FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の一学期

第百三十二話 結局の玉ねぎ

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 しばらくして、奈緒が冷めた瞳で対岸を見据える。
「こういの、憧れてた。無理かなって思って たから。うちは 無理かなって 思って たから。お父さんも お母さんも 共 働き だし、あうとどあじゃないから。わたし一人じゃどこにも行けないし」
「そんなこと言うもんじゃないよ。成瀬さんなら出来る。倒れてからまだ二年半くらいしか経っていないのに、なんでも出来るじゃないか。倒れて二年目で高校入ったんだ。すごいことだよ」
 奈緒が光を弾く川面に向かって驚いた顔を示す。やや間があった。
「そうだね、そう 思わなきゃ」
「卒業したって、家近いんだから会えるし」
 奈緒は、きょとんとした様子で務へ振り向いて、大きな瞳をぱちくりさせた。
「いや……みんなで」
 動揺する彼の様子を見て、奈緒が笑う。
「うん、そうだね」
 落ち着きを取り戻してから、務が小さく問うた。
「大学には行くんでしょ?」
「どう だろう」奈緒は困った顔をして、彼の着るジャケットの胸ポケットに視線を落とした。
「もし同じ――」
 務が何かを言いかけた時、杏奈がやって来た。
「なにしているの?」
「うん、石投げ」
 奈緒が答えて、一つ投じた。石は、やっぱり一度も弾まず沈む。
 後ろから、ジュワッっと音がしたかと思うと、牛肉を焼くにおいが漂ってきた。
「うわぁ」奈緒が振り向く。
 すると、それに気がついた南が叫んだ。
「こら、そこの三人、さぼってないで手伝ってよ」
「はぁい」少女は、喜びの声を上げて立ち上がった。
 務がこの子の左手を取り、背中に手を回してエスコートすると、それを霧がかった瞳で見つめていた杏奈が、この男女の間に割って入って言った。
「わたしがするよ。女の子同士なんだから」
「え、あ、ごめん」務が慌てふためいて、場所を譲る。
 困った顔の彼に、奈緒は「ありがとう」とお礼をした。





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