おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。

お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)

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第93話 フィラ強化計画 ①

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 休暇も残すところあと一日、今日はフィラと一緒に何か冒険者依頼でも受けようかな。

朝、女将さんのところで朝食を済ませ、今は冒険者ギルドに居る。

早速クエストボードに向かい、何かいい仕事は無いかと探す。

俺もフィラも今はまだギルドランクはF、つまり駆け出し冒険者だ。

新米もいいところってやつだな。

 まあ、実績や経験はそれ以上だが、ランクはランクだ。Fランクの依頼を探そう。何事も無理はいかんよ。

「何かいい仕事はないかな~。」

「ご主人様、今日はどういった依頼を受けますか?」

「うーん、そうだな、フィラと二人で受ける初めての依頼だから、あまり派手な仕事じゃなくていい。」

「と、言う事は………人捜しや物探し、といった町中で済ませられる依頼でしょうか?」

ふーむ、それもいいが、今回はフィラがどの程度戦えるのか知りたい。

 ここはいっそ、討伐依頼でも受けようかな。Fランクでも対処できるモンスターならば、二人でも十分にこなせるだろう。

「フィラ、今日はモンスターの討伐依頼を受けようと思うが、どうだ?」

「はい! 覚悟は既に出来ています。ご主人様の役に立ってみせます。」

フィラはやる気十分だ。

 まあ、俺と同じ中級クラスだし、ここら辺のモンスターに後れを取る事は無いと思うが、まだまだランクがFなので、それ相応の依頼しか受けられない。

そのままFランク用の依頼票を見ていく。流石にモンスター討伐依頼は少ない。

 まあしょうがない。本格的にモンスター討伐依頼が張り出されているランクは、いわゆる「一人前」と呼ばれるDランクからだ。

 これから冒険者としてやっていくなら、早いとこギルドランクを上げたいところだな。

 俺が軍の仕事でフィラと一緒に居られない場合は、フィラ一人に冒険者として活動して貰う事になりそうだ。

 ただ、軍の任務にフィラを同行させる事は許可されているので、フィラは「善意の協力者」扱いになる。まあ、その時になってからだな。

ここでフィラが一枚の依頼票を剥がし、俺に見せてきた。

「ご主人様、この依頼などは如何でしょうか?」

「どれどれ? おお、クロウラーの討伐か、いいな。」

クロウラー。体長1メートル程のデカい芋虫モンスターだ。

 体色は緑色、特に危険な攻撃をしてくる相手では無い。精々口から粘着性の糸を吐き出すくらいだ。

その糸も力がある者なら簡単に引き千切れる。注意すべきは体当たりぐらいだ。

「報酬も2体討伐で銀貨1枚、それ以降の討伐数によって報酬の上乗せもあるそうです。如何しますか?」

「2体で銀貨1枚か、えらく気前がいいな、こういうのは割のいい依頼だが、何で誰もこの依頼を受けないんだ? 何か問題でもあるのかな?」

「私が受付で聞いて参ります。」

 そう言って、フィラは依頼票を持って受付カウンターの方へ行き、受付嬢に色々と尋ねている。

俺も後からやって行き、話を聞く。

「………………つまり、この辺りに生息しているモンスターの中には、クロウラーによく似たポイズンクロウラーも居るという訳なんです。ですので、みなさんこの依頼を受けてくれないんです。ギルドとしても困っているところでして、ジャズさん、フィラさん、この依頼を受けてはくれませんか?」

