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piece4 楽しい遊園地
お化け屋敷モニタリング 前半戦
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出口の脇に設置されたモニターを、彩奈と悠里はワクワクと見上げる。
「あ、来たきた!」
お化け屋敷内が暗いため、決して画質は良くないが、確かに男子2人の姿が確認できた。
恐る恐る、といったふうに摺り足で歩く拓真の横を、スタスタと剛士が歩いて行く。
『ちょ、ちょっとゴウ!早いって』
『はあ?お前が遅いんだよ』
さっさと行くぞ、と剛士が拓真の腕を掴んで急き立てた。
音声は、素晴らしく鮮明に聴こえる。
「このお化け屋敷って、どんなコンセプトだっけ?」
「えっと……迫りくる呪いの女。あなたはこの恐怖に耐えられるか?」
遊園地のパンフレットを悠里が読み上げたときだった。
『いやああ!』
甲高い悲鳴が、モニターから飛び出してきた。
悠里は、ビクッと肩を震わせてモニターに目を戻す。
「……へ? 今のって、もしかして拓真くんの声?」
彩奈が目を丸くして、悠里を見つめる。
「え? すごい高い声だったよ?」
誰か、他の女の人じゃないかな、と悠里が答えようとしたとき、剛士の声が聞こえた。
『ああ、もう。ただの人形だって』
古びた椅子に腰掛けた、ボロ着物を羽織った人形らしき物体を指している。
『うう……ゴウ、怖いよう』
『大丈夫だっつの』
悠里と彩奈は食い入るようにモニターを見つめ、同時に吹き出した。
「やっぱアレ、拓真くんの悲鳴だったんだ」
「そう、みたいだね……」
マジか!と彩奈が笑い出す。
さすがの悠里も、笑いを堪えきれなかった。
『ほら、行くぞ?』
ビクビクと肩を竦めている拓真を宥め、剛士が進み始める。
『待って、待ってゴウ!置いてかないでえ』
恐怖から若干内股になっている拓真が、慌てて剛士の後を追った。
ミシリ、ミシリ。
2人の歩く廊下が、嫌な音を立てて軋む。
『フフフ……』
どこからか、漏れ出る不気味な女の声。
『ひゃっ!?』
足を止め、不安げに周囲を見回す拓真。
『フフフフフフ……』
ピョンっと拓真は飛び跳ね、剛士にしがみついた。
『アハハハハハハハハ!!』
『ぎゃーっ!?』
『うっせえ!』
耳元で思い切り叫ばれた剛士が、拓真の頭をはたいている。
「ちょ、ちょっと待って?」
彩奈が笑いながら悠里を見る。
「今って、女の笑い声が聞こえるだけの仕掛けだよね?」
「う、うん、そうだね」
悠里も笑みを浮かべ、頷いた。
「拓真くん、ビビり過ぎでしょ。こんな調子で最後まで行けるわけ?」
笑い半分、心配半分で、2人はモニタリングを続ける。
廊下の脇にある障子が、行燈の光でぼんやりと照らされる。
着物を着た乱れ髪の女のシルエットが、すぅっと浮かび上がった。
『フフフフフフ……』
『ひいぃ~やあああああ!?ゴメンナサイゴメンナサイ~!!』
拓真が叫びながら走り出す。
『お、おい』
剛士の静止の声も届かなかったか、拓真は一目散に走り、モニターから消えていった。
ブッと女子2人は吹き出す。
「待て待て、何故謝った?」
「大丈夫かなあ、拓真さん」
と、そこへ、また特大の悲鳴を上げながら拓真が戻ってきた。
『ぎゃああああゴメンナサイ、もうしませんからあああ!!』
剛士の元に戻ってきたのかと思いきや、拓真はそのまま、反対方向に走り去ってしまう。
『おい待て! そっち入口!!』
慌てて拓真を追いかける剛士。
堪えきれず、彩奈と悠里は笑い崩れた。
