633 / 838
二年生の二学期
🎁
しおりを挟む
そう言って紙の包みをマウンテンパーカーのポケットから取り出し、手のひらで掬った水をわたすようにそっと奈緒に差し出した。
「わぁ、ありがとう」
すぐに封をはずして中身を取り出すそのさまを見ながら、春樹が続ける。
「変な顔シリーズから選んだ」
二重リングをつまみ上げると奈緒は、眼前に現れたイルカとジュゴンのハーフである人魚姫のニーラがぬけちゃんみたいな目でたこ口をした、十センチ程度のぬいぐるみを目の当たりにして、「ぶはははは」と笑う。
「おおもしろい笑い方する子だね」
春樹が少し引き気味に言って続ける。
「モモタ好きだから、お友達に加えてくれればいいと思って。最初は戸越銀座のゆるキャラが茶虎の猫だからそれにしようかって考えたんだけど、モモタで集めてる感じだし、これにした。ちなみに戸越銀座のゆるキャラは、目がクリっと丸くて、胸に三日月模様のある二足で直立した笑顔のやつで、結構な可愛さを誇っていると自負してるぜ。今度機会があったら買ってみてくれよ」
「うん、ありがとう」奈緒が満面の笑みを湛えてこくりと頷く。
「わたしからはこれ」
南が大事そうに黒いリュックから奇麗に包装されてリボンで結ばれた箱を出す。奈緒は、喜々としてリボンを解いて、中身を見るのを待ちきれない子供のように、とても嬉しそうに瞳を輝かせながら、乱暴に包み紙を破る。
現れたのは、群青色のビー玉を針金でうまく絡めてトーチ状のぶどうのような形に整えた手のひらサイズの壁飾りだった。
南が照れながら、膨らませたシャボン玉を吹くようにぽつぽつと言葉を繋げる。
「上手くできなかったけど、お店の人にレクチャー受けながら、わたしが作ったの。こういうのは奈緒のほうが上手かもしれないけど、ぜひ貰って。描いた絵はがきと一緒に飾ってくれると、すごく嬉しいかな」
「とってもすてき。大切にするね」奈緒が声を弾ませる。
楽し気な会話が続く中、いよいよもって務の顔色が蒼白と化す。奈緒は務のほうに視線を向けなかったが、視界の隅には納めている様子だった。それを少し俯瞰するように眺めていた春樹が、微かに心地いいノイズ交じりの声を優しく奏でる。
「結構一生懸命考えたんだぜ。少ない小遣いやりくりして、お前のためにあれでもないこれでもないって選んだんだ。モモタ同様大切にしてくれよな」
「わぁ、ありがとう」
すぐに封をはずして中身を取り出すそのさまを見ながら、春樹が続ける。
「変な顔シリーズから選んだ」
二重リングをつまみ上げると奈緒は、眼前に現れたイルカとジュゴンのハーフである人魚姫のニーラがぬけちゃんみたいな目でたこ口をした、十センチ程度のぬいぐるみを目の当たりにして、「ぶはははは」と笑う。
「おおもしろい笑い方する子だね」
春樹が少し引き気味に言って続ける。
「モモタ好きだから、お友達に加えてくれればいいと思って。最初は戸越銀座のゆるキャラが茶虎の猫だからそれにしようかって考えたんだけど、モモタで集めてる感じだし、これにした。ちなみに戸越銀座のゆるキャラは、目がクリっと丸くて、胸に三日月模様のある二足で直立した笑顔のやつで、結構な可愛さを誇っていると自負してるぜ。今度機会があったら買ってみてくれよ」
「うん、ありがとう」奈緒が満面の笑みを湛えてこくりと頷く。
「わたしからはこれ」
南が大事そうに黒いリュックから奇麗に包装されてリボンで結ばれた箱を出す。奈緒は、喜々としてリボンを解いて、中身を見るのを待ちきれない子供のように、とても嬉しそうに瞳を輝かせながら、乱暴に包み紙を破る。
現れたのは、群青色のビー玉を針金でうまく絡めてトーチ状のぶどうのような形に整えた手のひらサイズの壁飾りだった。
南が照れながら、膨らませたシャボン玉を吹くようにぽつぽつと言葉を繋げる。
「上手くできなかったけど、お店の人にレクチャー受けながら、わたしが作ったの。こういうのは奈緒のほうが上手かもしれないけど、ぜひ貰って。描いた絵はがきと一緒に飾ってくれると、すごく嬉しいかな」
「とってもすてき。大切にするね」奈緒が声を弾ませる。
楽し気な会話が続く中、いよいよもって務の顔色が蒼白と化す。奈緒は務のほうに視線を向けなかったが、視界の隅には納めている様子だった。それを少し俯瞰するように眺めていた春樹が、微かに心地いいノイズ交じりの声を優しく奏でる。
「結構一生懸命考えたんだぜ。少ない小遣いやりくりして、お前のためにあれでもないこれでもないって選んだんだ。モモタ同様大切にしてくれよな」
0
あなたにおすすめの小説
彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。
遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。
彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。
……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。
でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!?
もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー!
ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。)
略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う
もぐのすけ
青春
神童と言われた天才サッカー少年は中学時代、日本クラブユースサッカー選手権、高円宮杯においてクラブを二連覇させる大活躍を見せた。
将来はプロ確実と言われていた彼だったが中学3年のクラブユース選手権の予選において、選手生命が絶たれる程の大怪我を負ってしまう。
サッカーが出来なくなることで激しく落ち込む彼だったが、幼馴染の手助けを得て立ち上がり、高校生活という新しい未来に向かって歩き出す。
そんな中、高校で中学時代の高坂修斗を知る人達がここぞとばかりに部活や生徒会へ勧誘し始める。
サッカーを辞めても一部の人からは依然として評価の高い彼と、人気な彼の姿にヤキモキする幼馴染、それを取り巻く友人達との刺激的な高校生活が始まる。
黒に染まった華を摘む
馬場 蓮実
青春
夏の終わりに転校してきたのは、忘れられない初恋の相手だった——。
高須明希は、人生で“二番目”に好きになった相手——河西栞に密かに想いを寄せている。
「夏休み明けの初日。この席替えで、彼女との距離を縮めたい。話すきっかけがほしい——」
そんな願いを胸に登校したその朝、クラスに一人の転校生がやってくる。
彼女の名は、立石麻美。
昔の面影を残しながらも、まるで別人のような気配をまとう彼女は——明希にとって、忘れられない“初恋の人”だった。
この再会が、静かだった日常に波紋を広げていく。
その日の放課後。
明希は、"性の衝動"に溺れる自身の姿を、麻美に見られてしまう——。
塞がっていた何かが、ゆっくりと崩れはじめる。
そして鬱屈した青春は、想像もしていなかった熱と痛みを帯びて動き出す。
すべてに触れたとき、
明希は何を守り、何を選ぶのか。
光と影が交錯する、“遅れてきた”ひと夏の物語。
みんなの女神サマは最強ヤンキーに甘く壊される
けるたん
青春
「ほんと胸がニセモノで良かったな。貧乳バンザイ!」
「離して洋子! じゃなきゃあのバカの頭をかち割れないっ!」
「お、落ちついてメイちゃんっ!? そんなバットで殴ったら死んじゃう!? オオカミくんが死んじゃうよ!?」
県立森実高校には2人の美の「女神」がいる。
頭脳明晰、容姿端麗、誰に対しても優しい聖女のような性格に、誰もが憧れる生徒会長と、天は二物を与えずという言葉に真正面から喧嘩を売って完膚なきまでに完勝している完全無敵の双子姉妹。
その名も『古羊姉妹』
本来であれば彼女の視界にすら入らないはずの少年Bである大神士狼のようなロマンティックゲス野郎とは、縁もゆかりもない女の子のはずだった。
――士狼が彼女たちを不審者から助ける、その日までは。
そして『その日』は突然やってきた。
ある日、夜遊びで帰りが遅くなった士狼が急いで家へ帰ろうとすると、古羊姉妹がナイフを持った不審者に襲われている場面に遭遇したのだ。
助け出そうと駆け出すも、古羊姉妹の妹君である『古羊洋子』は助けることに成功したが、姉君であり『古羊芽衣』は不審者に胸元をザックリ斬りつけられてしまう。
何とか不審者を撃退し、急いで応急処置をしようと士狼は芽衣の身体を抱き上げた……その時だった!
――彼女の胸元から冗談みたいにバカデカい胸パッドが転げ落ちたのは。
そう、彼女は嘘で塗り固められた虚乳(きょにゅう)の持ち主だったのだ!
意識を取り戻した芽衣(Aカップ)は【乙女の秘密】を知られたことに発狂し、士狼を亡き者にするべく、その場で士狼に襲い掛かる。
士狼は洋子の協力もあり、何とか逃げることには成功するが翌日、芽衣の策略にハマり生徒会に強制入部させられる事に。
こうして古羊芽衣の無理難題を解決する大神士狼の受難の日々が始まった。
が、この時の古羊姉妹はまだ知らなかったのだ。
彼の蜂蜜のように甘い優しさが自分たち姉妹をどんどん狂わせていくことに。
※【カクヨム】にて編掲載中。【ネオページ】にて序盤のみお試し掲載中。【Nolaノベル】【Tales】にて完全版を公開中。
イラスト担当:さんさん
ぼっち陰キャはモテ属性らしいぞ
みずがめ
ライト文芸
俺、室井和也。高校二年生。ぼっちで陰キャだけど、自由な一人暮らしで高校生活を穏やかに過ごしていた。
そんなある日、何気なく訪れた深夜のコンビニでクラスの美少女二人に目をつけられてしまう。
渡会アスカ。金髪にピアスというギャル系美少女。そして巨乳。
桐生紗良。黒髪に色白の清楚系美少女。こちらも巨乳。
俺が一人暮らしをしていると知った二人は、ちょっと甘えれば家を自由に使えるとでも考えたのだろう。過激なアプローチをしてくるが、紳士な俺は美少女の誘惑に屈しなかった。
……でも、アスカさんも紗良さんも、ただ遊び場所が欲しいだけで俺を頼ってくるわけではなかった。
これは問題を抱えた俺達三人が、互いを支えたくてしょうがなくなった関係の話。
俺は陰キャだったはずなのに……なぜか学園内でモテ期が到来した件
こうたろ
青春
友人も恋人も居ないボッチ学生だった山田拓海が何故かモテだしてしまう。
・学園一の美人で、男女問わず憧れの的。
・陸上部のエースで、明るく活発なスポーツ女子。
・物静かで儚げな美術部員。
・アメリカから来た金髪碧眼でハイテンションな留学生。
・幼稚園から中学まで毎朝一緒に登校していた幼馴染。
拓海の生活はどうなるのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる