人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大

文字の大きさ
315 / 515
第六章

裏切り者、裏切られる4

しおりを挟む
 それならばもう一個のゲートから出た方がいい。
 もう一個のゲートはおそらくイベントスペースにあったゲートと繋がっていると思われる。

 ゲートを出た先では覚醒者たちがラーナノソルジャーと戦っている。
 うまくいけば大海ギルドも到着している可能性もあり、助けを求めることができるのだ。

 岩山から飛び出した圭たちは見えるゲートに向かってまっすぐ走る。

「バレたぞ!」

 岩山からラーナノクイーンのものだろう汚い鳴き声が聞こえてきて、ラーナノソルジャーたちが一斉に振り返った。

「夜滝ねぇ、波瑠!」

「行くよ、波瑠!」

「任せてぇ!」

 薫の強化も受けて夜滝が魔法を使う。
 魔力が真っ赤な火炎に変わって圭は顔に熱を感じた。

 渦巻く二本の火炎が打ち出された。
 人の身長ほどの太さもある太い火炎はビームのように真っ直ぐ飛んでいく。

 その間を波瑠が駆け抜けていく。

「すごい……」

 見たこともない覚醒者たちであるが実力は高いと浦安は驚いた。
 突然後ろに現れたラーナノソルジャーは夜滝の魔法をかわすことができずに巻き込まれる。

 淡いグリーンの魔力に包まれた波瑠も左右に熱を感じながらすごい速さでゲートまで駆けていく。

「残念!」

 ゲートに近づく波瑠に気がついたラーナノナイツが夜滝の火のビームを掻い潜って槍を突き出した。
 けれど波瑠も油断していなかった。

 体操選手さながらに体をねじりながら飛び上がってかわし、ゲートに入っていく。

「チッ……後は耐えるぞ! カレン、壁で囲っちゃおう」

「ナイスアイデア!」

 このまま圭たちもゲートまで駆け抜けたいところだったのだが、持ち直したラーナノソルジャーやラーナノナイツがゲート前に立ち塞がった。
 全力の一撃だったので夜滝の余力もないし、怪我人の浦安がいるので突破するのは厳しい。
 
 波瑠は外に出れたので助けが来るまで持ち堪えることにした。
 カレンがスキルを使うと周りの地面が盛り上がっていく。

「これで少しは時間稼ぎになるだろねぇ」

 地面がドーム状に圭たちを覆った。
 夜滝が火を出して真っ暗になった中を照らす。

 外からラーナノソルジャーのギャアギャアとした声が小さく聞こえてくる。
 力は強いが破壊力があるタイプではないのでドーム状の壁を破壊できないでいるのだ。

「薫君、彼を治してあげて」

「分かりました」

 逃げるのに必死で忘れていたが浦安の怪我は決して軽いものではない。
 出血も多く顔色が悪くなってきていた。

 このまま放置しておけば死んでしまうかもしれない。
 どの道引きこもった状態ではできることもないので、薫に治療してもらう。

「ヒーラー……ありがとう」

「どうしてあんなことをしたんですか?」

 薫が浦安の肩に手をかざす。
 柔らかな光に浦安の肩が包まれて怪我がゆっくりと治っていく。

「…………ある時ゲートの中で死にかけて、声が聞こえたんだ」

 少しためらったような表情を浮かべた浦安だったが項垂れると観念したように口を開いた。

「声ですか?」

「この世界は滅亡する……全てのものは死に絶えると。だがこの状況を見ている神々がいて、神々の手助けをすると世界が滅亡しても助けてもらえると言われたんだ……」

 圭と夜滝は顔を見合わせた。
 そんなことを言う神々はおそらくこの世界の神々ではないだろうと思った。

「実際に……急にゲートを呼び出すスキルが与えられて……呼び出したゲートから出てきたモンスターが被害を与えるほどに神は満足して救ってくれる人が増えるんだ」

「それであんなことを?」

 ゲートの外では惨劇が広がっている。
 自分たちが助かりたいがために人がたくさんいる商業施設のど真ん中にゲートを呼び出せる神経を圭には理解できない。

「……怖かったんだ……」

「怖いだと?」

「ゲートを呼び出すような力を与える存在に目をつけられた……一度はものの試しのように軽くやってしまったがもう戻れないと。それにやればやるほど自分が周りの人を救う救世主のように思えてきて止まらなかった……」

 浦安はラーナノクイーンに殺されそうになって初めて自分がどんな相手のために動いていたのか理解した。
 理由は知らないがゲートから呼び出したモンスターは浦安を襲わないのでモンスターに襲われる人というのが遠い感覚にもなっていた。

 懺悔するように話す浦安だが圭はどうにも許すような気にはならない。
 圭だけではなく夜滝たちもみんな複雑そうな表情をしている。

 こうした状況になって初めて反省しているがそれで被害を受けた人は帰ってこない。
 今した話をちゃんとしたところでしてもらうためにも浦安を守らなきゃいけないけれどなんで守らねばならないのかと思ってしまう。

 ゲートを呼び出したことを認めれば今回のことだけでも大きな罪に問われることだろう。
 圭たちに浦安を断罪する権利などない。

 モヤモヤとした気持ちを抱えていても浦安に手を出すことはしない。

「もう一つ聞いていいか?」

「なんでも聞いてくれ……」

「あの黒い石はなんなんだ? ゲートを呼び出す時に使っていたようだが……」

 ゲートを呼び出せることはスキルとして確認した。
 だから圭はゲートを呼び出す能力よりも呼び出す時に使われた黒い石の正体がなんなのか気になっていた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。 だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。 全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。 勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。 そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。 エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。 これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。 …その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。 妹とは血の繋がりであろうか? 妹とは魂の繋がりである。 兄とは何か? 妹を護る存在である。 かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~

仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

「お前と居るとつまんねぇ」〜俺を追放したチームが世界最高のチームになった理由(わけ)〜

大好き丸
ファンタジー
異世界「エデンズガーデン」。 広大な大地、広く深い海、突き抜ける空。草木が茂り、様々な生き物が跋扈する剣と魔法の世界。 ダンジョンに巣食う魔物と冒険者たちが日夜戦うこの世界で、ある冒険者チームから1人の男が追放された。 彼の名はレッド=カーマイン。 最強で最弱の男が織り成す冒険活劇が今始まる。 ※この作品は「小説になろう、カクヨム」にも掲載しています。

氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依
ファンタジー
 氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。  死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。  大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。

処理中です...