FRIENDS

緒方宗谷

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三年生の一学期

第二百六十二話 発見

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 数日の間、ちょっとしたピラミッドを彷彿とさせる七階建ての教室棟をそぞろ歩いていた奈緒と南が、三年の教室がある四階に戻ってきた時のことだった。本日の捜索をあきらめた様子のこの子が、3‐Cの教室に足を踏み入れた瞬間、勢いよく廊下に頭を出し戻して、A組とB組がある方向を凝視した。
 A組の壁に面する突き当りの談話コーナーには、団子状に集まった男子たちの塊がいる。その中で、周りにいる男子たちの頭部を見下ろす位置に飛び出た一つの頭に、奈緒の視線がくぎ付けになっていた。
 黒髪でかきあげられた髪がふわりと後頭部へ向かって流れているそのさまは、先日この子が見た男子の後ろ姿と酷似しているように見える。
「あ、ちょっと、すいません。あなたが、わたしでしょうか」
奈緒が叫んで、廊下をばく進していく。その声が聞こえたのか、D組に入った直後に再び顔を出した南が、走るこの子の後ろ姿を追いかけてくる。
「あの、あの。わたしは、身 体 障 がい 者 で ごめんなさい」
 息を切らした奈緒が大きな背中に向かって、上ずり声で言葉をかける。他の男子と共に前の入り口からA組の教室に入ろうとした男子が一人立ち止まって、何気に振り向く。
 この子は、その相貌を見上げて、一瞬息を飲んだ。
 ツーブロックで七三のゆるふわオールバック。艶やかに光沢があって、微かにムスクっぽい煙たくて甘い香りがする。相貌は瓜実顔でふたえの目は奇麗なひし形。アイラインを引いたようにくっきりとした目尻をしている。ゆで卵のようにきれいな肌合いで、清潔感のある涼しげな笑顔。軽やかな身のこなしで、いつの間にか隣にいそうな好青年に見える。ものおじする様子がなく、雲の上にいるような爽やかさがあった。
「あの……あの……」
 奈緒が吃音気味になって、言葉を喉に引っかけると、この男子はにこやかに微笑んで、両手をボトムスのポケットに入れこちらを向いた。そして、この子を見守る。
 奈緒は、なんとか言葉を唇から零す。
「この間は、おうちまで 送って くださり、ありがとう ござい ました。あなたは、どちら様 でしょうか?」
 言い終わって「うん」と頷くこの子に向かって、子の男子は瓜実の頬を緩ませ、白い歯を見せる。
「あ、覚えていてくれたんだ――ですね。なんか眠そうだったから、俺のこと覚えていないかと思ってました」








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