おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。

お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)

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第110話 旅 ⑦

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  オーダイン王国  王都――――


 この国は今、モンスターに攻め込まれていた。王都だけではない、あちこちの村や町から、モンスター被害の報告が王都へと入って来る。

 司令室はそれらの情報で溢れ返り、司令官もまた頭を悩ませていた。

「ええーい! なぜ私がこんな末端の所まで面倒を見ねばならんのだ!」

「ほ、報告します! 北のウニ村がモンスター被害に遭っている模様です!」

「報告はいい! 今は王都防衛が急務だ! 後にしろ!」

司令官は混乱状態にあった。次々と舞い込んでくる情報に、頭がパニックを起こしていた。

そこへ、更に悪い知らせが届く。

「伝令! 南門が破られたとの報告が!」

「な、なんだとお! ええーい! 守備隊は何をやっておるのだ!」

「冒険者たちが防衛に当たっていますが、ここまで攻め込まれるのも時間の問題かと!」

「ええーい! もうよいわっ!!」

司令室は司令官共々、混乱を極めていた。


 
 一方、西門付近では、ポール男爵たちが拠点防衛の為、戦いに参加していた。

西門の防衛である、ポール男爵たちは互いに連携が執れていて、上手く機能していた。

 大盾使いのガイアが敵の攻撃を引き付け、戦士のオルテガがハンマーでダメージを与え、盗賊のマッシュが敵をかく乱、ポール男爵が止めを刺す。

男爵たちは、確実に一匹づつモンスターを倒していた。その戦いぶりは、周りに勇気を与える程だった。

「男爵様、どうして我等よその国の者が、この国の為に戦わなくちゃならんのですか!?」

「そうですよ、このモンスターの数は尋常じゃありませんよ!!」

「男爵様、引き際を間違えないでくださいよ!」

取り巻き達は不平、不満は口にしても、やっている事はやっていたので、只の軽口を叩くだけであった。

「ばかもの! 我等は「カウンターズ」だと言っただろうが! 国境などという些細な事に拘っていては、活動できんではないか! シャイニングナイツの支援組織を名乗るのならば、まず自ら行動しなければならんのだよ!」

ポール男爵はメンバーにげきを飛ばし、互いに奮起していた。

西門は、どうにか持ち堪えられそうであった。



 一方、南門付近では、フィラとオークロードが戦っていた。

戦いながらも、フィラは感じ取っていた。体に力がみなぎっている事に。

(ご主人様、きっと貴方が私に何かしてくださっているのですね。解ります。)

