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弱さを知って強くなれたオオタカのキキ
喉の奥に気持ちが詰まるの?
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久しぶりに山に遊びに来てから暫くして、モモタはおかしなタヌキを見つけました。冷蔵庫に閉じ込められて以来しばらくぶりの再会です。
モモタは不思議に思いました。タヌキはひょうひょうとしていますが、体に大きな傷跡があったからです。とても痛いはずですが、平然としています。
気になったモモタは、隠れてタヌキの後を追ってみることにしました。
ちょうどその頃、オオタカの巣では、一番下の弟が両親を起こさない様に、飛び立つ練習をしていました。
タヌキの話では、当の昔に青ゲラもハトもカラスも飛びだったそうです。王者たるオオタカの自分が、巣から1歩も出た事がないなんて、恥ずかしい限りでした。
タヌキの事をまだかまだか、と待ちわびているところにようやく来たタヌキが、開口一番に言いました。
「お久しぶりですね。キキ君。急ぎましょう。早くしないと、ウグイスの子も飛び立ってしまいます。
そうなったら、あなたはビリッけつ。お兄さんたちに笑われてしまいますよ」
キキは、この僕が飛べないわけがない、誰よりも高く遠くに飛べるんだ、と思いました。
とても緊張していたキキですが、大きく深呼吸して飛び立ちます。
山の奥までやって来たモモタですが、オオタカの縄張りの外に来たところで、タヌキの匂いを見失っていました。もう怖くて進めません。だって、このまま進めば、オオタカの巣や熊の巣がありましたから。
諦めて返ろうと来た道に向いた時、バサバサバサッ、と大きな音を立てて、何かがモモタの胸にぶつかりました。
転げたモモタが、びっくりして見てみると、なんと、怪我をしたオオタカの子供でした。
キキは、砂利道でタヌキに襲われたのですが、なんとか逃げまどって、命からがらここまで飛んできたのです。
モモタに出会って、もうだめだー、って思ったキキでしたが、怖がるなんて許せません。なんせ自分は空の王者です。
キキは転げた時の姿のまま動きません。命乞いをせずに目を瞑りました。羽も畳んでお腹も見せています。
とても怖くてガタガタ震えていましたが、食べられることを怖がるわけにはいきません。
ですが、一向に食べられる気配はありませんでした。恐る恐る片目を開けたキキに、モモタは言いました。
「よかったね、このまま真っ直ぐ言ったら、熊のねぐらにぶつかる所だったよ」
「何が?」
キキは、何事もありません、といったふうに言いました。
とてもズキズキ痛かったのですが、自分は空の王者です。子猫如きに弱みを見せるわけにはいきません。だってこいつは自分にとってはただのごはんです。
ごはんにごはんにされるなんて格好悪いけれど、逃げるのだって格好悪い。そう思ったキキは言いました。
「さあ、食べろ、僕は逃げも隠れもしないから」
「うーん、美味しそうだけど、僕食べないよ。お腹いっぱいだもの」
そうか、と思ったキキでしたが、言いたいことが言えません。タヌキから助けてほしい、と言いたいのですが、格好悪くて言えないのです。
キキは空の王者です。天空を羽ばたきもせずに飛び回り、どんな鳥にも負けない大きな爪で獲物を捕らえる、この森の王なのです。
とてもタヌキに食べられそうになって逃げまわっているなんて、口が裂けても言えません。
モモタは不思議に思いました。タヌキはひょうひょうとしていますが、体に大きな傷跡があったからです。とても痛いはずですが、平然としています。
気になったモモタは、隠れてタヌキの後を追ってみることにしました。
ちょうどその頃、オオタカの巣では、一番下の弟が両親を起こさない様に、飛び立つ練習をしていました。
タヌキの話では、当の昔に青ゲラもハトもカラスも飛びだったそうです。王者たるオオタカの自分が、巣から1歩も出た事がないなんて、恥ずかしい限りでした。
タヌキの事をまだかまだか、と待ちわびているところにようやく来たタヌキが、開口一番に言いました。
「お久しぶりですね。キキ君。急ぎましょう。早くしないと、ウグイスの子も飛び立ってしまいます。
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キキは、この僕が飛べないわけがない、誰よりも高く遠くに飛べるんだ、と思いました。
とても緊張していたキキですが、大きく深呼吸して飛び立ちます。
山の奥までやって来たモモタですが、オオタカの縄張りの外に来たところで、タヌキの匂いを見失っていました。もう怖くて進めません。だって、このまま進めば、オオタカの巣や熊の巣がありましたから。
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キキは、砂利道でタヌキに襲われたのですが、なんとか逃げまどって、命からがらここまで飛んできたのです。
モモタに出会って、もうだめだー、って思ったキキでしたが、怖がるなんて許せません。なんせ自分は空の王者です。
キキは転げた時の姿のまま動きません。命乞いをせずに目を瞑りました。羽も畳んでお腹も見せています。
とても怖くてガタガタ震えていましたが、食べられることを怖がるわけにはいきません。
ですが、一向に食べられる気配はありませんでした。恐る恐る片目を開けたキキに、モモタは言いました。
「よかったね、このまま真っ直ぐ言ったら、熊のねぐらにぶつかる所だったよ」
「何が?」
キキは、何事もありません、といったふうに言いました。
とてもズキズキ痛かったのですが、自分は空の王者です。子猫如きに弱みを見せるわけにはいきません。だってこいつは自分にとってはただのごはんです。
ごはんにごはんにされるなんて格好悪いけれど、逃げるのだって格好悪い。そう思ったキキは言いました。
「さあ、食べろ、僕は逃げも隠れもしないから」
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そうか、と思ったキキでしたが、言いたいことが言えません。タヌキから助けてほしい、と言いたいのですが、格好悪くて言えないのです。
キキは空の王者です。天空を羽ばたきもせずに飛び回り、どんな鳥にも負けない大きな爪で獲物を捕らえる、この森の王なのです。
とてもタヌキに食べられそうになって逃げまわっているなんて、口が裂けても言えません。
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