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三年生の一学期
🐿️
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男子は、駆けつけてきた南を一瞥する。その間を使って、この子が口を開く。
「わたしの 名前は、成瀬 奈緒 です。ご存じないかとは 思い ますが、3年 2年、成瀬 奈緒 です。どうぞ、“ごほうちに”」
「放置するの? よく分かんないけど面白い――ですね」
笑う男子の顔を見つめた南が、眉を寄せて目をしかめた。そして首を傾げる。
「あなたの、お名前は なんと言いますか?」奈緒が訥々と訊いた。
「俺? 三年A組の松岡聖也」
それを聞いた途端、南が叫ぶ。
「松岡? 松岡聖也? 天翔君の弟の? 冗談だよね。まさかわたしのこと知ってるなんて言わないよね」
「知ってますよ」聖也がしれっと答える。
「いや、高校入ってからじゃなくて、中学時代から」
「兄貴の彼女っすよね」
南の顔に驚愕の色が現れる。
「マジで? マジ聖也なの? 全然違うじゃん。なんか痩せてるし。モヒカンだったろ、金髪の」
「ベッカムヘアだよ」
「時代遅れの」
「うるせーな」
ぽかんと口を開けた南が、信じられないといった様子で、まじまじと頭の先から足のつま先までを何度もなぞるように見やる。
「しっかし変わったね。つーか、後輩でなんでため口?」
「俺もそう思って最初敬語にしたけど、学年一緒でしょ、今は」
「そうか。ん? ということは、一年の時から同学年?」
「そう」
「教えてよ」
「気づいてよ。彼氏の弟なんだからさ」
「気づかないよ。そもそも天翔君とは、とっくの昔に別れたし。それにあんたは、カビの生えたばくだんおにぎりみたいな顔してたもん」
南が下唇で上唇を押し上げると、聖也が「フザケロ」と言って、顔をしかめる。
「でも、リーゼントって聞いていたけど、違うじゃん」
「ああ、休みの日は、も少しリーゼントばってるかな。ちょっとだけど」
そう言って二つの黒星を上に向けた彼は、自分の生え際を見ようとした。
なおざりにされた奈緒が慌てて口を挟もうとして開くが、二人の思い出話に割り込めない。
いじけた様子のこの子に気がつかず、南が続ける。
「そういえば、天翔君どうした? 中退したって聞いたけど」
「ああ、今――」言葉を発せず、ネンショー、と唇を動かす。
「ネン……⁉」南が喉を塞いだ言葉を飲み込んで、((なにして))と訊く。
「んー、草吸ったりして」
「ほんとに? 大変だね」
「いや、助かった。毎日いじめられてたし」
「そうだったの?」
「わたしの 名前は、成瀬 奈緒 です。ご存じないかとは 思い ますが、3年 2年、成瀬 奈緒 です。どうぞ、“ごほうちに”」
「放置するの? よく分かんないけど面白い――ですね」
笑う男子の顔を見つめた南が、眉を寄せて目をしかめた。そして首を傾げる。
「あなたの、お名前は なんと言いますか?」奈緒が訥々と訊いた。
「俺? 三年A組の松岡聖也」
それを聞いた途端、南が叫ぶ。
「松岡? 松岡聖也? 天翔君の弟の? 冗談だよね。まさかわたしのこと知ってるなんて言わないよね」
「知ってますよ」聖也がしれっと答える。
「いや、高校入ってからじゃなくて、中学時代から」
「兄貴の彼女っすよね」
南の顔に驚愕の色が現れる。
「マジで? マジ聖也なの? 全然違うじゃん。なんか痩せてるし。モヒカンだったろ、金髪の」
「ベッカムヘアだよ」
「時代遅れの」
「うるせーな」
ぽかんと口を開けた南が、信じられないといった様子で、まじまじと頭の先から足のつま先までを何度もなぞるように見やる。
「しっかし変わったね。つーか、後輩でなんでため口?」
「俺もそう思って最初敬語にしたけど、学年一緒でしょ、今は」
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「そう」
「教えてよ」
「気づいてよ。彼氏の弟なんだからさ」
「気づかないよ。そもそも天翔君とは、とっくの昔に別れたし。それにあんたは、カビの生えたばくだんおにぎりみたいな顔してたもん」
南が下唇で上唇を押し上げると、聖也が「フザケロ」と言って、顔をしかめる。
「でも、リーゼントって聞いていたけど、違うじゃん」
「ああ、休みの日は、も少しリーゼントばってるかな。ちょっとだけど」
そう言って二つの黒星を上に向けた彼は、自分の生え際を見ようとした。
なおざりにされた奈緒が慌てて口を挟もうとして開くが、二人の思い出話に割り込めない。
いじけた様子のこの子に気がつかず、南が続ける。
「そういえば、天翔君どうした? 中退したって聞いたけど」
「ああ、今――」言葉を発せず、ネンショー、と唇を動かす。
「ネン……⁉」南が喉を塞いだ言葉を飲み込んで、((なにして))と訊く。
「んー、草吸ったりして」
「ほんとに? 大変だね」
「いや、助かった。毎日いじめられてたし」
「そうだったの?」
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