FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の二学期

第二百十五話 おやつ会議2

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 入学当初のようなあからさまないじめはほとんどなく、クラスの中では比較的平穏な日々を過ごしていた奈緒であったが、務と委員長の唯がいない場所では、いつも怯えて過ごすようになっていた。この子の存在は、もはや空気のように薄い。ただ、奈緒にとって学校生活は、つらい時間ばかりではないようだった。
 放課後の調理教室に、和気あいあいとした女子の声が響く。それは色とりどりのスーパーボールのように弾んで、今にも部屋から溢れ出さんとする勢いだ。そこにいたのは各クラスの二年生たちで、その十人ばかり。声が高くて線の細い男子が、二人混じっていた。
 『おけい』こと明保野圭太[あけぼのけいた]が、穿いていたチェックのスカートがぱたぱたと音を出すほどはしゃいで、奈緒に両手を振って近づく。
「やだぁ、もう。僕もっと早くなるちゃんとお友達になっていればよかったぁ。僕とよっしーと三人で、スウィーツ食べに行こうよー」
「やーん、うれしー。どこに いきま しょうかー?」
 腕まくりしていた白いワイシャツを元に戻して、エプロンをはずすために後ろに手を回した、『よっしー』こと間宮純慈[よしちか]が、奈緒に微笑みかける。
「僕たち、一年も二年も同じE組で仲良くて、よくケーキ食べに行くんだ。もしよかったら、どこかおいしいケーキ屋さん教えてよー」
 膝が隠れるスカートに包まれた腿の上でエプロンをたたむと、鍋から甘酒をコップに注いで席につき、奈緒が差し入れたかりんとうを一つつまみ取る。
 この子が、ブルーベリーの花のように頬を膨らませてニッコリとした。
「初日の集まりで、おーまじめに話し合いしたと思ったら、毎回甘酒飲んで、“おしゃぼり”してる。甘くておいしくて、楽園の ようですねぇ。しあわせ、ですねぇ。だなんて、ねえ。違うかしら」
 十人の集まりが、井戸端会議でもするかのように、和菓子派と洋菓子派に分かれて、和気あいあいと盛り上がる。
時も忘れるような時間が流れて、空が茜色に染まり始めた頃、学年生徒会員の女子がやって来た。彼女に帰るように促されたみんなが、使っていた調理器具のかたづけを始める。一通り終わると奈緒は、「おやつ会議、またこんど」とお別れを言って手を振り、一階にある調理教室をあとにした。
 完全下校の時間までにはまだ余裕があったが、普段使わない教室と機械室ばかりが並ぶ一階には人の気配がない。四つ上のフロアにある2‐Cの教室にリュックを取りに戻ったこの子が三階に階段で下りて、昇降口に向かっている時、微かに響いた物音が必要以上に大きく聞こえでもしたかのように、びくりと縮こまって勢いよく後ろを振り返る。誰もいない。






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