FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の二学期

🍭

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 そして右にいる春樹に鼻梁を向ける。
「高木だってそうだぞ。バスケで活躍して、全国目指しているんだろ。スポーツマンとしてそんなんでいいのか。場合によっちゃ、部活動を自粛させなきゃならんようになるぞ」
 春樹が、一瞬つらそうな顔をして眉間に皺を寄せる。そして数秒瞳をとじた。
 左右のこぶしを腰にあてがった赤いジャージ姿の男は、身長が百七十二センチある務よりも頭一つ分くらい上にある眼睛で、ぎろりと見下ろしているかのような迫力を背中から滲ませている。後ろ姿しか見えない奈緒や関係ない生徒たちまでもが委縮しているようであった。
 この子が思わず背を向けて逃げ出すと、塔屋の入り口付近まで来て振り返って、追いかけてきた南と共に様子を窺う。理性によってコントロールされた体育教師の怒声だけが響いていて、詰問される務と春樹の声は聞こえてこない。先生の言葉の内容から、二人がなにも答えていないのは明らかだった。
 離散した生徒たちが、逆流する川の水の如く塔屋の開口部に吸い込まれていく。その流れがおさまって、幾人かの生徒が散見されるまでに人が減った頃になって、体育教師は、ようやく二人を開放する気になったようだ。筋肉質な腕に首根っこを掴まれて無理やり歩行させられた春樹が、いやいやながらもこっちに向かって自ら足を動かし始める。
 向かってくる彼に向かって、奈緒は「あっ、あっ」と声を発しておろおろしだした。春樹は、口唇若しくは口腔内が切れているようだ。血がにじんだその口元は、牡丹の花のように生々しいほど赤い。
 奈緒の網膜に映し出されたその姿には、いつものおちゃらけた面影はない。両手をポケットに突っ込み、無頼な歩幅で歩んでくる。友達の存在を無視するかのように通り過ぎて行こうとする彼に、この子はどぎまぎとしながら声をかけようとするものの、暴風を起こすかのような険しい表情を露わにする茶髪男子の目口は、少女の紅唇が発しようとした第一声にその間を与えず、「なんでもねぇ」と一言言い放って、塔屋の中に消えていった。
 追いすがることも出来ずに見送る奈緒のもとに、もう一人の気配が近づいてくる。振り返ると、歩いてくる務が、もうすぐそこにいた。少し鼻血が出ていて、鼻孔を抑える人差し指の甲が鮮血に染まっている。
「あ、務君。ティッシュ、ティッシュあるから、使ってください」
 慌てて胸ポケットからコンタクトレンズの広告の入ったそれを取り出すと、袋のまま全てを差し出す。
 焦燥しきった様子で声を震わせて「ありがとう」と言って立ち止まった務だったが、すぐさま体育教師に背中を押されて、健気な女子との接触を断たれた。有無を言わさず塔屋に押し込まれると、そのまま階段を下りていった。
 杏奈の裏切り、務と春樹の確執。せっかく奈緒が手に入れた安寧を与えてくれるよきグループは、ここに来て乱離骨牌の様相を呈した。











































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