人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大

文字の大きさ
64 / 515
第二章

工房の問題1

しおりを挟む
「ふぇ、ふぁふぉふぉがふぃんふぁふぁって?」

「夜滝ねぇ……せめて口の中の物飲み込んでから話しなよ」

 神話等級の才能を見つけた。
 けれど本人の前でその話もできないので装備の購入を終えた圭たちは夜滝の家に帰ってきた。

 日も落ちてきていたしまだ未成年の波瑠をそんなに長くも連れ回せないけれど早めに話しておきたかった。
 少し時間が遅れそうだと波瑠が母親に連絡したら是非いくらでもどうぞと返ってきたそうだけど母親としてそれでいいのかとは少し思う。

 小腹も空いてきたので作戦会議がてら途中にあったたこ焼き屋さんで買ってきたたこ焼きを食べている。
 夜滝は熱くても丸っと口に入れてハフハフしながら食べるのが好きである。

 割と中がトロッと系なので熱さが続いて夜滝はずっとハフハフしている。

「ふーふーしてあげようか?」

「ふぁひ!? ふぁ、ふぁふぁひもふほふほひて……」

 いたずらっぽく笑う波瑠は少し冷ましたたこ焼きを圭の前に差し出す。
 夜滝も対抗しようとするけれどまだ口の中にはたこ焼きが残っていてふーふーどころの騒ぎではない。

「いいから自分で食べなさい」

「むぅ、はぁーい。かふっ、まだ中あふい!」

 ちょっと拗ねたような顔をして波瑠がたこ焼きを頬張った。
 表面は適温でも中はまだまだアツアツ。

 美味いのだけど注意が必要なたこ焼きである。

「ごくん……それであの工房のお姉さん……八重樫カレンといったかな? が、神話級だったと?」

「うん、体力の才能値が神話級で筋力が伝説。スキルや才能の能力によるだろうけど攻撃も防御も高そうだ」

「一般に考えるなら筋力が攻撃、体力が防御に近いようなものだろう。必ずしもそうではないだろうけれどタンク向きな才能はありそうだねぇ。はむ……ハフハフ」

 欲しいと思っていたタンクの最上級になりそうな原石を見つけた。
 まだ詳細なところは不明であるけれど素の能力だけでもそこら一般の覚醒者より強くなれることは間違いない。

「ただ……どうやってこのことを伝えるかだよな」

 正直なところ圭がいきなりあなた覚醒者になれますよって言われても詐欺を疑う。
 今でこそ少なくなったが少し前にそうやって覚醒者になれる、あるいは覚醒していても強くなれるなどの覚醒者詐欺ビジネスも横行していた。

 波瑠については自然と流れて覚醒して、圭が助けたってところから話も聞いてもらえた。
 けれどもカレンについては客より深い関係性になるのは難しい。

 理由をつければ通えそうな感じはあるがあまり頻繁に行くお店でもない。

「それなら正直に言っちゃえば?」

「それも1つの手だよな」

「多分見てた感じ、あのお姉さん覚醒したいんだと思うよ」

「そうなのか?」

「圭さん女心ってやつが分かってなーい。あのお姉さんもおじいさんに認められたくて、覚醒者の装備作りたいんだと思うんだ。でも覚醒者じゃないから出来ない……さらには弟が覚醒者で、装備作れて、認められてお店に並ばせてもらって」

「なるほど……」

 そういえばそんな雰囲気もあったなと思う。
 消えいるようなつぶやきや悲しげな表情のわけが波瑠に言われてようやく分かった。

 でもそんな人だからこそ簡単には飛び付かず、警戒を強めるかもしれない。
 それに覚醒できることを話した後もまた問題はある。

 どう説得して仲間に引き入れるかも悩みどころなのだ。

「最終的には正直に話すしかないのかな?」

 ーーーーー

 後日圭は八重樫工房を訪れた。
 理由はちゃんとある。

 防具の調整のため。
 というのも八重樫工房でも防具を購入したのだけど少し圭の体格には合わなかった。

 そこで八重樫工房の方で調整してくれることになっていた。
 調整が終わったので確認に来てほしいと連絡を受けて早速圭は八重樫工房に足を運んだ。

「すまないね。私が対応させもらうよ」

 圭だってなんの策もなく訪ねたりはしない。
 策というが単にカレンに会える可能性を高めた。

 弟の優斗は高校生で日中はいない。
 さらには工房での刀匠体験がネット予約出来ることを知った圭はホームページでその予約状況を確認した。

 刀匠体験はカレンのおじいさんである八重樫和輝やえがしかずてるという人が行なっている。
 つまり日中であり、刀匠体験の予約が入っている時に行けばカレンが対応してくれる可能性が高いというわけなのだ。

 カレンが出てきてビンゴだと思った。

「顔……どうしたんですか?」

 ただカレンの様子はおかしかった。
 目の辺りが腫れている。

 隠そうとしても隠しきれない腫れにカレンが気まずそうな顔をする。
 あまり突っ込むべきではないのだろうけど気になって口に出てしまった。

「これは……ぶつけて」

「ぶつけた? そんな……」

「……! ご、ごめんなさい!」

 これはぶつけたものじゃない。
 思わず伸ばされた圭の手をカレンはハッとした顔でかわした。

「あっ……いや、こちらこそごめんなさい」

 流石に踏み込みすぎた。

「いえ……ええと、装備はこっちです」

 八重樫工房の地下に向かう。
 そこで調整してもらった装備の試着をする。

 今回調整してもらったのはベストなようなタイプの防具で防刃性能に優れていてモンスターの牙でも簡単には傷つかない。
 そのまんまでは圭の体格に大きすぎたので少し詰めて小さくしてもらった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。 だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。 全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。 勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。 そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。 エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。 これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。 …その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。 妹とは血の繋がりであろうか? 妹とは魂の繋がりである。 兄とは何か? 妹を護る存在である。 かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~

仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

「お前と居るとつまんねぇ」〜俺を追放したチームが世界最高のチームになった理由(わけ)〜

大好き丸
ファンタジー
異世界「エデンズガーデン」。 広大な大地、広く深い海、突き抜ける空。草木が茂り、様々な生き物が跋扈する剣と魔法の世界。 ダンジョンに巣食う魔物と冒険者たちが日夜戦うこの世界で、ある冒険者チームから1人の男が追放された。 彼の名はレッド=カーマイン。 最強で最弱の男が織り成す冒険活劇が今始まる。 ※この作品は「小説になろう、カクヨム」にも掲載しています。

氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依
ファンタジー
 氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。  死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。  大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。

処理中です...