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二年生の一学期
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おばあちゃんが笑う。
「あんなのんべえになってしまったけど、詩織が生きていたころは、ずいぶんと仲睦まじい夫婦だったねぇ。恭介さんのほうが詩織より子煩悩だったくらいだよ。あなただって、お父さん、お父さんって懐いていて、詩織が妬くくらいでしたからね」
南は、ふしぎそうな声を発する。
「おばあちゃんって、お父さんのこときらいだって思ってた」
「嫌いってことはないですよ。どっちかっていえば放っておけないというか、感謝していますよ。なんせ、娘の死をあれほどまでに悼んでくれるんですからね。亡くなってからだいぶ経つけど、いまだに想ってくれていることは、南の話からよく分かる。それに畢竟、わるいほうには転んでいない。なんだかんだいって、あなたは健全に成長してくれているでしょう? 自分で自分を思い返してみれば、それは実感するでしょうね。だだ、お父さんのことにしろ、お母さんのことにしろ、面と向かっての話し合いの場を設けなかったことで、あなたを傷つけてしまっていたのなら、それはわたしにも責任はあるし、あなたに申し訳なく思う。お酒に溺れていつまでも立ち直れない恭介さんを見ていて失望しつつも、いつか立ち直ってくれるんじゃないかって希望もあって、なるべく小沢家には関わろうとはしてこなかったけれど、それが却っていけなかったのかねぇ。ほら、男の人って女からとやかく言われるのを嫌うでしょ、だから放っておいたの。まあ最近じゃ、男女平等っていって、女もとやかく言われるのを嫌うけどねぇ」
南が、少し考えこんだ時のような呆けた間を空けて言った。
「おばあちゃん、さっき言ってたお父さんたちの夢ってなーに?」
「ああ、実はね、恭介さんと詩織が結婚する前に考えた計画があったの。将来この家に引っ越してきて、家族みんなで黒磯料理のレストランを開いて、黒磯のよさを世界に広めようって。確か名前は――KUROISOダイニング」
「大きく出たね」
「そうね。挨拶しに初めて家を訪れた時に、わたしがもてなした料理が忘れられなかったんだって。今日出したような料理だから、郷土料理ってわけでもないのに恥ずかしいわよね。でも真剣に考えている様子で、いついつまでにいくらお金貯めて、こんな盛り付けのお料理でお客をもてなすって青写真までえがいていたらしいわ。詩織の話だと、わたしと恭介さんが夫の育てた野菜で料理を作って、詩織が配膳をする予定だったんですって」
「あんなのんべえになってしまったけど、詩織が生きていたころは、ずいぶんと仲睦まじい夫婦だったねぇ。恭介さんのほうが詩織より子煩悩だったくらいだよ。あなただって、お父さん、お父さんって懐いていて、詩織が妬くくらいでしたからね」
南は、ふしぎそうな声を発する。
「おばあちゃんって、お父さんのこときらいだって思ってた」
「嫌いってことはないですよ。どっちかっていえば放っておけないというか、感謝していますよ。なんせ、娘の死をあれほどまでに悼んでくれるんですからね。亡くなってからだいぶ経つけど、いまだに想ってくれていることは、南の話からよく分かる。それに畢竟、わるいほうには転んでいない。なんだかんだいって、あなたは健全に成長してくれているでしょう? 自分で自分を思い返してみれば、それは実感するでしょうね。だだ、お父さんのことにしろ、お母さんのことにしろ、面と向かっての話し合いの場を設けなかったことで、あなたを傷つけてしまっていたのなら、それはわたしにも責任はあるし、あなたに申し訳なく思う。お酒に溺れていつまでも立ち直れない恭介さんを見ていて失望しつつも、いつか立ち直ってくれるんじゃないかって希望もあって、なるべく小沢家には関わろうとはしてこなかったけれど、それが却っていけなかったのかねぇ。ほら、男の人って女からとやかく言われるのを嫌うでしょ、だから放っておいたの。まあ最近じゃ、男女平等っていって、女もとやかく言われるのを嫌うけどねぇ」
南が、少し考えこんだ時のような呆けた間を空けて言った。
「おばあちゃん、さっき言ってたお父さんたちの夢ってなーに?」
「ああ、実はね、恭介さんと詩織が結婚する前に考えた計画があったの。将来この家に引っ越してきて、家族みんなで黒磯料理のレストランを開いて、黒磯のよさを世界に広めようって。確か名前は――KUROISOダイニング」
「大きく出たね」
「そうね。挨拶しに初めて家を訪れた時に、わたしがもてなした料理が忘れられなかったんだって。今日出したような料理だから、郷土料理ってわけでもないのに恥ずかしいわよね。でも真剣に考えている様子で、いついつまでにいくらお金貯めて、こんな盛り付けのお料理でお客をもてなすって青写真までえがいていたらしいわ。詩織の話だと、わたしと恭介さんが夫の育てた野菜で料理を作って、詩織が配膳をする予定だったんですって」
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