おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。

お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)

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第109話 旅 ⑥

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  オーダイン王国  王都――――


 王都防衛戦は、既に始まっていた。無数のモンスターに囲まれ、王都は所々から火の手が上がっていた。

防衛の要はまず北門、次に南門、東門、西門と、四つの防衛拠点である。

特に重要なのが北門付近で、モンスターは北からやって来る。なので、モンスターの層も厚かった。

 比較的手薄なのが、南門付近である。だが、戦いにセオリーというものが通用しない場合もあるように、この戦は、モンスターが、まるで戦略的な行動を執っている節があった。

 対して、こちらの戦力は、兵士や衛兵は勿論、冒険者、傭兵、盗賊の各ギルド、果ては退役した者も含めて、戦える者は全て駆り出されていた。

 その構成は、人間ヒューマン、エルフ、ドワーフ、獣人族の四種族連合。男女問わず戦いに参加していた。

 緊急事態という事で、奴隷商からは戦闘奴隷も戦いに参加した。王都が落とされれば、商いどころではなくなる。

ヘイワードは城壁の上から弓で攻撃していた。バリスタや投石器は既に全開でフル稼働していた。

フィラは北門に配置され、門の外へ出て、接近してくるモンスターを相手に奮戦していた。

前衛職はみな、城壁の外へ出てモンスターに対処している、乱戦である。

北門防衛を担っていた守備隊長が一人、ちる。

「まさか、ゴブリンだけじゃなく、オークに大鬼のオーガまで居るとはな。奴らが徒党を組んでいるとは、一体どういう訳なのだ!」

副官も、それに相槌を入れる。

「まさか、三種族連合とでも言うのでしょうか?」

「フン、シャレにもならん。今はまだ持ち堪えているが、いつモンスターの増援が来るか解らん。」

そこで、ヘイワードが守備隊長に進言した。

「そう言えば、魔の森の監視所がやられた時、妙な男が一人、モンスターを率いていました。おそらくはそいつがこのモンスターを先導しているのかもしれません。」

「本当か? だとしたらこの戦略的な動きも納得するしかあるまい。」

兵士たちの間に不安が過ぎる。モンスターの後ろには人の思考が付いているという事に。

「兎に角、応戦するしかないぞ! 気を引き締めろ!」

「「「「「「 おう!! 」」」」」

フィラは戦い続ける、目の前のモンスター相手に一歩も引かず、果敢に挑んでいた。

「ほーう、あのアマゾネス、いい動きをしているな。」

守備隊長はフィラの戦いぶりを見て、奮起させられていた。

「負けてられんな! 迎撃! もっと気合を入れろ!」

北門は何とか持ち堪えられそうであった。だが、守備隊長の元に伝令がやって来る。

「伝令! 至急伝!!」

「何事だ!」

「み、南門付近にて、モンスターの増援多数、目視したとの事です!」

「なにい!? 南門だと、ここから反対方向ではないか! ここから今行って間に合うのか!」

「大型のモンスターが確認されたとの情報があったみたいです!」

「南門にも部隊は配置されていた筈だぞ! その部隊はどうした?」

「そ、それが、西門と東門にモンスターが現れたらしく、そちらの方へと向かいました。」

「ええーい! 何の為に部隊を配置させていたのだ! ちょっと突かれたぐらいで取り乱しおって! 司令官はなにやってんだ!」

「どうしましょう? 隊長。」

守備隊長は少し考え、そして決断する。

「おい! そこのお前、それとお前もだ、あとは、そこのアマゾネス! 馬を使っても構わん! 急ぎ南門へ向かってくれ!」

フィラも呼ばれ、「はい!」と、返事をし、フィラは馬に跨り、急ぎ駆ける。

王都は広い、北門から南門まで、馬を使っても時間が掛かる。フィラは急ぐ。南門へと。

(間に合えばよいのですが。)

