39 / 222
第38話 街道警備任務 ①
しおりを挟む今日のブラボー中隊の任務は、街道警備任務だ。
各小隊長が隊長会議を行っていて、サキ隊長も参加しているだろう。
その後、俺達サキ小隊の面々でブリーフィングをする事になり、俺とニールはブリーフィングルームに集合した。
サキ隊長が俺達の前で説明しだした。
「よーし野郎共、よく聞けよ。私達の今回の任務は街道警備だ、この町、クラッチから西へと延びる道を港町ハッサンまで行く。二日間の行程だ、各自準備しとけよ。それと懸念事項だが、ここ最近一人旅の旅人や行商人などがモンスター被害に遭っているらしい。対象はゴブリンライダーらしい事が判明している、見かけたら討伐する事。以上だ。各自行動に移れ。」
サキ隊長の説明を聞いて、ニールが手を挙げて質問した。
「隊長、質問であります。ゴブリンライダーとは何でありますか?」
「うむ、ゴブリンライダーとはワイルドウルフに跨ったゴブリンの事だ。一応騎兵扱いとの事だが、相手はゴブリンだ。大した戦力では無いと思う。日頃の訓練を思い出し、適切に対処していけば問題ない。」
「は、ワイルドウルフにゴブリンでありますか。自分がやって見せます。」
「ほ~う、ニール、当てにするぞ。」
(ニールの奴、そんな事言って大丈夫かよ。)
こうして俺達は装備課へと赴き、おやっさんに装備を受け取る。
俺はショートソードに革の鎧、あと投げナイフを6本、ベルトに固定した。
ニールの奴は両手持ちの大剣である、バスタードソードに鉄の鎧だった。
ニールの奴は相変わらず威力重視の装備武器だな、ちゃんと扱えるのか心配だよ。
そのあとは備品課へと行き、備品課のマドンナ、クリスちゃんに対応して貰う。
「クリスちゃん、回復薬を一つと携帯食料を4日分頂戴。」
「あ、俺も俺も、ジャズと同じの。」
「はい、只今お持ちしますね、食料という事は任務ですか?」
「ああ、街道警備任務さ、港町までね。」
クリスちゃんは色々と品物を準備して、荷下ろししながらも会話をしてくれた。優しい娘さんだ。
「はい、こちらが回復薬に4日分の食料になります。落とさないように大切に扱って下さいね。」
「ありがとう、クリスちゃん。」
俺は申請した物資を受け取り、俺のアイテムボックスに入れておく。
ニールも同じ物を受け取っていたが、その直後、俺に荷物を渡すような仕草をした。
「なあジャズ、お前ってさ、アイテムボックスのスキル持ってたよな。俺の分の荷物をお前のアイテムボックスに入れといてくれよ。」
「しょうがねえなあ、鞄か何かに一纏めにしておけよ。それと、回復薬は常に使える様に、腰のベルトホルダーに固定しとけ。」
「はいはい、解ってるよ。ほら、これが俺の鞄だ、入れといてくれよ。」
「ああ、いいぜ。」
ニールからの鞄を受け取り、俺のアイテムボックスの中に入れる。
メニューコマンドのアイテムボックスには、しっかりと「ニールの鞄」と表示されている。
よし、これで準備は整った。早速集合場所の基地内のグラウンドに行こう。
グラウンドに着いた俺達は、ここでサキ隊長を待つ。
直ぐに隊長はやって来た。
何やら手荷物が少ない様に見受けられるが、サキ隊長は荷物をどうしたんだろう?
