597 / 838
二年生の二学期
第百九十二話 秘められた想い
しおりを挟む
春樹は、苦しそうに歯を食いしばりながら、言葉の粒を落とし続ける。
「まとまりのないクラスをまとめるのに、ウィップスのダンス力を利用しようと考えるのは当然だろう? それに、いじめの中心にいたウィップスを落とせば、いじめ自体がなくなる」
「なぜそこまでしてあいつをかばうのよ。高木…お前、あいつと噂があったよね、もしかしてなにか頼まれたの?」
春樹は、わなわなと震えながら、訥々と声にならない声を舌の上に転がす。絶望に打ちひしがれたような表情をして強張り、身を反らす。
「杏奈は――杏奈は、つっちーのことが好きなんだと思う。それを成就させてあげたい。奈緒が杏奈を許してくれれば、きっとつっちーも許すと思う」
南の表情の端端に見えていた刺々しさがすうっと退いて、代わりに哀れみに似た雰囲気が醸し出される。
「そんなこと聞いているんじゃないよ、言葉を濁さないで。火のないところに煙は立たないっていうよ。あの女に言い寄られて、体と引き換えになにかを頼まれてたって噂があった。そんなの、アンチが仕掛けたうそだって思ってたけど――まさか……」
「違う。事実じゃねぇ。俺が声をかけて、つっちーと仲直りできるように仲介してやるって申し出た。プライド傷つけちまったみたいで、ひっぱたかれて、けんもほろろに断られたけど。でも仲直りさせてやりたいんだよ。あいつはずっとつっちーのことが好きで、ほとんど恋心だけで生徒会活動をまい進させてきたようなやつなんだ。小学校の時から児童会やってて、六年の時には会長やってたっていうから、みんな杏奈のこと強いって思っているんだろうけど、そんなことない。いろいろ活動してきたけど、一人で成し遂げられたことなんてなにもないじゃん。全部つっちーと二人三脚でなしてきたんだ。あいつの励ましやフォローがあったから、進んでこれた道なんだよ。気づいてないだろ、お前と言い争ってる時だって、すっげー足震えてたんだぜ、いつもいつも。そんな弱さや挫けそうな気持をひた隠しにしてやってきたんだ。どれもこれも、ただひたすら好きな人に振り向いてもらうためだけに」
「なぜそこまで――」
口ごもった春樹は、瞬息逡巡すると、弱々しい声を零す。
「……友達だから。今なんとかしてやらないと、あいつ人生だめにしちゃうよ。あいつ親もあれだから、子供の頃からずっとエリートで、挫折なんて経験してこなかったんだろ。ああいうやつほど、ほんとは心がもろいんだよ。一人になったら、立ち直るなんてもう不可能かもしれない」
「まとまりのないクラスをまとめるのに、ウィップスのダンス力を利用しようと考えるのは当然だろう? それに、いじめの中心にいたウィップスを落とせば、いじめ自体がなくなる」
「なぜそこまでしてあいつをかばうのよ。高木…お前、あいつと噂があったよね、もしかしてなにか頼まれたの?」
春樹は、わなわなと震えながら、訥々と声にならない声を舌の上に転がす。絶望に打ちひしがれたような表情をして強張り、身を反らす。
「杏奈は――杏奈は、つっちーのことが好きなんだと思う。それを成就させてあげたい。奈緒が杏奈を許してくれれば、きっとつっちーも許すと思う」
南の表情の端端に見えていた刺々しさがすうっと退いて、代わりに哀れみに似た雰囲気が醸し出される。
「そんなこと聞いているんじゃないよ、言葉を濁さないで。火のないところに煙は立たないっていうよ。あの女に言い寄られて、体と引き換えになにかを頼まれてたって噂があった。そんなの、アンチが仕掛けたうそだって思ってたけど――まさか……」
「違う。事実じゃねぇ。俺が声をかけて、つっちーと仲直りできるように仲介してやるって申し出た。プライド傷つけちまったみたいで、ひっぱたかれて、けんもほろろに断られたけど。でも仲直りさせてやりたいんだよ。あいつはずっとつっちーのことが好きで、ほとんど恋心だけで生徒会活動をまい進させてきたようなやつなんだ。小学校の時から児童会やってて、六年の時には会長やってたっていうから、みんな杏奈のこと強いって思っているんだろうけど、そんなことない。いろいろ活動してきたけど、一人で成し遂げられたことなんてなにもないじゃん。全部つっちーと二人三脚でなしてきたんだ。あいつの励ましやフォローがあったから、進んでこれた道なんだよ。気づいてないだろ、お前と言い争ってる時だって、すっげー足震えてたんだぜ、いつもいつも。そんな弱さや挫けそうな気持をひた隠しにしてやってきたんだ。どれもこれも、ただひたすら好きな人に振り向いてもらうためだけに」
「なぜそこまで――」
口ごもった春樹は、瞬息逡巡すると、弱々しい声を零す。
「……友達だから。今なんとかしてやらないと、あいつ人生だめにしちゃうよ。あいつ親もあれだから、子供の頃からずっとエリートで、挫折なんて経験してこなかったんだろ。ああいうやつほど、ほんとは心がもろいんだよ。一人になったら、立ち直るなんてもう不可能かもしれない」
0
あなたにおすすめの小説
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』
本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」
かつて、私は信じていた。
優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な──
そんな普通のお兄ちゃんを。
でも──
中学卒業の春、
帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、
私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった!
