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二年生の二学期
第二百十三話 不在
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ウィンターカップの予選が行われた日を最後に、奈緒は一度も南と会っていなかった。十一月も終わろうとしていたある日の教室は、全く登校してこない南なんかは初めから存在していなかったかのように、楽しげな会話に包まれていた。
奈緒の周りには、誰もいない。あたかも入学初日に逆戻りしてしまったかに思えるほど、沈んだ重い空気が滞留している。きらきらと輝きそうな笑い声が、グッピーのように泳ぎ回る珊瑚に彩られた水槽の中で、奈緒の姿は、色を全て洗い落とされたホルマリン漬けのメダカのような色をした魚のようで、しかも一匹でずっと動かずにいるように見えた。
体育の時間になって体育館へと移動したこの少女だったが、隅っこに座ってバスケットボールに興じている男女を見ているばかりで、一向にプレイに参加する様子を見せない。誰も返事を返さないこの子の応援が、木霊もせず消えていく。それでもなんとかクラスメイトとの接点を持とうと健気に声を出していると、不意に気配が近づいてくる。
奈緒が視線を上げると、そこには上下紺のジャージに身を包んだ瑠衣がいた。後ろ手にした姿勢で、にっこりと微笑んでいる。
「さっきから応援ばかりだねぇ、どのチームなのぉ?」
「ううん。((あの日だから))」
それを聞いた瑠衣が、何かに引っかかったのか、首を傾げる。
「あれぇ? この間も誰かにそう言っていなかったぁ?」
「そうだっけ? 忘れた。調子が悪い」
瑠衣の後ろにいた陽菜子が、バスケ部女子が放ったジャンプシュートに瞳を奪われて、そっぽを向いたまま「何試合目の出番なの?」と、奈緒に訊く。
「何試合目でもないけど」
壁に寄りかかった瑠衣が、そのままずるずると腰を落として、奈緒の左隣りに座る。
「南さん、最近学校に来ていないねぇ、どうしたんだろー」
彼女の隣に座った陽菜子が、いやそうな声を上げる。
「どうせまた、バイクか自転車盗んで捕まったんじゃないの?」
「まあ勝手なことを。なにを根拠にそんなこと」
「噂になってるの聞いているでしょ。暴走族だったらしいよ、中学の時。しかも、たばこやお酒もしていて、いじめしていたって」
奈緒の周りには、誰もいない。あたかも入学初日に逆戻りしてしまったかに思えるほど、沈んだ重い空気が滞留している。きらきらと輝きそうな笑い声が、グッピーのように泳ぎ回る珊瑚に彩られた水槽の中で、奈緒の姿は、色を全て洗い落とされたホルマリン漬けのメダカのような色をした魚のようで、しかも一匹でずっと動かずにいるように見えた。
体育の時間になって体育館へと移動したこの少女だったが、隅っこに座ってバスケットボールに興じている男女を見ているばかりで、一向にプレイに参加する様子を見せない。誰も返事を返さないこの子の応援が、木霊もせず消えていく。それでもなんとかクラスメイトとの接点を持とうと健気に声を出していると、不意に気配が近づいてくる。
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「さっきから応援ばかりだねぇ、どのチームなのぉ?」
「ううん。((あの日だから))」
それを聞いた瑠衣が、何かに引っかかったのか、首を傾げる。
「あれぇ? この間も誰かにそう言っていなかったぁ?」
「そうだっけ? 忘れた。調子が悪い」
瑠衣の後ろにいた陽菜子が、バスケ部女子が放ったジャンプシュートに瞳を奪われて、そっぽを向いたまま「何試合目の出番なの?」と、奈緒に訊く。
「何試合目でもないけど」
壁に寄りかかった瑠衣が、そのままずるずると腰を落として、奈緒の左隣りに座る。
「南さん、最近学校に来ていないねぇ、どうしたんだろー」
彼女の隣に座った陽菜子が、いやそうな声を上げる。
「どうせまた、バイクか自転車盗んで捕まったんじゃないの?」
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