「待たせたな。」
「いえ、それより隊長、隊長の荷物を俺のアイテムボックスに入れておきましょうか?」
「いや、それには及ばん。私もアイテムボックスのスキルを持っているからな、金貨二枚で購入した「スキルの書」を使ってな。」
「そうでしたか、隊長もアイテムボックスのスキルをお持ちでしたか。」
スキルの書。
こいつは只その本を読むだけで、その表紙に書かれたスキルを習得できるという。便利な魔道具だ。
経験や研鑽を積み、長い間修行をして習得出来るスキルを、たった一冊の本を読むだけで習得できるので、とても高価な品物だ。
所謂、後天的に習得したスキルの一種という事だな。
「よーし! 出発するぞ! 気合を入れていけよ野郎共!」
「「 はい! 」」
こうして俺達は、クラッチの町を後にして、街道を西へと向かう。
目指すは港町ハッサン。片道二日間の道のりだ。
天気もいい。
快晴ってやつだな、こう、陽の光を浴びていると、汚れた心が洗い流されていく感じがするな。
気分もいい。
暫く街道を歩いていると、ふと、サキ隊長が話しかけてきた。
「ところでジャズ上等兵、貴様スキルを二つも持っているのか? 確か投擲のスキルも持っていたんだったな。私と同じ二つのスキル所持者か。」
「は、自分はスキルの書を購入した訳ではありませんが、まあ、早い話、習得したという事であります。」
「ふーん、そうなのか。私と同じでスキルの書を買ったものとばかり思っていたがな。習得にどれ程の時間が掛かったのだ?」
(ふーむ、そう言われてもなあ、スキルポイントを使ってちょちょいとやってしまった。などと言えないよな。この俺のユニークスキルは出来れば秘密にしときたい所だ。)
「はあ、それが、自分でも解らないのですが、ある日、突然スキルを使える様になったとしかお答えできず、すいません。要領を得ず。」
「いや、気にするな。ふーん、そういう事もあるのだな。」
サキ隊長と話していると、ニールから焦った様な声を上げるのを聞いた。
「た、隊長! 前方にモンスターを発見しました!」
「何! 種類と数は?」
「おそらく、ワイルドウルフと思われます! 数は2匹! こちらに近づいてきます!」
「全員抜刀! 備えろ! 警戒態勢!」
この檄を聞き、俺はショートソードを抜き、片手で持って身構える。
前方を見据える。
確かにワイルドウルフ2匹確認。
こっちに気づいている、涎を垂らしながらゆっくりと近づいて来る。
サキ隊長が命令を飛ばす。
「ジャズは後衛、投擲で牽制、ニールは私と前衛、一人一匹ずつ対処! いいな!」
「「 は! 」」
ほう、中々的確な判断をする隊長さんだ。
王都での士官学校で、色々と学んできたという事かな。
おっと、こうしている間にもモンスターは接近してきている。
俺はその場で留まり、腰ベルトに仕込んであるナイフを二本引き抜き、片手に持って狙いをつける。
隊長が刺突剣のエストックを素早く突き、ワイルドウルフの一匹にダメージを負わせていた。
やるなあ隊長。戦闘の間合いが実に的確だ。一方、ニールはというと。
「あれ!? 何で攻撃が当たらないんだ!」
「ニール落ち着け! 相手の動きをよく見て対処するんだ!」
「そ、そんな事! 言ったってよ! うわ!?」
ニールがワイルドウルフの鋭い牙に喰いつかれそうになっている。
危ない! 俺はすぐさまナイフを一本投擲する。
精神コマンドの類は使わない。スキル「投擲」だけで対処できそうだったからだ。
俺の放ったナイフは勢いよく飛んでいき、一撃でワイルドウルフの額に刺さり、モンスター一体を倒す。
(よし、あと一つ。)
もう一方のワイルドウルフの方を見る。
サキ隊長が既にワイルドウルフを攻撃して、エストックでワイルドウルフの体を刺し貫いていたところだった。
やるなあサキ隊長。一人でモンスターを倒してしまった。
伊達に少尉に任官されていない、という訳か。
「よーし! 倒したな! 野郎共、まだ平気か?」
「はい、何とか。」
「すまんジャズ、助かった。」
「気にするな、お前は武器の命中率が低い、カバーしてやるから思い切ってやってみればいいさ。」
「ああ、助かる。」
ニールはしょんぼりとしていたが、直ぐにまた気を取り直して、サキ隊長に声をかけていた。
「流石隊長ですね、一人でモンスターに対処してしまうとは、御見それ致しました。」
サキ隊長は武器を仕舞い、辺りを警戒しながらニールに返事をした。
「ニール二等兵、貴様、ちゃんと武器を自分に合う物にしているか? どうにも貴様は武器が合っていない様な気がするんだが。」
ああ、それは俺も思う。
ニールの奴、恰好をつけて両手持ちの大剣なんか持ち出して、上手く扱えないんじゃないのかな?
もっと軽い武器にすればいいのに。
そんな事を思っていたら、ニールからまた何かを発見したらしく、声を上げた。
「あ! 隊長! 街道沿いに何か人影が見えますが、」
言われて、辺りを見回していた隊長が、ニールが指をさした方向を見る。
そこには、俺達と同じ軍服を着た三人の人影が見えた。誰だろうか?
「ジャズ、ここから見えるか?」
「いえ、見えません隊長。もう少し近づいてみましょう。」
「そうだな。」
こうして、俺達は遠くに待機している三人の友軍に向かい、歩みを進める。
こんな場所で、一体何をやっているのやら。
58
あなたにおすすめの小説
S級冒険者の子どもが進む道
干支猫
ファンタジー
【12/26完結】
とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。
父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。
そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。
その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。
魔王とはいったい?
※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。
知力99の美少女に転生したので、孔明しながらジャンヌ・ダルクをしてみた
巫叶月良成
ファンタジー
「異世界転生して天下を統一したら元の世界に戻してあげる」
大学生の明彦(あきひこ)は火事で死亡した後、転生の女神にそう言われて異世界転生する。
だが転生したのはなんと14歳の女の子。しかも筋力1&武器装備不可!
降り立った場所は国は三国が争う中心地の激戦区で、頼みの綱のスキルは『相手の情報を調べる本』という攻撃力が皆無のサーチスキルというありさま。
とにかく生き延びるため、知識と口先で超弱小国オムカ王国に取り入り安全を確保。
そして知力と魅力を駆使――知力の天才軍師『諸葛孔明』&魅力の救国の乙女『ジャンヌ・ダルク』となり元の世界に戻るために、兵を率いたり謀略調略なんでもして大陸制覇を目指す!!
……のはずが、女の子同士でいちゃいちゃしたり、襲われたり、恥ずかしい目にあわされたり、脱がされたり、揉まれたり、コスプレしたり、男性相手にときめいたり、元カノ(?)とすれ違ったりと全然関係ないことを色々やってたり。
お風呂回か水着回はなぜか1章に1話以上存在したりします。もちろんシリアスな場面もそれなりに。
毎日更新予定。
※過去に別サイトで展開していたものの加筆修正版となります。
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜
仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。
森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。
その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。
これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語
今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ!
競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。
まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。
異世界に飛ばされた人見知りの僕は、影が薄かったから趣味に走る事にしました!
まったりー
ファンタジー
主人公は、人見知りな占いが大好きな男の子。
そんな主人公は、いるのか分からない程の影の薄さで、そんなクラスが異世界に召喚されてしまいます。
生徒たちは、ステータスの確認を進められますが、主人公はいるとは思われず取り残され、それならばと外に1人で出て行き、主人公の異世界生活が始まります。
荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました
夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。
スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。
ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。
驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。
※カクヨムで先行配信をしています。
ダンジョン菌にまみれた、様々なクエストが提示されるこの現実世界で、【クエスト簡略化】スキルを手にした俺は最強のスレイヤーを目指す
名無し
ファンタジー
ダンジョン菌が人間や物をダンジョン化させてしまう世界。ワクチンを打てば誰もがスレイヤーになる権利を与えられ、強化用のクエストを受けられるようになる。
しかし、ワクチン接種で稀に発生する、最初から能力の高いエリート種でなければクエストの攻略は難しく、一般人の佐嶋康介はスレイヤーになることを諦めていたが、仕事の帰りにコンビニエンスストアに立ち寄ったことで運命が変わることになる。
封印されていたおじさん、500年後の世界で無双する
鶴井こう
ファンタジー
「魔王を押さえつけている今のうちに、俺ごとやれ!」と自ら犠牲になり、自分ごと魔王を封印した英雄ゼノン・ウェンライト。
突然目が覚めたと思ったら五百年後の世界だった。
しかもそこには弱体化して少女になっていた魔王もいた。
魔王を監視しつつ、とりあえず生活の金を稼ごうと、冒険者協会の門を叩くゼノン。
英雄ゼノンこと冒険者トントンは、おじさんだと馬鹿にされても気にせず、時代が変わってもその強さで無双し伝説を次々と作っていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる