猫のモモタ

緒方宗谷

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昔を懐かしむ老犬の話

今が幸せなら良いんじゃない?

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 最近、思い出話をしたがるおじいちゃんのお話が面白くて、モモタはいつもおじいちゃんと一緒にいました。
 心よく思い出を話してくれるおじいちゃんでしたが、今日はご機嫌斜めです。どうしたのでしょう。
 「近頃の若い犬はなっておらん!」
 「どうなってないの?」
 おじいちゃんは、カッカッとしながら教えてくれました。
 「ワンちゃんおもちゃで遊んでばかりいて、遠くまでかけて行こうという気概がない。
  昔はたくさんの犬がいて、力比べをしたり、知恵比べをしたり、色々としたもんじゃ。
  今の若い犬は、楽でええのー、良いもんばかり食って、しかも部屋の中で遊んでばかりおる。
  みんな貧弱じゃ、小さな犬ばかりになってしまって、情けない」
 「小さな犬は、もともとそういう犬なんじゃないの?」
 おじいちゃんは、モモタの話を否定して言いました。
 「そんな事は無い、お外で遊ばんから、小さいんじゃ。
  切磋琢磨してじゃれ合うからこそ、大きくなれるんじゃ」
 それを聞いていた若い犬が言いました。
 「今よりたくさん犬はいただろうけど、犬と猫しかいなかったよね。
  今は色々な鳥はいるし、爬虫類もいるし、昔とは比べ物にならないほど、たくさんの動物がいて、お友達を作るのも一苦労だよ。
  それに、遠くまでかけていこうにも、お外で飼われていない犬もいるからね、出たくても出られないんだ。
 モモタは言いました。
 「祐ちゃんのお家の近くに、屋上で飼われていたお友達もいたね」
 「たくさん犬がいたって言っても、殆ど日本犬でしょ?おじいちゃんも柴犬だし。
  今の家犬は色々だよ、知らない鳴き声のもいるしね。
  僕からしたら、昔は楽で良かったなーって思うけどね」
 モモタは、言いました。
 「今の犬の方が長生きなんでしょ?昔の方が貧弱な気がするね」
 「はは、そうかもね、そうしたら、昔は楽で良かったなーなんておかしいね」
 「結局、良いところもあるし、悪いところもあるし、その犬次第だね」
 2匹は笑ってしまいました。

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