人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

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第二章

幸運な仲間達と

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 世の中何かと秘密が多いものだと思った。
 リウ・カイについては取り逃してしまった。

 このことは大きな失態であり、国民に大きな不安を与えかねないとカイについての情報は一般には公開されないことになった。
 その代わりにゲートのブレイクを大きくニュースとして取り上げることになった。

 ゲートが急なブレイクを起こしたのだけどたまたま近くで合同で演習を行っていた大和ギルドと大海ギルドで迅速にブレイキングゲートの対処に当たったというストーリーが出来上がった。
 一部が市街地近くまで漏れたものもいたが両ギルドの尽力で人的被害もなかった。

 ゲートのブレイクは突発的なもので予見し得なかったとされ、ブレイクの対応に当たった大和ギルドと大海ギルドは英雄的な取り上げ方をされている。
 そのために圭たちが表に出ることは一切なかった。

 ありがたいことではあるが社会の闇の一端を見たような気分になるのはどうしてだろうか。

「色々してもらったのにこのようなことに巻き込んで、改めてすまないな」

「もういいですって」

 和輝も体になんの不調もなく退院となった。
 圭たちにもなんの変化もなくオーシャンからといってデカいフルーツバスケットが病室に届いた以外は出来事も何もない。

 そして和輝に連れられて圭たちは覚醒者協会を訪れていた。

「八重樫和輝だ。貸金庫に入りたい」

 覚醒者協会もただ協会としてだけではやっていけない。
 組織を維持するために多少の事業もやっている。

 その中の1つに貸金庫で覚醒者のものを預かる事業をやっていた。
 覚醒者協会となれば半ば警察にも近いような権限がある。

 さらに常に建物内には覚醒者がいて警備も厳重である。
 利用者は覚醒者に限られるがこのような高い信頼感から物を預けている人も多い。
 覚醒者協会の地下に向かう。

 エレベーターで下に降りて奥に進む。

「礼というわけでも詫びというわけでもないがお前さんたちには話したし知っておく権利がある」

 金庫が並ぶ部屋のさらに奥。
 大きな扉の向こうに和輝が預けているものがある。

「よろしいですね?」

「うむ」

「1、2の3で開けます」

 扉の両側に鍵穴があってその片方に和輝が、もう片方に覚醒者協会の職員が立つ。
 鍵穴に鍵を差し込んで視線を合わせる。

「1、2の、3!」

 2人が同時に鍵を回す。
 すると扉から大きな音がしてゆっくりと開いていく。

「それではごゆっくり」

 覚醒者協会の職員はここまでで付いてこず、圭たちだけが中に入る。

「あれが……」

「そう、鉄鋼竜の心臓だ」

 真っ白な丸い部屋の真ん中、非常に異質に見える鉄鋼竜の心臓がそこにあった。
 なんとなくイメージする心臓の形には近いものがあるが鉄鋼竜の心臓は生の肉ではなく金属のようなもので出来ていた。

 そしてとにかくでかい。
 心臓だけなのに小柄な波瑠と同じぐらいの大きさがある。

 さらには力強い魔力を感じる。
 死してなお心臓は圭たち低級覚醒者の胸が苦しくなるほどの魔力を持っている。

「すごいな……」

 なのに何故か目を奪われる。

「鉄鋼竜の中にある時は柔軟で丈夫な臓器であったが今こうして取り出してみると金属としての性質を持ちながらもその強固さはあらゆるものを凌ぐ。
 魔力の伝導率も高く、鉄鋼竜の魔力は使用者に力も与えてくれるのだ」

 和輝はそっと鉄鋼竜の心臓に触れる。
 金属の塊なのに今にも鼓動しそうな生命力すら感じさせるのは生き物としての格の違いを感じさせる。

「俺にはこれに手を出す勇気がなかった。今でもそれなりの武器は作れるだろう。しかし鉄鋼竜の心臓を使ったというだけの価値しかない武器しか作れる気がしなかった。だからここまで手を出せなかったのだ」

 最高の素材を前にして職人としてのやる気にみなぎっていた時もある。
 だが鉄鋼竜の心臓を使ったその先に生み出されるべき完成形がイメージ出来なかった。

 中途半端になるぐらいなら手を出さない方がいいと思った。
 鉄鋼竜の心臓を使った武器ということで賞賛はされるだろうが納得もいかない武器が世の中で賞賛されることは許せなかった。

「優斗」

「う、うん!」

 鉄鋼竜の心臓に魅入られたようにぼんやりとしていた優斗に和輝が微笑みかける。

「これはお前に譲ろうと思っている」

「えっ?」

「優斗、お前は心が優しすぎるきらいはあるが俺よりも優れた職人になるだろう。
 いつか俺が成し得なかった傑作を作ってほしい」

「おじいちゃん……」

「今ならカレンも覚醒した。2人で協力しても良かろう」

「爺さん……」

「今日ここにきたのは鉄鋼竜の心臓を見せるためだけじゃない。ここに鉄鋼竜の心臓があることを伝えておきたかった。鍵は俺が持っているが何かあればこれはお前たちのものだ」

 カレンと優斗の目が潤む。
 2人の父親が失踪して以来和輝は親としての役割を果たして2人を育ててきた。

 つい先日父親が亡くなっていたことが発覚したけれどそのショックは思っていたよりも小さかった。
 それは和輝が愛を持って育ててくれていたおかげなのだろう。

「僕……もっと頑張るよ! もっともっと腕を上げるんだ。腕を上げて……一人前の職人になって、そしておじいちゃんと姉ちゃんと3人で、作るんだ」

「優斗……」

 今度は和輝が驚いて、目を潤ませた。

「ならば少しはモンスターを倒せるようにならんとな」
 
「うっ……努力するよ」

 ただ作れるだけでもいけない。
 使い方を知り、使われ方を知ってこそ良いものも出来上がる。

「うう……良い話だね」

「そうだねぇ」

 波瑠も感動でうるうるしているし夜滝も泣きはしないが優しく笑っていた。
 なんというか、運がいい。

 良い人たちに出会えて、良い仲間となれた。
 色々事件はあったもののこうした出会いはとても幸運なことであったのではないかと圭は思っていた。
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