エスパー&ソーサラー

緒方宗谷

文字の大きさ
14 / 107
戦闘の後

しおりを挟む
 「みなさん、おはようございま~す」
 お昼が過ぎた頃、サラはラングに少し遅れてミリィの部屋に入ってきた。
 「あ~らサラさん、お元気なこと」とミリィがイヤミを言う。全身に激痛の走る2人は愚痴をこぼすが、天然ぎみのサラがまさかここまで強いとは思いもしなかったため、少しビビッている。
 早朝、放心状態の3人を見つけた巡回の警備小隊の小隊長がラングから経緯を聞き、ぜひとも国王に会見すべきだと発言し、使いの飛竜兵を東衛砦へ送った。帰ってきた使いの兵から王室から迎えが送られてくると聞き、その兵を待っている。
 王に謁見できるということは、エルフに会いたいミリィにとって情報の宝庫である王室へ招かれるということ。エルフの村の場所を教えてくれる可能性もある上、超能力に関する教典もある超嬉しい場所だ。
 サラの唱えた回復呪文ヒールにより、だいぶ痛みのとれた2人は身支度を始めたが、迎えの来る時間にはまだ随分あるため、フィーリアンの騎士であるラングに城内の話を聞くことにした。
 平和主義のフィーリアンは軍事縮小の気概が強く、ラルガルマン帝国の1師団・1万人に対して、1師団・5000人と規模も小さい。北の大帝国ラルガルマンとお隣同士で、よくそんなことができるものだ。気絶していたため、昨日のラングの働きを見ていないミリィは、こんなにラングは弱いのに・・・、と思った。
 開けた草原の多い領土とはいえ開拓事業はそれほど行われておらず、国土の60パーセント近くが森で構成されている。国王を始めとし、国民全体が自然調和への思いが強く、文化も質素ながら大変優れていることを聞かされた。自然調和派が多いのは、たぶんエルフ保護が根底にあるのだろう。
 ラングの剣や鎧を見て分かるように、物理戦闘には合わない銀製武具を装備しているのは、ミリィが実践する開発されたサイキックと比べて原始的ではあるものの霊術を得意とし、その力を剣に上乗せして戦うからだろう。武器の強度的問題よりも霊力の伝導しやすさを重視しているのだ。
 人間同士の戦争よりも対神魔戦争を想定しているのだろう。自慢げに見せる美しい金細工のある丸みを帯びたフォルムのシルバーグレードは、栄華の象徴に見える。
 戦争のない昨今、剣の形状は術的機能美を含めより美しくを探求し、そっちのほうで発展していた。
 物理的には芸術性優先で弱体化した刀身だが、霊力を上乗せした場合、相当強力であることはミリィにも分かる。騎士たちの感覚としては“剣はファッションに近い”ということが、ラングの話で分かった。
 貿易は主にガラス工芸品などを輸出し、金と銀を輸入している。ミリィもフィーリアンの伝統工芸で作られたランプを実家の寝室に飾っていた。世界中で使われているステンドグラスのほとんどがフィーリアン製でだ。ブランド化にも成功していて、大変高価な代物だ。この国のガラス細工を駆使した装飾品は世界一美しい、とミリィも思っている。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...