FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の二学期

🍭

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 穂香と裕子のほうを見みると、おどおどとしながらもこの空気に違和感を覚えている様子だ。それを感じ取ったのか奈緒は、微かな希望にすがるような表情で立ち上がろうとして腰を浮かせる。だがその行動に気がついた二人があからさまに迷惑そうな顔をしたので、この子は足を脱力させて、座面におしりを落とす。
「ぎゃはははは、うんこだって。成瀬なに描いてるんだよ、汚いなぁ」
 鏡花が放埓な笑い声をあげ、天井に向けた手のひらをひらひらと揺らして煽る。それに呼応するようにして早苗が笑うと、千賀子たちも無感情に「アハハ……」と声を発する。
 笑い声を受けて、顔を自分の画用紙に戻した奈緒が、落書きされた自分の絵を呆然と見つめていると、続いて筆を受け取った早苗が、絵の左頬にバカと書き加えて、顎の下にブスと続ける。
「完成じゃない?」孫凛が吐き捨てて、「どう? 成瀬さん」と訊いた。
「え……あの、デフォルメが上手。この文字は、絵だから いらない、かな?」
 ガツリと椅子の足をける音がする。反動でがくんと顎を上下に揺らした奈緒が慌てた。
「デフォルメがじょうず です。こんなふうに、わたし、描けない」
 頬をぴくりとひきつらせながら言い直したが、孫凛が凄む。
「なに? 気に入らないわけ?」
「ううん、ううん、そんなことない。早くに描き終わって、助かり ま し た」
 三色の絵の具が混じった赤黒い唇を見ながら否定した奈緒を、鏡花が小ばかにしたように「きゃはは」と笑う。「鼻毛とか文字とか色で塗りつぶしておいてね、でも目はそのままで」
 孫凛が鼻で笑い、「唇ももっと薄くしておいて」と付け加えて席に戻る。
 クラスにいた南という唯一最大の後ろ盾を失ったばかりか、あまつさえ友達が少ない奈緒から、瑠衣と陽菜子までもが離れ、他の吹奏楽部の三人も委縮してしまったことに加えて、副委員長の千賀子までもが怖気づいていた。二年C組のクラスはもはや、鏡花が天かを取ったかのようだった。

 いじめっ子にいろいろ言われて好き放題やられたこの授業以降、友達離れに拍車がかかった。委員長と務がいる前では行われなかったから、いじめは陰湿化していたし、二人が気がついて注意をしても、鏡花たちは、のらりくらりとして反省の色を見せなかった。そしていじめを見ていた誰もが、立ち上がろうともしなかった。そして奈緒は、諂うような笑みを浮かべるようになっていった。



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