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二年生の二学期
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「うん、そう」はにかんだ子供は、ふわっと点灯した優しげな光を放つ電球のような表情を見せ、「どこでやるんですか? あれ、ほら。もうやだ、あれだよ、あれ。やってあれ。どうやりますか、やるんですか、またやるんですか?」と微笑む。
「また見たいですかぁ?」
奈緒が微笑み返すと、桃色づいた雪のように白い頬の男の子は、真っ赤ないちごシロップ色の唇を更に緩めて、考え考え真剣に同じ質問を繰り返し訊いてくる。その煌めく眼差しを微笑ましく見つめるこの少女が、猫毛のマッシュルーム頭を撫でてあげた。
「見て見て」
不意にテンションを高めて立ち上がると、前ノリで左右斜めに傾いてベビーシッターを披露。
その途端、なぜか男の子の表情が凍りついて割れる。
「こわい。やだ。こわい、やめて、やめて」
そう騒いで母親のスカートにしがみついて後ろに隠れた。
「えー? がーんだ」奈緒固まる。
ショックを隠し切れない様子で愕然とするこの子に、母親が眉を八の字にして申し訳なさそうに笑う。
「ごめんなさい。突然なんでも怖がり出しちゃって」
「あ、犬。こわい」男の子が母親の前に回った。
奈緒たちが見ると、中年の女性にリードをひかれた小さな小さなトイプードルがてけてけ歩いていた。
「なんか怖い。やだー」
そう叫んだ男の子が走り出す。
「あーっ、こらっ、待ちなさい」
母親は大声を張り上げたあと、「ごめんなさいね」と一言謝って子供を追いかけていく。
見送りながら、南が奈緒を支えて立ち上がる。
「障がいがある子共なんだね。普通に可愛い坊やだったけど」
「うん。わたしとは違う障がい」
身を挺したヒロインは物思うように、その子供が見えなくなるまで、青いコートを来た背中を見つめていた。この日、奈緒は南と共に、交通事故を起こした車に乗って旗の台の病院へ行って検査を受けた。
「今年はいいことしたから、来年は幸せだー」
擦り傷一つなかったこの子は病院を出たところでそう叫んで、駆けつけた両親の心配をよそに、大いにはしゃいだ。
「また見たいですかぁ?」
奈緒が微笑み返すと、桃色づいた雪のように白い頬の男の子は、真っ赤ないちごシロップ色の唇を更に緩めて、考え考え真剣に同じ質問を繰り返し訊いてくる。その煌めく眼差しを微笑ましく見つめるこの少女が、猫毛のマッシュルーム頭を撫でてあげた。
「見て見て」
不意にテンションを高めて立ち上がると、前ノリで左右斜めに傾いてベビーシッターを披露。
その途端、なぜか男の子の表情が凍りついて割れる。
「こわい。やだ。こわい、やめて、やめて」
そう騒いで母親のスカートにしがみついて後ろに隠れた。
「えー? がーんだ」奈緒固まる。
ショックを隠し切れない様子で愕然とするこの子に、母親が眉を八の字にして申し訳なさそうに笑う。
「ごめんなさい。突然なんでも怖がり出しちゃって」
「あ、犬。こわい」男の子が母親の前に回った。
奈緒たちが見ると、中年の女性にリードをひかれた小さな小さなトイプードルがてけてけ歩いていた。
「なんか怖い。やだー」
そう叫んだ男の子が走り出す。
「あーっ、こらっ、待ちなさい」
母親は大声を張り上げたあと、「ごめんなさいね」と一言謝って子供を追いかけていく。
見送りながら、南が奈緒を支えて立ち上がる。
「障がいがある子共なんだね。普通に可愛い坊やだったけど」
「うん。わたしとは違う障がい」
身を挺したヒロインは物思うように、その子供が見えなくなるまで、青いコートを来た背中を見つめていた。この日、奈緒は南と共に、交通事故を起こした車に乗って旗の台の病院へ行って検査を受けた。
「今年はいいことしたから、来年は幸せだー」
擦り傷一つなかったこの子は病院を出たところでそう叫んで、駆けつけた両親の心配をよそに、大いにはしゃいだ。
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