ふーむ、ポイズンクロウラーか、名前の通り毒を吐く危険なモンスターだ。

見た目が只のクロウラーに似ているので、それを見極める事が難しいとされている。

「ポイズンクロウラーですか………、確かに危険な相手ですね。どうされますか? ご主人様。」

「うーむ、まあ、いいんじゃないかな。この依頼を受けても。ただ、万が一を想定して、解毒薬は後で買ってこようと思うがね。」

「では、お受けになられますか?」

「そうですね、この依頼を受けます、ちなみに、もしポイズンクロウラーを討伐した場合は?」

「勿論、その分の報酬は出ます。ですが、決してご無理はなさらないで下さい。いいですね、貴方方はまだFランクの駆け出し冒険者なのですから。」

「はい、それは肝に銘じます。」

「では、このクロウラー討伐依頼は、ジャズさん達の一党《パーティー》にお任せ致します。くれぐれも気を付けて下さいね。」

「はい、では、我等はこれで。」

よし、クロウラー討伐依頼を受けた、早速道具屋に行って、解毒薬を買ってこよう。

「ご主人様、このクロウラーというモンスターはどの辺りに多く生息していると思われますか?」

「うーん、多分草原か森のどちらかに行けば、大抵居ると思うが、出くわす時は出くわすモンスターだからな。報酬の2体で銀貨1枚ってのも、案外楽ではないかもな。」

こうして、俺達は早速道具屋で買い物をして、解毒薬を3つ購入した。

アイテムボックスにそれを入れ、一応の準備は整った。

これでいつでも出発出来るが、その前にやっておく事がある。

「フィラ、少し休憩してから向かおう。」

「はい、ご主人様。」

 よーし、確か俺にはフィラのステータスに干渉出来るようになったんだよな。早速フィラを見てみよう。


 フィラ  HP35
 職業 アマゾネス
 クラス ウォーリアー

 
 筋力 C  体力 C  敏捷 C
 器用 C  魔力 F  幸運 A


 スキル
 ・幸運上昇

 スキルポイント5

 武器熟練度  斧 215


 ふーむ、こんな感じか。この世界の住人であるフィラには、やはりレベルは存在しない様だ。

 能力値も数字ではなくアルファベット表示だし、それにスキルポイントがどうすれば増えるのかも解らない以上、無暗にスキルを習得させるのは控えた方がいいだろう。

 まずはフィラの今の状態で、どの程度戦えるのかを確かめないと、それからスキルを何か習得させればいいと思う。

それにしてもフィラは優秀なんだな、ほとんどの能力値がCだ。

これは平均より少し高めといったところだろう。流石ウォーリアーという事か。

今までフィラは戦いの経験を積んできたという訳なんだな、正しく戦士だな。

「それじゃあフィラ、外へ出ようか。」

「はい。」

 クラッチの壁門までやって来た。門衛にギルドカードを見せて、目的を話し、町の外へと出る。

「気を付けてな~」と言う門衛の声を背に、まずは草原へと向かう事にした。

街道を道なりに歩き、しばらく進んでから、途中の横道へと入り、また歩き出す。

「こうしてご主人様と行動を共に出来る事は、私にとってとても嬉しい事です。」

「そうなのか?」

「はい、こうしてまた、歩ける様にして頂いたご恩は、決して忘れる事は出来ません。本当に感謝致します。ご主人様。」

 フィラはこちらを向き、丁寧にお辞儀をした。フィラは本当にいい娘さんだな。うむ、いい奴隷を買ったと思う。

「フィラ、遠慮しないで、何か言いたい事があれば言ってくれよ。出来る限りの事はするつもりだからさ。」

「そんな! ご主人様は只、私にとって大変素晴らしい方だと思います、言いたい事などございませんとも。」

うーむ、遠慮してるな、フィラの奴。

「そうじゃなくてな、フィラ、戦闘になったら一々気を遣っていたら上手く事が運べない事だってあるだろう? なので、戦いになったら俺の事はご主人様ではなく、「ジャズ」と呼んでくれればいい。」

「………………解りました、では、戦闘になったらジャズ様と呼ばせて頂きます。」

 うーむ、まあいいか。様はいらないと思うけど、フィラがそうしたいと言うのであれば、そうしよう。

 そうこうしていると、目的地の草原地帯へとやって来た。

周りを見渡すが、モンスターの影も形も無い。

時折吹く風が頬を撫で、心地よい気持ちになる。広大な草原を眺め、伸びをする。

「う~~~ん、空気が美味い。」

「それに良い天気です。」

 まったくだ、昼寝でもしたいくらいだな。おっと、俺達はピクニックに来た訳ではなかった。

早速討伐目標であるクロウラーを探す。

 辺りには人っ子一人居ない、モンスターの姿も。本当に居るのかね、クロウラー。まあ、気長に探すか。

もし戦いになったら、まずはフィラに任せよう。フィラの戦い方を見たい。

どんな戦法を取るのかな。戦士だから、やっぱり前衛バリバリの肉弾戦メインなのかな? 

まあ、ウォーリアーだし、多分そうだろうな。

「居ないな、………………モンスター。」

「ええ、そうですね………………。」






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