしていないはずだよ。現にあのあと恭介さんは、児童相談所の担当の方から、学園の寮に入れるほうが得策だなんて言われていたみたいだし、わたしも職員の人から説得してくれって頼まれて会って話したけど、あの人は、娘が帰宅を望むのであれば、自分が頑張って成人させますって言い張って、わたしや職員さんたちの助言を断固として拒否したの」
 南が、信じられない、といった声で話を止める。
「そんな感じじゃなかったよ。家に帰る時だって迎えにも来てくれなかったし。児相の先生に新しい住所が書かれたメモ渡されて、一人で荏原中延まで行ったんだもん。家についてからだっておかえりの一言すら言ってくれなかったし、そもそもすんごい酔ってて、鍵あけたあとすぐに布団にもぐって寝ちゃったから、わたし知らない家に放置されて、一人でごはん食べて和室に布団敷いて寝たんだよ。その日一度も会話なかったくらいの扱い」
「ごはん食べたって、用意はしてあったってことでしょう?」
「あ――そういえばそうだ……雑な感じのトマト煮とかがいくつかタッパに入って冷蔵庫に置いてあったから、それ食べたんだ。味は美味しかった。お父さんの味だった」












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