人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

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第五章

最も不幸で、最も幸運な者2

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 まずは薫には見学していてもらう。
 カレンが魔力を放ってコボルトを挑発すると注目が一気にカレンに向けられる。

 カレンに向かってくるコボルトに対して夜滝が魔法を放つ。
 水の槍がコボルトの体を貫き、バタバタと倒れていく。

 けれどもコボルトはそんなことも気にしないで仲間の死体を踏み越えてカレンに飛びかかった。
 カレンに襲いかかるコボルトに圭と波瑠が左右から攻撃を仕掛ける。

 波瑠は巧みにコボルトの首を狙って切り裂き、圭はざっくりとコボルトを両断する。
 残ったコボルトはカレンが盾を突き出して弾き返すとゴロゴロと地面を転がっていく。

 起き上がられる前にみんなで一斉に攻撃を仕掛けて残りのコボルトもあっという間に倒されてしまった。

「す、すごいです!」

 かなりスマートに、危なげなくモンスターを倒した圭たちに薫は興奮したように拍手を送った。

「とりあえずこんな感じで戦っていくけど薫君は大丈夫そう?」

「大丈夫って多分大丈夫だと思いますけど」

「血とかモンスターの死体とか大丈夫?」

「あ、はい。今のところ平気ですね」

 時折血とか死体とかグロテスクなものがダメっていう覚醒者もいる。
 クオルカンティカートを倒したので大丈夫だろうとは思っていたけれど、あの時は興奮していたので平気だった可能性もある。
 
 薫はモンスターの血なども平気なようだ。
 血がダメな人はモンスターの討伐じゃなくて施設警備などの仕事をしていたりするので血がダメだからといって覚醒者として活動できないというわけでもない。

「じゃあ解体してみようか」

「か、解体ですか?」

 モンスターは倒して終わりではない。
 どうするのかはモンスターによって違うけど最低でも魔石は回収する。

 基本的に圭が解体はしているのだけど薫の能力を見ると力は強くなりそう。
 モンスターの解体は意外と力が必要になるので薫がやるのはいいかもしれない。

 今回のコボルトは魔石だけが必要なのでざっくりとお腹を切り開いて魔石を探す。
 解体というレベルのものでもない。

「こうやって……魔石を取り出すんだ」

 コボルトのお腹を切り裂くと魔石の端が見えた。
 魔物解体用の手袋を身につけた圭が手を突っ込んで魔石を取り出した。

 そして魔石をタオルを持った波瑠に渡して血を拭いてもらう。

「出来そうか?」

「や、やってみます!」

 予備の手袋とナイフを薫に渡す。

「え、えいっ! ……あれ?」

 勇気を出して勢いよくナイフを刺したはいいけれど中々ナイフが動かなくて薫は焦る。

「もっとナイフを寝かせて、引くように」

「こ、こうですか? 出来た!」

 ナイフも八重樫工房製の良いナイフなのでしっかり扱えばコボルトぐらいスパッと切れる。

「あれですかね?」

「多分そうだ。手で引き抜いてごらん」

 何回かお腹を割いて傷を広げていくと魔石の端が出てきた。

「ちょっと気持ち悪いですね」

 魔石を取るために腹の中に手を突っ込んだのだけどその感触は気持ちがいいとは言えない。
 グニュグニュとした肉の中に手をねじ込んで魔石をしっかりと掴んで引き抜いた。

「いいじゃないか」

 親指ほどの大きさの魔石。
 買取価格としてはお安いがこれでも立派な魔石である。

 圭と薫で倒したコボルトの魔石を回収する。

「じゃあ次は薫君の能力も使ってみようか」

 なんとなく戦い方やその後の動きも分かったはず。
 今度は実際に戦いに参加してもらう。

「とりあえず薫君はサポートだから後ろめに。夜滝ねぇとまとまって動く感じで」

「分かりました!」

「夜滝ねぇも薫君のサポートお願いね」

「任せておくといいよ」

「ひとまずはカレンを中心にサポートしてくれると助かるよ」

「圭さんじゃなくてですか?」

 薫はヒーラーでありバッファーであるサポート役である。
 ポジション的には夜滝と同じく後衛職であるのだけれどヒールや強化のためにより広い視野と柔軟な対応が求められる。

 しかし初心者の薫にいきなり全体を見渡して戦えというのは酷な話である。
 まずはタンクであるカレンからサポートをお願いする。

 タンクという都合上多くの攻撃にさらされてしまうのでサポートがあるとありがたい。
 それに戦いにおいてもタンクであるカレンが崩れなければ圭や波瑠が一度下がって立て直すこともできる。

 カレンが攻撃などを受けて離脱した時に圭がタンク役を引き受けることがあるが、やはり本職のタンクには敵わない。
 だからカレンなのである。

「分かりました……」

 薫はちょっと不満そうであるが理解は示してくれた。

「最終的には全体見て対応してもらうから。期待してるよ」

「圭さんのお役に立てるように頑張ります!」

「そう気負いすぎないでね。少しずつ慣れればいいんだ」

「そうだよ! 私たちもサポートするから」

「無理だけはすんなよ?」

「皆さん……」

 あるがままでいい。
 高等級覚醒者の息子ではなく、薫としてみてくれる。

 自分のペースで成長してくれることを受け入れてくれて期待を押し付けない。
 薫は嬉しくて感動していた。

「時間はある。ゆっくりやっていこう」

 圭たちは次のコボルトを探し始めた。
 あまり森の奥に行ってしまうとボスに遭遇してしまうかもしれないので速度を落としてゆっくりと相手を誘き出すように音を立てて移動する。
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