フィラはオークロードの周りにいるオーク共を次々と屠り、オークロードまでの進路を確保した。

ほぼ一撃でオークを倒して、勇猛果敢に攻めていく。

オークロードに肉迫し、棍棒による攻撃を搔い潜り、フィラはオークロードまで一気に接近した。

「この位置! もらいました!!!」

 フィラはバトルアックスを両手に持ち、下から上へと振り上げ、オークロードに大ダメージを与える。

オークロードの肉が削れ、体液と血が飛び散り、もう一押しといったところである。

「ブゴオオオオーーー!」

オークロードは叫び、苦し紛れに巨大な棍棒を振り回す。だが。

「その攻撃の軌道は読めています!」

 フィラはいとも簡単に躱す。そして、攻撃後の隙を突き、ジャンプをして一気にオークロードの頭部へと迫り、アックスを構える。

「ラストです!!」

フィラはオークロードの頭部を狙い、バトルアックスを振り下ろし、そのまま地面まで振り抜く。

「ブヒイイイイィィィーーー………………。」

一刀両断である。フィラの一撃は間違いなくクリティカルヒットだった。

オークロードは堪らず悲鳴を上げ、そのままズシーンと後ろに倒れ、ピクリとも動かなくなった。

「はあ、はあ、………どうやら、オークロードを倒したみたいですね。」

 フィラも満身創痍だったが、それ以上にオークロードを倒したという事に、僅かな希望が見えてきた。

この光景を見ていたモンスターは、みな一斉に武器を捨て去り、一目散に逃げだしていく。

オークロードが倒れた事による、モンスター側の被害は甚大であった。

そして、倒れた事によって、モンスターが壊走して逃げ帰っていく。

その光景を見ていた人物が一人居た、シャイニングナイツのシャルロットである。

シャルロットはパチパチと拍手をし、フィラに向かいこう言った。

「見事な戦いぶりだ! まさかオークロードを一人で倒すとは、危険なようなら支援に入ろうかと思っていたが、………貴女、名前は?」

フィラは呼吸を整えつつも、それに答えた。

「私はフィラと言います。戦士です。」

「フィラか、良い名だ。物は相談だが、貴女、シャイニングナイツに入隊してみないか?」

「私が!? シャイニングナイツに………。」

この突然の申し出に、フィラは困惑した。シャイニングナイツといえば有名である。

フィラも、シャイニングナイツに対して憧れの様なものを感じていた。

そのシャイニングナイツの隊長に、誘われたのである。当然、嫌な感じではない。

 しかし、フィラはジャズの戦闘奴隷である。その事があり、返事はその場では出来ないと判断した。

「申し訳ありませんが、折角のお誘い嬉しいのですが、私は戦闘奴隷なのです。自分の一存では決めかねます。」

「貴女程の実力者を、このまま放ってはおけません。解りました、私が貴女のご主人に話を着けてみましょう。」

「そ、それは、ちょっと。」

シャルロットは話を切り上げ、次の戦場へと向かう。

「南門は、もう大丈夫みたいですね、私はこれから他の戦場へと向かいます。先程のお話、考えておいて下さい。では!」

 南門は、確かに静かになっていた。オークロードを倒したので、モンスターが逃げて行くのである。

その光景を見つつ、フィラは少し考えてしまう。

(私が、シャイニングナイツ………ですか。)

「ご主人様と、よく相談してみましょうか。」



 一方、西門付近では。

「あれ? あれあれ? 男爵様、モンスター共が逃げていきますぜ!」

「なに!? 本当だ! 一体どういう事なのだ?」

「我等が疲れ切っている今がチャンスの筈なのに、逃げるとは一体?」

 西門の防衛も、何とか落ち着きつつある様子であった。そんな中に、モンスターが逃げ帰る群れの中で、一人の男がぽつんと佇んでいた。

「な、なんだ!? 一体どうしたというのだ!? 何故逃げるのだ!?」

その男は、一人大声で喚き散らし、地団駄を踏んでいた。

「もう少しで王都を落とせる筈なのに! 何故逃げるのだ! おい! 逃げるな! 戦え! 私のシカケは完璧なのだぞ!!」

一人ぎゃあぎゃあと喚くその男には、男爵は見覚えがあった。

「あれは、確か、アイバーではなかったか?」

他の取り巻きたちも、その姿を目撃して、いつかの「天才軍師」だと思い出す。

「確かに、ありゃあアイバーですね、こんな所で一体何をやってんでしょうか?」

「さあな、解らんが、独り言を紐解くと、どうやら奴がこのモンスター共を操っていた可能性があるな。」

「なんですって!? 男爵様、そりゃ見過ごせないじゃないですか!」

「ああ、確かに、そうだな。」

ポール男爵たちは、武器を構えながらアイバーに近づく、そして、声を掛ける。

「おい! アイバー! 貴様こんな所で何をやっている!」

言われて、アイバーは男爵たちを見据えて、苛立ちを隠さずに返事をした。

「なんだ! 誰かと思えば間抜け男爵共ではないか! 邪魔だ! あっちに行っていろ!」

「おいおい、ご挨拶だな。貴様がこのモンスター共を操っていたのか?」

「その通りだ! 俺様の力によってな! この「支配の杖」のマジックアイテムを頂いて、俺様はより偉大になる予定だったのに! この役立たずが!」

 アイバーはあっさりと白状し、手にしていた杖を投げ捨てた。その途端、杖は砂に変わって地面へと崩れ落ちる。

「フン! やはり安物だったか。あの女め! こんな役立たずの品をよこしやがって!」

この話の流れから、男爵は察した。やはりこの男が何らかの原因だと。

「おいアイバー。俺達は「カウンターズ」を結成した。ダークガードに対抗する為だ。」

「けっけっけっけ、ダークガードに対抗する? やはり間抜けだったな男爵。いかにも! 俺様はダークガードなのだよ! 今回の作戦も私が指揮をしたのだ。けけけけ。私のシカケは完璧! 完璧なのだよ!!」

アイバーはべらべらと喋り、男爵たちは眉間に皺をよせつつ相手をする。

「ほほーう、つまり、お前を拘束、ないしは倒さなければならん。と、言う事で構わないのだな?」

アイバーが背中から新たな杖を取り出し、ポール男爵たちはそれぞれ武器を構え、その間に言い知れぬ緊張感が漂う。

こうして、王都防衛戦は最終局面を迎えた。

ポール対アイバー、果たして。二人の男の決着の行方は。














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