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第十章
剣を直すのに必要なもの1
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「ん……あれ?」
熱気と一定のリズムで鳴り響く金属音で圭は目が覚めた。
家のベッドで寝ていたはずなのに気づくと見知らぬ床で見知らぬ天井を見上げて寝ていた。
「ぬ……おもっ……」
体を起こそうとしてズシリとしたものが乗っかっていることに気がついた。
視線を下げて自分の体を見ると圭に抱きつくようにして寝ているシャリンが見える。
最初シャリンは夜滝の部屋で寝かせようとしたのだけど嫌だと言って聞かなかったので圭と寝ていた。
「フィーネモイルヨ」
「あっ、フィーネ」
シャリンの髪の中からフィーネが出てきた。
今はフィーネも圭と寝ている。
普段はいつもの丸い小さい姿なのだけど時々人の姿でシャリンと一緒になって圭を挟み込むように寝ていたりもする。
「シャリン」
「にゅ……」
シャリンの頭を撫でるようにして起こす。
ただ寝ている姿を見ていると普通の可愛らしい子供のようだが中身は強い悪魔である。
見た目も軽そうに見えるのだけど意外とずっしりしている。
「ケーイ」
「ん、ちょっと起きてくれるか?」
シャリンは甘えた声を出して圭の胸に頬を擦り付ける。
犬や猫などの動物みたいで思わず笑ってしまう。
「よいしょ」
「ここは……工房?」
シャリンが上からどけてようやく圭は体を起こした。
真っ先に目についたのは赤々と燃える炎が熱を放つかまどであった。
「ふっ、いつの間にかとんでもないもの飼い慣らしてるな」
「あんたは……イスギス」
気づけば金属音が止んでいて、大きなハンマーを肩に担いだ紫の瞳をした女性が上から覗き込んでいた。
神になった鍛冶職人のイスギスであった。
「相変わらず元気そうだがどうやってこんな存在を手懐けたんだ?」
シャリンは警戒するような目をしてイスギスのことを見ている。
見た目は可愛らしいシャリンだがイスギスはシャリンに見た目には騙されないようである。
「色々あってな」
「そうか」
簡単に説明しようにも経緯は結構複雑だ。
ぼやかして答える圭にイスギスも深くは追及しなかった。
フィーネは人型になって壁にかけられている剣を手に取っている。
圭ほどの大きさもある大きな剣なのに軽々と持ち上げてシャリンに対して自慢げに胸を張っている。
イスギスもチラリもフィーネとシャリンのことを見たが特に注意するわけでもなさそうなので圭も二人の好きにさせておく。
「それで……何の用で呼んだんだ?」
もうここがイスギスの工房であることは理解した。
イスギスの工房に圭自ら行こうとしたわけではなく、他の存在がイスギスの領域に勝手に圭を送り込むこともできない。
となるとイスギスが圭を呼んだことは明白である。
「これだよ、これ」
「あっ、それって」
イスギスはテーブルの上にあった折れた剣を手に取った。
刃の部分がポッキリと折れてしまっているそれはラクスの剣である。
どうしてこんなところにあるのかと圭は驚く。
「刃が全部揃った。だから直してやろうと思ってな」
ラクスの剣は神の力が宿った特殊な剣であり普通の人には直せない。
以前圭はイスギスのお願いを聞いてあげたことがあり、代わりにラクスの剣を直してくれるという約束をしていた。
圭は気づいていなかったけれどラクスから受け取った刃でラクスの剣の失われた部分を取り戻せていたのである。
そのためにイスギスは剣を直そうと圭と剣を呼び寄せたのだ。
ただフィーネとシャリンまでついてくるのは意外だった。
フィーネは以前にもついてきたので可能性があったがシャリンがいたことには驚いた。
ただそばにいるだけではない不思議な繋がりがあるのだなとイスギスは思った。
「直してくれるのか?」
「もちろん約束だからな。まあ勝手に直すわけにもいかないからお前のことを呼んだのさ。一度会って繋がりができてるからこうして短時間なら呼び出せるようになってるんだ」
「へぇ……」
「まあもう時間切れのようだがな」
「……早いな」
「しょうがない。私もお茶ぐらいしたいがそこまで緩いルールじゃないからな。ともかくこれは任せてくれ。できるまでの時間は分からないが……できたらまた呼ぶからさ」
「分かった。頼むよ」
「折れる前より良いもんにしてやるよ」
イスギスはニカっと笑う。
「寝てるとこ悪かったな。んじゃまたな。今度は酒でも持って寝てくれ。そしたらきっと持ってこれるから」
「なら事前に呼ぶって言ってくれ」
「ははっ! 確かにそうだな」
圭の視界でぐにゃりと世界が歪んだ。
意識はハッキリしてるのにまるで意識がなくなる直前みたいに世界が変に歪んでいってやがて全てが混ざり合って真っ暗になる。
「…………戻ってきたのか」
一瞬まばたきをした。
そして次の瞬間には圭は自分の部屋のベッドに横たわっていた。
「シャリンと……フィーネもいるな」
「イルヨ」
「いるよ!」
圭を挟み込むようにしてシャリンとフィーネ戻ってきていた。
本当に体ごと行っているのか精神だけ行っているのかいまいち分からないなと圭は思った。
だけどイスギスが剣を直してくれるというのなら安心だ。
「もう一眠りしようか……」
時計を確認するとまだ夜中の時間だった。
起きて活動するにはまだ早い。
せっかくベッドの中にいるのだし圭はもう一眠りすることにして目を閉じた。
ーーーーー
熱気と一定のリズムで鳴り響く金属音で圭は目が覚めた。
家のベッドで寝ていたはずなのに気づくと見知らぬ床で見知らぬ天井を見上げて寝ていた。
「ぬ……おもっ……」
体を起こそうとしてズシリとしたものが乗っかっていることに気がついた。
視線を下げて自分の体を見ると圭に抱きつくようにして寝ているシャリンが見える。
最初シャリンは夜滝の部屋で寝かせようとしたのだけど嫌だと言って聞かなかったので圭と寝ていた。
「フィーネモイルヨ」
「あっ、フィーネ」
シャリンの髪の中からフィーネが出てきた。
今はフィーネも圭と寝ている。
普段はいつもの丸い小さい姿なのだけど時々人の姿でシャリンと一緒になって圭を挟み込むように寝ていたりもする。
「シャリン」
「にゅ……」
シャリンの頭を撫でるようにして起こす。
ただ寝ている姿を見ていると普通の可愛らしい子供のようだが中身は強い悪魔である。
見た目も軽そうに見えるのだけど意外とずっしりしている。
「ケーイ」
「ん、ちょっと起きてくれるか?」
シャリンは甘えた声を出して圭の胸に頬を擦り付ける。
犬や猫などの動物みたいで思わず笑ってしまう。
「よいしょ」
「ここは……工房?」
シャリンが上からどけてようやく圭は体を起こした。
真っ先に目についたのは赤々と燃える炎が熱を放つかまどであった。
「ふっ、いつの間にかとんでもないもの飼い慣らしてるな」
「あんたは……イスギス」
気づけば金属音が止んでいて、大きなハンマーを肩に担いだ紫の瞳をした女性が上から覗き込んでいた。
神になった鍛冶職人のイスギスであった。
「相変わらず元気そうだがどうやってこんな存在を手懐けたんだ?」
シャリンは警戒するような目をしてイスギスのことを見ている。
見た目は可愛らしいシャリンだがイスギスはシャリンに見た目には騙されないようである。
「色々あってな」
「そうか」
簡単に説明しようにも経緯は結構複雑だ。
ぼやかして答える圭にイスギスも深くは追及しなかった。
フィーネは人型になって壁にかけられている剣を手に取っている。
圭ほどの大きさもある大きな剣なのに軽々と持ち上げてシャリンに対して自慢げに胸を張っている。
イスギスもチラリもフィーネとシャリンのことを見たが特に注意するわけでもなさそうなので圭も二人の好きにさせておく。
「それで……何の用で呼んだんだ?」
もうここがイスギスの工房であることは理解した。
イスギスの工房に圭自ら行こうとしたわけではなく、他の存在がイスギスの領域に勝手に圭を送り込むこともできない。
となるとイスギスが圭を呼んだことは明白である。
「これだよ、これ」
「あっ、それって」
イスギスはテーブルの上にあった折れた剣を手に取った。
刃の部分がポッキリと折れてしまっているそれはラクスの剣である。
どうしてこんなところにあるのかと圭は驚く。
「刃が全部揃った。だから直してやろうと思ってな」
ラクスの剣は神の力が宿った特殊な剣であり普通の人には直せない。
以前圭はイスギスのお願いを聞いてあげたことがあり、代わりにラクスの剣を直してくれるという約束をしていた。
圭は気づいていなかったけれどラクスから受け取った刃でラクスの剣の失われた部分を取り戻せていたのである。
そのためにイスギスは剣を直そうと圭と剣を呼び寄せたのだ。
ただフィーネとシャリンまでついてくるのは意外だった。
フィーネは以前にもついてきたので可能性があったがシャリンがいたことには驚いた。
ただそばにいるだけではない不思議な繋がりがあるのだなとイスギスは思った。
「直してくれるのか?」
「もちろん約束だからな。まあ勝手に直すわけにもいかないからお前のことを呼んだのさ。一度会って繋がりができてるからこうして短時間なら呼び出せるようになってるんだ」
「へぇ……」
「まあもう時間切れのようだがな」
「……早いな」
「しょうがない。私もお茶ぐらいしたいがそこまで緩いルールじゃないからな。ともかくこれは任せてくれ。できるまでの時間は分からないが……できたらまた呼ぶからさ」
「分かった。頼むよ」
「折れる前より良いもんにしてやるよ」
イスギスはニカっと笑う。
「寝てるとこ悪かったな。んじゃまたな。今度は酒でも持って寝てくれ。そしたらきっと持ってこれるから」
「なら事前に呼ぶって言ってくれ」
「ははっ! 確かにそうだな」
圭の視界でぐにゃりと世界が歪んだ。
意識はハッキリしてるのにまるで意識がなくなる直前みたいに世界が変に歪んでいってやがて全てが混ざり合って真っ暗になる。
「…………戻ってきたのか」
一瞬まばたきをした。
そして次の瞬間には圭は自分の部屋のベッドに横たわっていた。
「シャリンと……フィーネもいるな」
「イルヨ」
「いるよ!」
圭を挟み込むようにしてシャリンとフィーネ戻ってきていた。
本当に体ごと行っているのか精神だけ行っているのかいまいち分からないなと圭は思った。
だけどイスギスが剣を直してくれるというのなら安心だ。
「もう一眠りしようか……」
時計を確認するとまだ夜中の時間だった。
起きて活動するにはまだ早い。
せっかくベッドの中にいるのだし圭はもう一眠りすることにして目を閉じた。
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