FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の二学期

第二百十八話 決定フレーバー

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 続いて理子が、「そういえばさー」と溜まっていたものを吐き出すように顔を歪ませ、大きく口を開いた。
「わたしは、ココアの苦みが際立っていて、好きになれなかった。味整えると美味しくなったけど、チョコ味に近くなりすぎかなってなる。じゃあチョコ味がいいのかって言われると、それも微妙。美味しいけど、完全にチョコが打ち勝っちゃっていて、甘酒のよさが出てないよ。それなら、ほっとココアとホットチョコレートで飲んだほうがいいんじゃないかしら」
 突然、奈緒が「あっ」と叫んだ。
「ブランデー甘酒、まだ試してない」
「却下だよ。ぜった怒られるもん」と梨花。
 検討の余地すら残さない彼女の左斜め前にいたおけいが、くりくりした眼差しを真剣に奈緒に向ける。
「お酒飲むの?」
「ううん。おとな“もけ”」
 みんながきょとんとする中、粂川が持っていたコップを飲み干した。
「まあ、それはほっといて、ココア味とチョコ味は美味いし、味濃くて冬向けだけど、似通ってるよな。どちらか一つでいいんじゃん?」
 梨花が、視線で横一文字にみんなを一瞥。
「じゃあ、チョコ味の残そうよ。もともと味ついているから楽じゃない。それに、すごいあったまるよ。とろみがあるから温度が下がりにくそうだし、子供から大人まで好かれる味」
「それでは、次の味を検証しましょー」と奈緒がノートに食い入る。そして五日目の会合のページを開いて、指で文字をなぞりながら色々と読み上げると、続けて言った。
「五日目に試した紅茶甘酒は? 落ち着く甘さで、ちょっと大人のひとときって感じがする。あれは採用だよ」
 粂川が、ソリコミの入った丸刈り頭を右手で撫でながら、背伸びをする。そして、右ひじを机について、この子の顔を凛々しい眼差しでのぞき込む。
「お前、イチオシ絶対間違いなしって言ってたコーヒー味はどうすんの?」
「知らない。そんなこと言ったけ?」
 突き放すようなオーラを身に纏った奈緒に変わって、梨花が答える。
「あれは……雰囲気上、ないんじゃない?」
 
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