117 / 515
第三章
奇妙なステータス2
しおりを挟む
お金を通じて鈴木も圭が本気だと思ってくれることだろう。
「なんと信心深い……その誠意は受け取っておきましょう」
鈴木はニコリと笑うとアタッシュケースを自分の近くに引き寄せる。
これだからやめられないと鈴木は思う。
真面目に働いているのがバカらしくなるようなお金が目の前に転がり込んでくる。
「つきまして……いつ頃強くなれますか?」
慎重に、かつ大胆に話を進める。
「うーむ、それにつきましては……」
「やはり強くなれるというのは嘘だったのですか?」
「いえいえ! そんなことはございません!」
「ではなぜ渋っているのですか?」
「その……順番が。そう、言うなれば病院みたいなものです」
今すぐ強くしてくれと言うに困ったような表情を浮かべる鈴木。
強くなれるというのは嘘だったのかと疑うがそうではないみたいである。
「病院ですか?」
「ええ、そうなんです。村雨様の他にも強くなりたいという方は大勢いらっしゃいます。病院の治療のようなもので先に待っていらっしゃる方がいますのですぐにとはとても……それに最近監視の目が厳しくて」
当然強くなれるというのならみんな強くなりたい。
強くしてもらえる時を待っているのは圭だけじゃなく多くの人が列をなしている。
ある程度割り込みさせることはできるが圭よりも黒月会に対して貢献度が高い人はいくらでもいる。
そうした人の前にポッと出の圭を入れるのは簡単ではないのだ。
治療を待つ病院のようなもので多少待たねばならないということである。
「お強くするのにも準備が必要でございまして、そのために色々と必要なことがあるのですが協会や警察が最近目を光らせておりましてなかなか……」
「そうなんですか」
「申し訳ございませんが少々お待ちいただくことになります。私の権限で出来る限り早く村雨様の順番が来るようにはいたしますので」
「そう……ですか」
「大変申し訳ございません。もしくはさらにお布施いただきますと順番はより早くなると思います」
「……それも検討してみます」
「ありがとうございます」
正直なところ圭としても今すぐやると言われたら焦るところだった。
「それでは……例えば他の人が強くなるところの見学なんてことはできますか?」
「見学ですか?」
鈴木が意外そうな顔をする。
少し踏み込みすぎたかと思うがここで引き下がるのも不自然に映るのでこのまま行くしかない。
「どんなことをやるのかなと。痛いことだったら嫌ですし」
「もちろん痛いことはありませんが……そうですね」
鈴木はスマホを取り出して操作する。
「次の集会で与力の儀があります。よければご出席ください。その時にどのように力を与えるのか見学出来ますので」
「本当ですか」
「本来は一般会員の方は実際に功績を上げたり自分の順番が来て与力の儀に参加を許可されねば参加出来ませんが、今回は私の権限でご見学を許可しましょう」
やはり3000万円という金額は効いていた。
金づるを逃してはならない。
鈴木は大金を賄賂として渡してきた圭を繋ぎ止めるために一瞬で柔軟な対応を見せてきた。
もし見学を終えてその気になればもっとお金を引き出せるかもしれないと計算した。
「強くなれること、保証いたします。もちろん痛くもありません。お気に召しましたらお布施で貢献なされればより早く順番も早く回ってきますので」
改めて強く念を押す。
「分かりました。見学してみて決めたいと思います」
「他にも何か質問などはありますか?」
「いえ、親切にどうもありがとうございます」
「こちらこそ。村雨様の信心深さのほどはよく心得ておきます」
あまり長居してもよくない。
圭は笑顔を浮かべて鈴木と握手を交わして立ち去ろうとする。
「嶋崎さんは少し残ってください」
「はい」
嶋崎が鈴木に呼び止められる。
大丈夫だと嶋崎に視線を送られて圭はそのまま部屋を出ていく。
「なかなか良い人を連れてきましたね」
圭に見せていた営業スマイルを消して札束を1つ手に取って鈴木がソファーに深く座り直す。
パラパラと札束をめくって匂いを嗅ぐ。
新品のお札の香り。
ニタリと口の端を歪めて笑う。
「どこで知り合ったのですか?」
「大学の後輩です」
「へぇ……著名な方には見えませんが」
「彼の祖父がお金持ちだったらしくて最近遺産が入ってきたようです」
「ふーむ、なるほどなるほど。ふふふ、後輩を連れてくるなんてあなたも悪い人だ。強くなれると言ったって高が知れているのに。はぁ~良い香りです」
「少しでも何かにすがりたいんじゃないでしょうか」
「強くなるよりもお金の方がいいのに。全く覚醒者は分からない。今回は良くやりました。こちらあなたにも差し上げましょう」
鈴木は匂いを嗅いでいた札束を嶋崎に投げ渡す。
「ありがとうございます」
「今後も上手くやって彼をコントロールしてください。出来るだけ搾り取りましょう。必要無くなったら消してしまってもいい」
「そうですね……」
「こうして頑張ればあなたにも利益がありますからね。妹さん、お元気ですか?」
「なんと信心深い……その誠意は受け取っておきましょう」
鈴木はニコリと笑うとアタッシュケースを自分の近くに引き寄せる。
これだからやめられないと鈴木は思う。
真面目に働いているのがバカらしくなるようなお金が目の前に転がり込んでくる。
「つきまして……いつ頃強くなれますか?」
慎重に、かつ大胆に話を進める。
「うーむ、それにつきましては……」
「やはり強くなれるというのは嘘だったのですか?」
「いえいえ! そんなことはございません!」
「ではなぜ渋っているのですか?」
「その……順番が。そう、言うなれば病院みたいなものです」
今すぐ強くしてくれと言うに困ったような表情を浮かべる鈴木。
強くなれるというのは嘘だったのかと疑うがそうではないみたいである。
「病院ですか?」
「ええ、そうなんです。村雨様の他にも強くなりたいという方は大勢いらっしゃいます。病院の治療のようなもので先に待っていらっしゃる方がいますのですぐにとはとても……それに最近監視の目が厳しくて」
当然強くなれるというのならみんな強くなりたい。
強くしてもらえる時を待っているのは圭だけじゃなく多くの人が列をなしている。
ある程度割り込みさせることはできるが圭よりも黒月会に対して貢献度が高い人はいくらでもいる。
そうした人の前にポッと出の圭を入れるのは簡単ではないのだ。
治療を待つ病院のようなもので多少待たねばならないということである。
「お強くするのにも準備が必要でございまして、そのために色々と必要なことがあるのですが協会や警察が最近目を光らせておりましてなかなか……」
「そうなんですか」
「申し訳ございませんが少々お待ちいただくことになります。私の権限で出来る限り早く村雨様の順番が来るようにはいたしますので」
「そう……ですか」
「大変申し訳ございません。もしくはさらにお布施いただきますと順番はより早くなると思います」
「……それも検討してみます」
「ありがとうございます」
正直なところ圭としても今すぐやると言われたら焦るところだった。
「それでは……例えば他の人が強くなるところの見学なんてことはできますか?」
「見学ですか?」
鈴木が意外そうな顔をする。
少し踏み込みすぎたかと思うがここで引き下がるのも不自然に映るのでこのまま行くしかない。
「どんなことをやるのかなと。痛いことだったら嫌ですし」
「もちろん痛いことはありませんが……そうですね」
鈴木はスマホを取り出して操作する。
「次の集会で与力の儀があります。よければご出席ください。その時にどのように力を与えるのか見学出来ますので」
「本当ですか」
「本来は一般会員の方は実際に功績を上げたり自分の順番が来て与力の儀に参加を許可されねば参加出来ませんが、今回は私の権限でご見学を許可しましょう」
やはり3000万円という金額は効いていた。
金づるを逃してはならない。
鈴木は大金を賄賂として渡してきた圭を繋ぎ止めるために一瞬で柔軟な対応を見せてきた。
もし見学を終えてその気になればもっとお金を引き出せるかもしれないと計算した。
「強くなれること、保証いたします。もちろん痛くもありません。お気に召しましたらお布施で貢献なされればより早く順番も早く回ってきますので」
改めて強く念を押す。
「分かりました。見学してみて決めたいと思います」
「他にも何か質問などはありますか?」
「いえ、親切にどうもありがとうございます」
「こちらこそ。村雨様の信心深さのほどはよく心得ておきます」
あまり長居してもよくない。
圭は笑顔を浮かべて鈴木と握手を交わして立ち去ろうとする。
「嶋崎さんは少し残ってください」
「はい」
嶋崎が鈴木に呼び止められる。
大丈夫だと嶋崎に視線を送られて圭はそのまま部屋を出ていく。
「なかなか良い人を連れてきましたね」
圭に見せていた営業スマイルを消して札束を1つ手に取って鈴木がソファーに深く座り直す。
パラパラと札束をめくって匂いを嗅ぐ。
新品のお札の香り。
ニタリと口の端を歪めて笑う。
「どこで知り合ったのですか?」
「大学の後輩です」
「へぇ……著名な方には見えませんが」
「彼の祖父がお金持ちだったらしくて最近遺産が入ってきたようです」
「ふーむ、なるほどなるほど。ふふふ、後輩を連れてくるなんてあなたも悪い人だ。強くなれると言ったって高が知れているのに。はぁ~良い香りです」
「少しでも何かにすがりたいんじゃないでしょうか」
「強くなるよりもお金の方がいいのに。全く覚醒者は分からない。今回は良くやりました。こちらあなたにも差し上げましょう」
鈴木は匂いを嗅いでいた札束を嶋崎に投げ渡す。
「ありがとうございます」
「今後も上手くやって彼をコントロールしてください。出来るだけ搾り取りましょう。必要無くなったら消してしまってもいい」
「そうですね……」
「こうして頑張ればあなたにも利益がありますからね。妹さん、お元気ですか?」
105
あなたにおすすめの小説
シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~
尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。
だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。
全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。
勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。
そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。
エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。
これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。
…その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。
妹とは血の繋がりであろうか?
妹とは魂の繋がりである。
兄とは何か?
妹を護る存在である。
かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~
仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
「お前と居るとつまんねぇ」〜俺を追放したチームが世界最高のチームになった理由(わけ)〜
大好き丸
ファンタジー
異世界「エデンズガーデン」。
広大な大地、広く深い海、突き抜ける空。草木が茂り、様々な生き物が跋扈する剣と魔法の世界。
ダンジョンに巣食う魔物と冒険者たちが日夜戦うこの世界で、ある冒険者チームから1人の男が追放された。
彼の名はレッド=カーマイン。
最強で最弱の男が織り成す冒険活劇が今始まる。
※この作品は「小説になろう、カクヨム」にも掲載しています。
氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!
本条蒼依
ファンタジー
氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。
死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。
大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる