猫のモモタ

緒方宗谷

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動物園のお友達

思い込みが世界を作る

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 モモタがお散歩していると、誰もいないお庭がありました。
 どうしたんだろう、と見ていると、見学に来た人たちが、裏の建物に入っていきます。
 モモタがその建物に入ってみると、そこには大きなお部屋が並んでいて、その一部屋に1頭のサイがいました。
 モモタは、そばに言って話しかけてみます。
 「こんにちは、サイさん。
  こんなにいいお天気なのに、どうしてお庭に出て遊ばないの?」
 「うん、なんかお庭には飽きてしまってね。  
  今日は日がな一日ここにいようって思っているんだ」
 モモタは、周りを見渡しました。
 サイさんのお部屋の他に、あと2つのお部屋がありますが、そこには誰も住んでいないようです。
 モモタは言いました。
 「そのお部屋だと、サイさんには狭すぎるんじゃない?
  それに暗すぎるよ」
 「まあ、そうだね。そうだけれど、仕方ないのさ。
  ここはそういうところだし、僕もそういうやつだからね」
 とても後ろ向きな言い方だなぁ、と思ったモモタは訊きました。
 「サイさんはとっても力持ちそうだから、こんなオリくらいこわせるんじゃないの?」
 「もちろんさ。この程度、どうってことないよ。
  だって僕はこの動物園一の力持ちだから。
  僕なら、一日中威張って吠えているライオンにだって勝てるだろうね」
 「じゃあ、どうして出ないの?
サイさんくらい強かったら、どこだって好きなところに行けるでしょう?
  サイさんだったら、ライオンさんにビシッと言ってくれるでしょう?」
 「ああ、出来るよ。でも出ない」
 「どうして?」
 「世界に一頭しかいないから、ここから出ない方が安全なのさ。
  君はお外で暮らしているから、分かると思うけれど、お庭から見る世界には、たくさんのお友達がいるだろう?
  でもその中に、サイは1頭もいないんだ。
だから、僕はお外では生きられないと思う。
  でも逆に言えば、僕のお家には、お庭にたまに鳥がやってくるくらいで、誰も入って来れない。
  僕にとっての楽園なんだ。これで狭いなんて言っていたら、バチが当たっちゃうよ」
 世界は広いのに、小さなモモタには住みやすくて、大きなサイさんには住みにくい。
 このお部屋は、大きなサイさんには住みやすくて、小さなモモタには住みにくい。
 モモタは不思議でなりませんでした。




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感想 1

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