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三年生の一学期
第二百五十六話 パピオンの始まり
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呆気にとられる彼女から頬を離した奈緒が、膝に置いたフードパックに顔を下げる。
「ここのたこ焼き屋さん、前に南ちゃんに教えてもらうまで知らなかった。よく 図書館には 来るのにね。昔ながらの手作りたこ焼きって味がする。これからたまに帰る時食べようかな」
「まあ、普通たこ焼きって手作りだけどね」
「あらやだ。チェーンのは違うでしょ?」
「違わないよ。築地のも大阪系のも、店内で焼いてるでしょ? ガラス張りだったりして作ってるとこ見えるじゃない」
「うん、ほんと。じゃあ手作りだ」
妙に納得した様子の奈緒が、未使用の串をたこ焼きにさして、フードパックごと南に差し出す。
「柔らかすぎてなよって縮んだたこ焼きを どーぞ。ふわふわした食感で、屋台で売ってそうなどこにでもある味って いいね。夜食べたいかな? 違うかな?」
串を手に取った南に微笑みかけてから、この子はもう一つを口に運ぶ。
「レンチンしたから、中身にスポンジ感が出てるのが、家庭で手作りしましたって感じでほっとするでしょ」
この子は少し間を置いてから、二人の温度差を揃えるように声のトーンを下げて続ける。
「でも、理沙ちゃんと萌音ちゃんにはごめんなさいしなきゃ。わたし、二人のことは話さないようにしたかったけど、((警察が))ああでこうでああでああでああでって言うから、こんがらがっちゃって、みんな話しちゃった。今度謝りに行きたい」
――そして((刑務所に))と囁いて、またにかっと笑った。
ところどころ小声になる奈緒に、南が指摘する。
((刑務所じゃないよ))
「そうなの?」
((うん、鑑別。ブチャは分かんないけどね。年齢的にネンショーじゃないだろうから、たぶんムショなんだろうけど))
「ふーん、どっちも分からないけど……今度遊びに行こっか」
「やめときなよ、場所分かんないし、奈緒の行く所じゃないよ。親も心配するだろうし。わたしが代わりに行って、言っておいてあげるから」
「場所分かんないのに?」
「ん、時々鋭いよね。調べて分かったら行ってみる」
「ここのたこ焼き屋さん、前に南ちゃんに教えてもらうまで知らなかった。よく 図書館には 来るのにね。昔ながらの手作りたこ焼きって味がする。これからたまに帰る時食べようかな」
「まあ、普通たこ焼きって手作りだけどね」
「あらやだ。チェーンのは違うでしょ?」
「違わないよ。築地のも大阪系のも、店内で焼いてるでしょ? ガラス張りだったりして作ってるとこ見えるじゃない」
「うん、ほんと。じゃあ手作りだ」
妙に納得した様子の奈緒が、未使用の串をたこ焼きにさして、フードパックごと南に差し出す。
「柔らかすぎてなよって縮んだたこ焼きを どーぞ。ふわふわした食感で、屋台で売ってそうなどこにでもある味って いいね。夜食べたいかな? 違うかな?」
串を手に取った南に微笑みかけてから、この子はもう一つを口に運ぶ。
「レンチンしたから、中身にスポンジ感が出てるのが、家庭で手作りしましたって感じでほっとするでしょ」
この子は少し間を置いてから、二人の温度差を揃えるように声のトーンを下げて続ける。
「でも、理沙ちゃんと萌音ちゃんにはごめんなさいしなきゃ。わたし、二人のことは話さないようにしたかったけど、((警察が))ああでこうでああでああでああでって言うから、こんがらがっちゃって、みんな話しちゃった。今度謝りに行きたい」
――そして((刑務所に))と囁いて、またにかっと笑った。
ところどころ小声になる奈緒に、南が指摘する。
((刑務所じゃないよ))
「そうなの?」
((うん、鑑別。ブチャは分かんないけどね。年齢的にネンショーじゃないだろうから、たぶんムショなんだろうけど))
「ふーん、どっちも分からないけど……今度遊びに行こっか」
「やめときなよ、場所分かんないし、奈緒の行く所じゃないよ。親も心配するだろうし。わたしが代わりに行って、言っておいてあげるから」
「場所分かんないのに?」
「ん、時々鋭いよね。調べて分かったら行ってみる」
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