FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の二学期

第百九十話 仲直り大作戦 春樹編

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 大岡山のたこ焼き屋さんの前でメロ・タコ・タピ戦線を戦い抜いて三戦二勝の戦績を収めた翌日の日曜日。奈緒がぷんぷん怒りながら、戸越銀座駅のホームへと降り立った。
「なんで迎えに来たの南ちゃんってば。しかもお母さんから買い食いしないか見張っててねって言われて、はいって言ってた。“ばいしゅー”された、“ばいしゅー”」
「そりゃ、昨日あんだけおやつ食べたら、通達も下ってくるよ。結局おなかいっぱいでお昼ごはん食べられなかったんだから」
「いいよ、アジフライだったから。二人分食べられてよかったでしょ。それより南ちゃんが告げ口したせいで、バナナ食べれなかったんだからね、ぷんだ」
「夜食べたんじゃないの?」
「食べた二本」
「ならいじゃん」
 奈緒が、恍惚めいた視線で天井を仰ぐ。垂木が並ぶ屋根の内側をしんみりと見つめて生唾を飲んだ。
「大学いもを並べたような美味しさだね。おなかすいたからなんか食べる? せっかく戸越銀座に来たんだから」
「せっかくって程じゃないよ、うちから一駅だし、歩いてでも来れない距離じゃないしね」
 どうでもよさそうに、赤ちゃん積み木で作ったかのようなかわいい木のベンチを南が見やった。
「それより、いい作りの駅してるね。荏原中延とか北千束駅って、THE駅って感じだけど、ここは並んでるベンチも可愛いし、壁も木材で出来ていて温もりがある」
「今日は気合入れないと。脳みそ回すために、カフェ寄って行こう。いいカフェあるよ、きっと」奈緒が、期待を込めた笑みを浮かべる。
「そんなに気合入っているとは思えないけどね、どっちかっていうとただのお出かけっていうか、戸越銀商店街をお散歩しに来ましたってノリじゃない。高木を説得するのは口実で、遊びに来ただけなんじゃないの?」
「そんなことないよ。ここ最近、ずっとデイリーズ[カフェレストラン。ファミレス]ばかりだったから、楽しみなの」
「作戦会議した時、北千束のカフェでアイスカフェラテ飲んで、オムライス食べたでしょ」
「そうだけど、十回に九回は一人でデイリーズでしたから」
「昨日とおんなじ格好してるくせに」
「アハハ、もう結局スカートなかった。だからこれでいいやって」奈緒はそう言って、逃げ出すように歩速を上げる。
 この子に続いて改札を出た南が、圧倒されたように己の身を退かせる。
「うおっ、人多い」
「本当。午前中にすればよかったかな? 春樹くんちってどっちだっけ?」
 左右を見やる奈緒に、南が言った。
「右だって言ってた」
「右ってどっち?」
「右って、動かないほうの手」








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