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piece7 バレンタイン・サプライズ
剛士のサプライズ
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剛士の長い指が、ゆっくりと悠里の髪を撫でる。
「好きだよ」
「……え?」
「悠里のこと」
耳元で、囁くように伝えられた、剛士の気持ち。
初めて、言葉にして伝えてくれた、剛士の思い。
驚きが過ぎると、じわじわと甘い喜びが込み上げてくる。
悠里は、きゅうっと剛士にしがみついた。
「悠里」
剛士が優しい声で、彼女に願う。
「もう少しだけ、俺のこと、待っててくれる?」
「……はい」
悠里は、殆ど無意識のうちに答えた。
「いつまでも、待ってます……」
「あまり待たせないようにする」
「ふふ……うん」
剛士がくれた真っ直ぐな思いと、約束。
それさえあれば、どこまでも、がんばれる気がした。
「ゴウさん……大好き」
「俺も……大好きだよ」
2人が気持ちを伝え合い、甘やかに抱きしめ合った、その時だった。
ガチャガチャッと、玄関の鍵が開く音がした。
「えっ!?」
悠里が顔を上げる。
パチリと剛士と目が合った。
「……弟?」
「う、うん。そうみたい……」
時計を見ると、まだ17時前だ。
「いつもより2時間以上早い……どうして」
ふっと剛士が微笑んだ。
「……タイムアップかあ」
惜しむように、力を込めて抱き寄せられる。
大きな手が、悠里の後頭部を優しく包み込む――
ちゅっと、髪に柔らかな感覚が落ちた。
バタバタと廊下を小走りに近づいてくる音。
剛士がそっと悠里を離し、リビングのドアを見つめた。
その一瞬後に、勢いよくドアが開く。
剛士が、悪戯っぽく微笑んだ。
「……おかえり。お邪魔してます」
憧れの人物を認めた悠人が、顔をほころばせた。
「良かったあ、柴崎さんだあ!あ、ただいまです!あっ、お誕生日おめでとうございます!!」
興奮のあまり、いつになく早口で答え、悠人が深々と頭を下げる。
「はは、ありがとな」
弟からのお祝いの言葉に、剛士は切れ長の瞳を優しく細めた。
「今日も、部活だったんだな」
「はい!でも今日は顧問の先生の都合で、16時終わりだったんですよ!」
喜々として内部情報を報告してくる彼に、思わず剛士は笑った。
「そっか。お疲れ」
「はい!ありがとうございます!」
剛士は悠人を見つめ、悪戯っぽく首を傾げた。
「……やるか?」
長い指が、庭のゴールを指す。
ぱあっと悠人の目が輝いた。
「はい!お願いします!!」
荷物を置き、悠人がガッツポーズをする。
「やった……やった!めっちゃ走って、帰ってきた甲斐があった……」
「はは、ありがとな」
剛士は笑い、傍らの悠里に囁いた。
「じゃ、ちょっと庭借りるな?」
真っ赤な頬のまま、おずおずと剛士を見上げる悠里に微笑みかける。
「……続きはまた、今度な」
悠人には見えないように、そっと彼女の手を握り、剛士は立ち上がった。
幸い悠人は、隣にいる姉のことなど、眼中にないようだ。
甘い熱が、悠里の隣から離れていき、頭がようやく動き出す。
悠里はぎこちなく、自分の髪に触れた。
感じた甘い感覚を、繰り返し繰り返し、思い返す。
髪に触れた、剛士の優しい唇を。
――ちゅって、された。
髪に、ちゅって、されちゃった……
まさかのタイミングで帰ってきた弟。
悠里の頭に、昨夜のやり取りが蘇る。
剛士に会いたいと、さんざん駄々を捏ねていた悠人が、急に引き下がった。
あれは、今日の練習が短いことを思い出したからなのだろう。
姉には何も伝えず、一か八かで必死に走って帰ってきたに違いない。
悠里は、バスケットボールを用意して庭に向かう2人を見つめる。
楽しそうにバスケの話をしている姿は、まるで兄弟のようだ。
これはこれで、嬉しい光景だった。
剛士との絆が、また強くなる気がした。
この熱くなった頬が少し落ち着いたら、2人のシュート練習を見学させて貰おう。
悠里がそう思った瞬間だった。
「好きだよ」
「……え?」
「悠里のこと」
耳元で、囁くように伝えられた、剛士の気持ち。
初めて、言葉にして伝えてくれた、剛士の思い。
驚きが過ぎると、じわじわと甘い喜びが込み上げてくる。
悠里は、きゅうっと剛士にしがみついた。
「悠里」
剛士が優しい声で、彼女に願う。
「もう少しだけ、俺のこと、待っててくれる?」
「……はい」
悠里は、殆ど無意識のうちに答えた。
「いつまでも、待ってます……」
「あまり待たせないようにする」
「ふふ……うん」
剛士がくれた真っ直ぐな思いと、約束。
それさえあれば、どこまでも、がんばれる気がした。
「ゴウさん……大好き」
「俺も……大好きだよ」
2人が気持ちを伝え合い、甘やかに抱きしめ合った、その時だった。
ガチャガチャッと、玄関の鍵が開く音がした。
「えっ!?」
悠里が顔を上げる。
パチリと剛士と目が合った。
「……弟?」
「う、うん。そうみたい……」
時計を見ると、まだ17時前だ。
「いつもより2時間以上早い……どうして」
ふっと剛士が微笑んだ。
「……タイムアップかあ」
惜しむように、力を込めて抱き寄せられる。
大きな手が、悠里の後頭部を優しく包み込む――
ちゅっと、髪に柔らかな感覚が落ちた。
バタバタと廊下を小走りに近づいてくる音。
剛士がそっと悠里を離し、リビングのドアを見つめた。
その一瞬後に、勢いよくドアが開く。
剛士が、悪戯っぽく微笑んだ。
「……おかえり。お邪魔してます」
憧れの人物を認めた悠人が、顔をほころばせた。
「良かったあ、柴崎さんだあ!あ、ただいまです!あっ、お誕生日おめでとうございます!!」
興奮のあまり、いつになく早口で答え、悠人が深々と頭を下げる。
「はは、ありがとな」
弟からのお祝いの言葉に、剛士は切れ長の瞳を優しく細めた。
「今日も、部活だったんだな」
「はい!でも今日は顧問の先生の都合で、16時終わりだったんですよ!」
喜々として内部情報を報告してくる彼に、思わず剛士は笑った。
「そっか。お疲れ」
「はい!ありがとうございます!」
剛士は悠人を見つめ、悪戯っぽく首を傾げた。
「……やるか?」
長い指が、庭のゴールを指す。
ぱあっと悠人の目が輝いた。
「はい!お願いします!!」
荷物を置き、悠人がガッツポーズをする。
「やった……やった!めっちゃ走って、帰ってきた甲斐があった……」
「はは、ありがとな」
剛士は笑い、傍らの悠里に囁いた。
「じゃ、ちょっと庭借りるな?」
真っ赤な頬のまま、おずおずと剛士を見上げる悠里に微笑みかける。
「……続きはまた、今度な」
悠人には見えないように、そっと彼女の手を握り、剛士は立ち上がった。
幸い悠人は、隣にいる姉のことなど、眼中にないようだ。
甘い熱が、悠里の隣から離れていき、頭がようやく動き出す。
悠里はぎこちなく、自分の髪に触れた。
感じた甘い感覚を、繰り返し繰り返し、思い返す。
髪に触れた、剛士の優しい唇を。
――ちゅって、された。
髪に、ちゅって、されちゃった……
まさかのタイミングで帰ってきた弟。
悠里の頭に、昨夜のやり取りが蘇る。
剛士に会いたいと、さんざん駄々を捏ねていた悠人が、急に引き下がった。
あれは、今日の練習が短いことを思い出したからなのだろう。
姉には何も伝えず、一か八かで必死に走って帰ってきたに違いない。
悠里は、バスケットボールを用意して庭に向かう2人を見つめる。
楽しそうにバスケの話をしている姿は、まるで兄弟のようだ。
これはこれで、嬉しい光景だった。
剛士との絆が、また強くなる気がした。
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悠里がそう思った瞬間だった。
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