FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の二学期

第百八十一話 亀裂

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 物見遊山に向かう男子たちが黒ガラスのように飛び抜けていく階段を、奈緒は南に見守られながら、「えっちらおっちら」と上ってゆく。
 最上階に向かう踏面を踏み上がりながら、その途中で屋上への開口部を南が見やった。
「人だかりができてる。さすがにもう収まってるとは思うけど、いったいなにが原因だろ?」
「分かんない。心当たりなんて ないし。でも 心配だから急ごう」
 南に背中を押されて最後の二段をのぼりきった奈緒が、出入り口の内側から傍観している何人もの生徒の背中を見渡す。同じ二年と思しきスポーツ刈りの男子が会話しているのが耳翼まで届いて、そのそばに歩み寄る。
「引き分けって感じだな。何度も殴り合ってるわりに決着着かないなんて、意外に不甲斐ないじゃん」
「でも土屋のやつ、おとなしそうなくせしてそこそこ強いんだな」
「高木は意外にそんな強くねぇだろ。あいつパンチ軽そうだし」
 左斜め後ろから奈緒が、ちらりと顔を確認する。もっともらしい口調でちんちくりんな解説をしていたのは、喧嘩している二人よりも弱そうな矮躯の野球部員だった。ちなみに丸坊主。
 背伸びして外を見渡した南が声を上げて、この子を引っ張る。
「まだやってるじゃない。見に行こ。急いで見に行こ。どっちが強いか見届けないと」
「ちょっとぉ、楽しそうにしないでくださぁい。けんかを止めに来たのだから」
「そうか。でも、土屋ってけんか弱そうなイメージだったんだよね。ちゃんとできるなんて、やっぱ男の子なんだって思えて、保護者としては感慨深いんですよ」
「保護されてるくせに」
 奈緒がつっこむと、茶化した言いようの南は「なはは」と笑う。喧嘩に対する二人の認識には、だいぶ温度差があるようだ。
 そしてひと間を置いて、この子が男子たちの腰の隙間に手刀を差し込む。
「すいませんっ、ちょっと とおして ください。ちょっと とおして ください」













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