唯一の望みは、街中にモンスターが転移してこない事が、まだマシといったところであった。

 南門付近へと馬で駆け付けたフィラは、そこで、今正に南門が破られたところへと辿り着いた。

 馬を降りて、すぐさま戦闘態勢へと移行するフィラ。南門を破ったのは、大型モンスターのオークロードだった。

 オークロードとは、オークよりも一回り大きい個体であり、紛れも無く大物ボスモンスターである。

 他のオークより、一回り大きい。浅黒い皮膚、筋骨隆々とした体躯、オークのロードという名に相応しい風貌だった。

「オークロードですか、厄介ですね。しかし、ここをやらせる訳にはいきません!」

フィラは身構え、オークロードを見据える。

 オークロードはフィラに対して、真っ直ぐに向かっていき、巨大な棍棒で叩き潰そうと武器を振り上げる。

 フィラはその攻撃の軌道を読み、最小限の動きで回避。棍棒が地面に叩きつけられると同時、フィラは棍棒を足掛かりに駆け上がり、オークロードの顔にアックスを叩き込む。

「ブモオオオオーー!?」

オークロードは悲鳴を上げ、ダメージが入った事を物語っていた。

「いけそうですね。」

フィラは更に攻撃しようと試みたが、オークロードは棍棒を振り回し、暴れる。

「ぐっ!?」

 その棍棒が、フィラに直撃し、フィラはノーバウンドで吹っ飛び、瓦礫のある方へと叩き飛ばされた。

「いつつ、これは、かなり、ヤバいですね。」

フィラは思いのほか、ダメージを負った。体のあちこちが悲鳴を上げていた。

「何とか……、しなければ………。」


  オーダイン王国  王都への道すがら――――


 「あ!?」

 何か嫌な予感がして、急ぎフィラのステータスをチェックしたところ、なんとフィラのHPが減っていた。

「こりゃいかん! フィラは今、戦っているのか。だとしたら何か有用なスキルを習得させなければ。」

フィラのスキルポイントは今、8ポイントある。

(そうか、フィラは今まで頑張っていた訳なんだな。)

フィラが元気そうで安心したが、今はそれどころじゃなさそうだ。

早く何かのスキルを付けてやらねば。

 HPが半分ぐらいまで減っている、減り方を鑑みるに、おそらく大型モンスターとの戦いになっている可能性が高い。

まずはこいつを何とかしないと、差し当たって「最大HP中上昇」のスキルを習得させよう。

俺はメニューコマンドを操作して、フィラにスキルを習得させた。

スキルポイント3ポイントで、「最大HP中上昇」のスキルをフィラに付ける。

 これで、残りは5ポイント、他には、そうだ! 強敵と戦っていそうだから、筋力に影響する「ストレングス」の更に上位版。「ハイストレングス」を付けよう。

よしよし、「ハイストレングス」が付いた。これで大抵の奴とは渡り合えるだろう。

残りのスキルポイントは1ポイントか。ここは残しておくべきだな。

よーし、こんなもんか。フィラのステータスをチェックだ。


フィラ  HP45

職業  アマゾネス
クラス  ウォーリア

筋力 A  体力 B  敏捷 B
器用 B  魔力 F  幸運 A

スキル
・幸運上昇
・ストレングス
・スピード
・タフネス
・斧熟練
・器用上昇
・最大HP中上昇
・ハイストレングス

スキルポイント 1P

武器熟練度  斧 370


こんな感じだ。うむ、中々のステータスじゃないかフィラ。もう俺を超えてるかもな。

おっと、こうしちゃおれん、直ぐにでも王都へと向かわねば。

俺は急ぐ為、気持ち速度を速めにランニングをして、街道を突き進んだ。

途中、モンスターと遭遇するも、いかずちの小太刀であっけなく粉砕。障害にもならない。

「この体は凄いな、流石エースの身体といったところか。」

一度も立ち止まる事無く、走りながら戦闘をして、モンスターを蹴散らしながら、前へと駆ける。

「フィラ、頼むから無茶だけはしないでくれよ。」

俺は走る、王都まで目指して、あとどれ位の距離があるのだろうか? 解らんが、兎に角急ぐ。

新たな体にも慣れてきた、戦いや戦闘行為は問題ない。やれる。と、思う。

「自分がどこまで出来るかが、問題だが、何とかやってみるさ。」

全速力で街道を駆け抜け、自分の速さに驚きつつ、ひたすら走る。

息切れも無し、体はすこぶる良好だった。













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