人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

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第五章

僕はヒーラーになったんだ

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 最後ギャアギャアとうるさい声はしていたがクオルカンティカートが圭たちに襲いかかってくることはなく、無事にゲートから脱出することができた。

「カレン頼む」

「大地の力!」

 一応ボスは倒したはずだがボスクオルカンティカートが本当にボスだったのかはゲートの消滅を確認しなければ分からない。
 しかしそんな悠長なことをしている時間も余裕もない。

 地下からも出て、確認は後回しにすることにしてカレンのスキルで地下への入り口を塞いでもらうことにした。
 分厚めにこんもりと入り口を覆ってクオルカンティカートが出てこられないようにしておく。

 少し雨風も弱まった中孤児院に戻る。

「この際だし食料とかも持っていこう」

 まだそこにはクオルカンティカートがいる可能性はあったが、薫も覚醒して圭たちがいれば普通のクオルカンティカートぐらいなら戦うのにも問題がないことは分かっている。
 梅山や子供たちはひとまず地下に逃げ込んだので籠るような準備も何もしていない。

 水や食料ぐらいなければ子供たちにはちょっと過酷かもしれないと思った。
 薫の案内で非常用の備蓄を取りに行く。

「ぐっ!」

「圭!」

 1番後ろからついていって警戒を行っていた圭に暗い通路から飛び出してきたクオルカンティカートが襲いかかった。

「ぐあっ! こいつ!」

 クオルカンティカートは圭を壁に押さえつけ大きく口を開いた。
 なんとか腕を差し込んで防ごうとしたけれどそのまま腕を噛みつかれる。

 防具を突き抜けて牙の先が腕にめり込んで圭は顔を歪めた。

「こんにゃろ!」

 素早くナイフを抜いた波瑠がクオルカンティカートの首裏を切りつける。
 深く首を切り裂かれてクオルカンティカートはか細く鳴いて倒れた。

「外に出てたやつがまだいたんだな」

「圭、大丈夫かい?」

「これぐらいなら……」

「ダメですよ! 圭さん、見せてください!」

 傷は浅い。
 そんなに痛みも強くないので後で治療してもいいと思っていたら薫が圭の腕を手に取った。

「おお……」

 薫の手から光が放たれて圭の腕を包み込む。
 痛みが和らぎ、痛々しい傷口が治っていく。

「ヒーラーなのか」

 脱出するのに忙しくて薫の能力についてまだ何も聞いていなかった。

「へへっ、ヒーラーって結構……」

「薫君!」

 ふらりと倒れそうになった薫を圭が慌てて支えた。

「なんだろう……急に頭が」

「魔力不足だな」

「魔力不足……?」

「そう、魔力の使いすぎだな」

 薫はまだ覚醒したばかりである。
 魔力も少なく、効率的な魔力のコントロールも分かっていない。

 ボスクオルカンティカートとの戦闘中の手助けが薫の力によるものであることは分かっていた。
 みんなを強化するのにも魔力は結構使うはずなのだ。

 ようするに薫は魔力を使いすぎたのだ。

「早めに移動して休もう」

 薫のためにもこれ以上の戦闘は避けねばならない。
 圭たちは警戒を強めて小さな押し入れとなっている部屋から水や食料を持って地下に向かった。

「梅山さん、ご無事ですか?」

「む、村雨さん……いてて。薫君は?」

「無事助け出しました。ここを開けてもらえますか?」

「分かりました……少々お待ちください」

 中から子供たちの威勢の良い声が聞こえてきて、程なくしてドアが開いた。

「ああ、よかった。無事で何よりです」

 青い顔をして立ち上がった梅山は優しく薫を抱きしめた。
 圭たちはサッと中に入るとドアを閉めてドア前に物を移動させる。

「とりあえず水と食料、あとは適当に避難用の物資なんか持って来させてもらいました」

「助かります」

「梅山さん、怪我を?」

「これぐらいなんともありません」

「そんな、ダメですよ!」

 梅山が青い顔をして脇腹を押さえていることに薫が気がついた。

「待っててくださいね。今僕が治しますから」

「薫、それ以上は……」

「いいってカレン」

「でも……」

「薫のやりたいようにさせよう」

 圭を治した時点で薫の魔力は残り少なかった。
 ここからさらに梅山を治す魔力などありはしないとカレンが止めようとした。

 それを圭が止める。
 きっと何を言ったって薫は治そうとする。

 それなら好きにさせてやった方がいいだろうと思う。
 梅山の脇腹が光に包まれて、顔色が戻っていく。

「薫君、これは……」

「へへっ、僕にも……できる…………ことが……ある」

「薫君!」

 今度は完全に気を失ってしまった。
 そうなることを分かっていた圭が倒れてくる薫を優しく受け止める。

「薫君は大丈夫なのですか?」

「大丈夫ですよ。魔力がなくなって気を失っただけです」

 慌てたような梅山に微笑みかけて安心させようとする。
 魔力不足なら問題はない。

 ゆっくり休んで魔力が回復すればそれで治るから。
 薫を部屋の隅に寝かせると子供たちが心配そうに薫の顔を覗き込む。

「なんだか幸せそうだね」

「そうだね、かおるくん笑ってる」

「良い夢見てるのかな?」

 魔力不足で倒れたのであるが薫の顔は穏やかに笑みを浮かべていた。
 怖い思いをしたけれど覚醒して、すごい力を手に入れた。

 その嬉しさが気を失っても薫の顔に出ていたのである。
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