「う、嘘でしょ拓真くん! これ、一生出てこれないよ!?」
「どうなっちゃうの?」
悠里の大きな瞳にも、笑い過ぎて涙が光っている。
「あ、来たきた!」
お化け屋敷内が暗いため、決して画質は良くないが、確かに男子2人の姿が確認できた。
恐る恐る、といったふうに摺り足で歩く拓真の横を、スタスタと剛士が歩いて行く。
『ちょ、ちょっとゴウ!早いって』
『はあ?お前が遅いんだよ』
さっさと行くぞ、と剛士が拓真の腕を掴んで急き立てた。
音声は、素晴らしく鮮明に聴こえる。
「このお化け屋敷って、どんなコンセプトだっけ?」
「えっと……迫りくる呪いの女。あなたはこの恐怖に耐えられるか?」
遊園地のパンフレットを悠里が読み上げたときだった。
『いやああ!』
甲高い悲鳴が、モニターから飛び出してきた。
悠里は、ビクッと肩を震わせてモニターに目を戻す。
「……へ? 今のって、もしかして拓真くんの声?」
彩奈が目を丸くして、悠里を見つめる。
「え? すごい高い声だったよ?」
誰か、他の女の人じゃないかな、と悠里が答えようとしたとき、剛士の声が聞こえた。
『ああ、もう。ただの人形だって』
古びた椅子に腰掛けた、ボロ着物を羽織った人形らしき物体を指している。
『うう……ゴウ、怖いよう』
『大丈夫だっつの』
悠里と彩奈は食い入るようにモニターを見つめ、同時に吹き出した。
「やっぱアレ、拓真くんの悲鳴だったんだ」
「そう、みたいだね……」
マジか!と彩奈が笑い出す。
さすがの悠里も、笑いを堪えきれなかった。
『ほら、行くぞ?』
ビクビクと肩を竦めている拓真を宥め、剛士が進み始める。
『待って、待ってゴウ!置いてかないでえ』
恐怖から若干内股になっている拓真が、慌てて剛士の後を追った。
ミシリ、ミシリ。
2人の歩く廊下が、嫌な音を立てて軋む。
『フフフ……』
どこからか、漏れ出る不気味な女の声。
『ひゃっ!?』
足を止め、不安げに周囲を見回す拓真。
『フフフフフフ……』
ピョンっと拓真は飛び跳ね、剛士にしがみついた。
『アハハハハハハハハ!!』
『ぎゃーっ!?』
『うっせえ!』
耳元で思い切り叫ばれた剛士が、拓真の頭をはたいている。
「ちょ、ちょっと待って?」
彩奈が笑いながら悠里を見る。
「今って、女の笑い声が聞こえるだけの仕掛けだよね?」
「う、うん、そうだね」
悠里も笑みを浮かべ、頷いた。
「拓真くん、ビビり過ぎでしょ。こんな調子で最後まで行けるわけ?」
笑い半分、心配半分で、2人はモニタリングを続ける。
廊下の脇にある障子が、行燈の光でぼんやりと照らされる。
着物を着た乱れ髪の女のシルエットが、すぅっと浮かび上がった。
『フフフフフフ……』
『ひいぃ~やあああああ!?ゴメンナサイゴメンナサイ~!!』
拓真が叫びながら走り出す。
『お、おい』
剛士の静止の声も届かなかったか、拓真は一目散に走り、モニターから消えていった。
ブッと女子2人は吹き出す。
「待て待て、何故謝った?」
「大丈夫かなあ、拓真さん」
と、そこへ、また特大の悲鳴を上げながら拓真が戻ってきた。
『ぎゃああああゴメンナサイ、もうしませんからあああ!!』
剛士の元に戻ってきたのかと思いきや、拓真はそのまま、反対方向に走り去ってしまう。
『おい待て! そっち入口!!』
慌てて拓真を追いかける剛士。
堪えきれず、彩奈と悠里は笑い崩れた。
「う、嘘でしょ拓真くん! これ、一生出てこれないよ!?」
「どうなっちゃうの?」
悠里の大きな瞳にも、笑い過ぎて涙が光っている。
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