家では「戦利品だー!」と絶叫し、
年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、
さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!?
……ちがう。
こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない!
たとえ、世界中がオタクを称えたって、
私は、絶対に──
お兄ちゃんを“元に戻して”みせる!
これは、
ブラコン妹と
中二病オタク姫が、
一人の「兄」をめぐって
全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──!
そしていつしか、
誰も予想できなかった
本当の「大好き」のカタチを探す、
壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。
ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜
遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
黒に染まった華を摘む
馬場 蓮実
青春
夏の終わりに転校してきたのは、忘れられない初恋の相手だった——。
高須明希は、人生で“二番目”に好きになった相手——河西栞に密かに想いを寄せている。
「夏休み明けの初日。この席替えで、彼女との距離を縮めたい。話すきっかけがほしい——」
そんな願いを胸に登校したその朝、クラスに一人の転校生がやってくる。
彼女の名は、立石麻美。
昔の面影を残しながらも、まるで別人のような気配をまとう彼女は——明希にとって、忘れられない“初恋の人”だった。
この再会が、静かだった日常に波紋を広げていく。
その日の放課後。
明希は、"性の衝動"に溺れる自身の姿を、麻美に見られてしまう——。
塞がっていた何かが、ゆっくりと崩れはじめる。
そして鬱屈した青春は、想像もしていなかった熱と痛みを帯びて動き出す。
すべてに触れたとき、
明希は何を守り、何を選ぶのか。
光と影が交錯する、“遅れてきた”ひと夏の物語。
妹の仇 兄の復讐
MisakiNonagase
青春
神奈川県の海に近い住宅街。夏の終わりが、夕焼けに溶けていく季節だった。
僕、寺内勇人は高校三年生。妹の茜は高校一年生。父と母との四人暮らし。ごく普通の家庭で、僕と茜は、ブラコンやシスコンと騒がれるほどではないが、それなりに仲の良い兄妹だった。茜は少し内気で、真面目な顔をしているが、家族の前ではよく笑う。特に、幼馴染で僕の交際相手でもある佑香が来ると、姉のように慕って明るくなる。
その平穏が、ほんの些細な噂によって、静かに、しかし深く切り裂かれようとは、その時はまだ知らなかった。
みんなの女神サマは最強ヤンキーに甘く壊される
けるたん
青春
「ほんと胸がニセモノで良かったな。貧乳バンザイ!」
「離して洋子! じゃなきゃあのバカの頭をかち割れないっ!」
「お、落ちついてメイちゃんっ!? そんなバットで殴ったら死んじゃう!? オオカミくんが死んじゃうよ!?」
県立森実高校には2人の美の「女神」がいる。
頭脳明晰、容姿端麗、誰に対しても優しい聖女のような性格に、誰もが憧れる生徒会長と、天は二物を与えずという言葉に真正面から喧嘩を売って完膚なきまでに完勝している完全無敵の双子姉妹。
その名も『古羊姉妹』
本来であれば彼女の視界にすら入らないはずの少年Bである大神士狼のようなロマンティックゲス野郎とは、縁もゆかりもない女の子のはずだった。
――士狼が彼女たちを不審者から助ける、その日までは。
そして『その日』は突然やってきた。
ある日、夜遊びで帰りが遅くなった士狼が急いで家へ帰ろうとすると、古羊姉妹がナイフを持った不審者に襲われている場面に遭遇したのだ。
助け出そうと駆け出すも、古羊姉妹の妹君である『古羊洋子』は助けることに成功したが、姉君であり『古羊芽衣』は不審者に胸元をザックリ斬りつけられてしまう。
何とか不審者を撃退し、急いで応急処置をしようと士狼は芽衣の身体を抱き上げた……その時だった!
――彼女の胸元から冗談みたいにバカデカい胸パッドが転げ落ちたのは。
そう、彼女は嘘で塗り固められた虚乳(きょにゅう)の持ち主だったのだ!
意識を取り戻した芽衣(Aカップ)は【乙女の秘密】を知られたことに発狂し、士狼を亡き者にするべく、その場で士狼に襲い掛かる。
士狼は洋子の協力もあり、何とか逃げることには成功するが翌日、芽衣の策略にハマり生徒会に強制入部させられる事に。
こうして古羊芽衣の無理難題を解決する大神士狼の受難の日々が始まった。
が、この時の古羊姉妹はまだ知らなかったのだ。
彼の蜂蜜のように甘い優しさが自分たち姉妹をどんどん狂わせていくことに。
※【カクヨム】にて編掲載中。【ネオページ】にて序盤のみお試し掲載中。【Nolaノベル】【Tales】にて完全版を公開中。
イラスト担当:さんさん
俺は陰キャだったはずなのに……なぜか学園内でモテ期が到来した件
こうたろ
青春
友人も恋人も居ないボッチ学生だった山田拓海が何故かモテだしてしまう。
・学園一の美人で、男女問わず憧れの的。
・陸上部のエースで、明るく活発なスポーツ女子。
・物静かで儚げな美術部員。
・アメリカから来た金髪碧眼でハイテンションな留学生。
・幼稚園から中学まで毎朝一緒に登校していた幼馴染。
拓海の生活はどうなるのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる