233 / 515
第五章
歓迎、薫は男の子です
しおりを挟む
「バ、バーンスタイン・薫です! よろしくお願いします!」
「よろしく!」
「よろしくねぇ~」
「ピピ! ヨロシク!」
ご両親の許可も出たので正式に薫がリーダビリティギルドに加入することになった。
なので顔合わせやお祝いを兼ねて工房にみんなで集まることにした。
いつものメンツに加えて和輝と優斗、それに重恭も集まっていた。
料理もいくつかデリバリーして豪勢に用意した。
「えへへ、ありがとうございます!」
波瑠が薫のグラスにジュースを注ぐ。
未成年もいるので和輝以外はノンアルコールだ。
「薫さん……と言ったな」
「は、はい!」
「そう緊張せずともいい。君はヒーラーなんだって?」
和輝に声をかけられて薫が声を上ずらせた。
若い人ばかりと思っていたのに意外だった年配者の和輝の存在に緊張している。
「ま、まだ実験経験が浅くて分からないですけどた、多分治す力があると思います!」
「……どこで見つけた?」
和輝が圭に視線を向ける。
野生のヒーラーなどそういるものではない。
さらには真面目そうないいお嬢さんだと和輝は思っていた。
「たまたま運が良かったんです」
「運が良くても見つけられるものじゃないがな。だがまあヒーラーがいると戦いは大きく安定する。同等級帯なら安全に攻略できるだろうな」
ゲートを攻略するチームとしての中身はかなり良い。
おそらく一つ上のゲートでも通用するレベルで人が揃っていると和輝は感心していた。
「ただ他にはバレない気をつけた方がいい」
「他ですか?」
「ヒーラーは貴重だ。彼女のことがバレたらよそから声がかかるだろう。引き抜きに応じずとも煩わしさはあってしまうだろう」
たとえ薫が引き抜きに応じることはないだろう。
しかし応じる気がない人にとって声をかけられるということ自体面倒である。
なので圭の能力と同じく守れるようになるまでは隠しておいた方がいいのである。
「分かりました。あとそれと」
「なんだ?」
「薫君は男の子ですよ」
「……なに?」
和輝は波瑠やカレンとワイワイ食事を食べ始めている薫に再び視線を向けた。
「な、なんですか?」
穴が空くほどに見つめられて薫は困惑する。
「おい爺さん! 薫困らせんなよー!」
カレンが抱き寄せるようにして薫を和輝の視線から守る。
「い、いや……すまなかったな」
呆けたように謝って和輝は薫から視線を逸らした。
「……本当なのか?」
「本当ですよ」
「正直言って婆さんの若い時より可愛い顔してるぞ」
「そんなこと言うと怒られますよ?」
「構わん。どうせ怒られるのも死んだ後だ」
婆さん云々は冗談にしても何度見ても男だというのが信じられないなと和輝はうなった。
「俺はてっきりお前さんがまた女の子を連れてきたもんだとばかり……」
「人をナンパばっかりの人みたいに言うのやめてくださいよ」
確かにこれまで女性を仲間にしてきたけれど女性を狙って声をかけているわけじゃない。
偶然女性が才能を持っていただけなのだ。
「少しすまないことをしたな」
「目の前で言ったわけでもないですし大丈夫だと思いますよ」
「そうだな。以後気をつけよう」
そう言って和輝は日本酒が入ったお猪口を傾ける。
「お仲間が増えましたが今後の計画は何か考えていますか?」
圭が料理を食べていると隣に重恭が座った。
重恭にはギルドの事務的なことを任せていて煩わしいことを一手に引き受けてくれている。
簡単なスケジュール管理なんかもやってくれているので薫が来たことで状況の変化があるなら知っておきたかった。
「しばらく薫君の力の感じを見つつゲートを攻略していこうと思ってます。良い感じのF級やE級ゲートがあれば攻略するつもりです」
「分かりました。じゃあ探しておきます」
「なかったら自由狩猟特別区域や塔に行こうと思っています」
「チェックして良さげなゲートがなかったら早めに伝えておくようにします」
「お願いします」
重恭自身もこうしたサポート的な役割をこなすのが性に合っているらしく塔の中にいた時よりも顔色が良い。
「圭さーん!」
「おっと! どうした、薫君?」
「僕嬉しいです! こんな風にみんな歓迎してくれて……僕を必要としてくれて」
ニコニコと笑って薫が圭に抱きついた。
「僕頑張ります! だから圭さんも僕を捨てないでくださいね……」
「捨てるなんてことしないさ。薫君はもう大切な仲間だからね」
「えへへ、嬉しいな……」
薫は頬を赤らめて笑っている。
薫が嫌だとでも言わない限り圭の方から見限ることはしない。
「むー……」
「何と言うかねえ……」
圭に対する薫の距離が近いのではないか。
そんな風に2人の様子を見ながら波瑠と夜滝は思っていた。
けれど薫は男である。
男である薫が男である圭に抱きついていたところでなんてことない、はずなのだけど。
なんとなく薫から妙な雰囲気を感じずにいられないのだ。
女性の勘というべきか。
「僕がいれば圭さんの怪我も治してあげますから!」
「よろしく!」
「よろしくねぇ~」
「ピピ! ヨロシク!」
ご両親の許可も出たので正式に薫がリーダビリティギルドに加入することになった。
なので顔合わせやお祝いを兼ねて工房にみんなで集まることにした。
いつものメンツに加えて和輝と優斗、それに重恭も集まっていた。
料理もいくつかデリバリーして豪勢に用意した。
「えへへ、ありがとうございます!」
波瑠が薫のグラスにジュースを注ぐ。
未成年もいるので和輝以外はノンアルコールだ。
「薫さん……と言ったな」
「は、はい!」
「そう緊張せずともいい。君はヒーラーなんだって?」
和輝に声をかけられて薫が声を上ずらせた。
若い人ばかりと思っていたのに意外だった年配者の和輝の存在に緊張している。
「ま、まだ実験経験が浅くて分からないですけどた、多分治す力があると思います!」
「……どこで見つけた?」
和輝が圭に視線を向ける。
野生のヒーラーなどそういるものではない。
さらには真面目そうないいお嬢さんだと和輝は思っていた。
「たまたま運が良かったんです」
「運が良くても見つけられるものじゃないがな。だがまあヒーラーがいると戦いは大きく安定する。同等級帯なら安全に攻略できるだろうな」
ゲートを攻略するチームとしての中身はかなり良い。
おそらく一つ上のゲートでも通用するレベルで人が揃っていると和輝は感心していた。
「ただ他にはバレない気をつけた方がいい」
「他ですか?」
「ヒーラーは貴重だ。彼女のことがバレたらよそから声がかかるだろう。引き抜きに応じずとも煩わしさはあってしまうだろう」
たとえ薫が引き抜きに応じることはないだろう。
しかし応じる気がない人にとって声をかけられるということ自体面倒である。
なので圭の能力と同じく守れるようになるまでは隠しておいた方がいいのである。
「分かりました。あとそれと」
「なんだ?」
「薫君は男の子ですよ」
「……なに?」
和輝は波瑠やカレンとワイワイ食事を食べ始めている薫に再び視線を向けた。
「な、なんですか?」
穴が空くほどに見つめられて薫は困惑する。
「おい爺さん! 薫困らせんなよー!」
カレンが抱き寄せるようにして薫を和輝の視線から守る。
「い、いや……すまなかったな」
呆けたように謝って和輝は薫から視線を逸らした。
「……本当なのか?」
「本当ですよ」
「正直言って婆さんの若い時より可愛い顔してるぞ」
「そんなこと言うと怒られますよ?」
「構わん。どうせ怒られるのも死んだ後だ」
婆さん云々は冗談にしても何度見ても男だというのが信じられないなと和輝はうなった。
「俺はてっきりお前さんがまた女の子を連れてきたもんだとばかり……」
「人をナンパばっかりの人みたいに言うのやめてくださいよ」
確かにこれまで女性を仲間にしてきたけれど女性を狙って声をかけているわけじゃない。
偶然女性が才能を持っていただけなのだ。
「少しすまないことをしたな」
「目の前で言ったわけでもないですし大丈夫だと思いますよ」
「そうだな。以後気をつけよう」
そう言って和輝は日本酒が入ったお猪口を傾ける。
「お仲間が増えましたが今後の計画は何か考えていますか?」
圭が料理を食べていると隣に重恭が座った。
重恭にはギルドの事務的なことを任せていて煩わしいことを一手に引き受けてくれている。
簡単なスケジュール管理なんかもやってくれているので薫が来たことで状況の変化があるなら知っておきたかった。
「しばらく薫君の力の感じを見つつゲートを攻略していこうと思ってます。良い感じのF級やE級ゲートがあれば攻略するつもりです」
「分かりました。じゃあ探しておきます」
「なかったら自由狩猟特別区域や塔に行こうと思っています」
「チェックして良さげなゲートがなかったら早めに伝えておくようにします」
「お願いします」
重恭自身もこうしたサポート的な役割をこなすのが性に合っているらしく塔の中にいた時よりも顔色が良い。
「圭さーん!」
「おっと! どうした、薫君?」
「僕嬉しいです! こんな風にみんな歓迎してくれて……僕を必要としてくれて」
ニコニコと笑って薫が圭に抱きついた。
「僕頑張ります! だから圭さんも僕を捨てないでくださいね……」
「捨てるなんてことしないさ。薫君はもう大切な仲間だからね」
「えへへ、嬉しいな……」
薫は頬を赤らめて笑っている。
薫が嫌だとでも言わない限り圭の方から見限ることはしない。
「むー……」
「何と言うかねえ……」
圭に対する薫の距離が近いのではないか。
そんな風に2人の様子を見ながら波瑠と夜滝は思っていた。
けれど薫は男である。
男である薫が男である圭に抱きついていたところでなんてことない、はずなのだけど。
なんとなく薫から妙な雰囲気を感じずにいられないのだ。
女性の勘というべきか。
「僕がいれば圭さんの怪我も治してあげますから!」
50
あなたにおすすめの小説
シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~
尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。
だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。
全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。
勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。
そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。
エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。
これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。
…その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。
妹とは血の繋がりであろうか?
妹とは魂の繋がりである。
兄とは何か?
妹を護る存在である。
かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~
仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
「お前と居るとつまんねぇ」〜俺を追放したチームが世界最高のチームになった理由(わけ)〜
大好き丸
ファンタジー
異世界「エデンズガーデン」。
広大な大地、広く深い海、突き抜ける空。草木が茂り、様々な生き物が跋扈する剣と魔法の世界。
ダンジョンに巣食う魔物と冒険者たちが日夜戦うこの世界で、ある冒険者チームから1人の男が追放された。
彼の名はレッド=カーマイン。
最強で最弱の男が織り成す冒険活劇が今始まる。
※この作品は「小説になろう、カクヨム」にも掲載しています。
氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!
本条蒼依
ファンタジー
氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。
死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。
大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる