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第六章

裏切り者、裏切られる5

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「…………俺の他にもう一人生き残ったやつがいるんだ」

 長めに言い淀んだ浦安だったが決心したように話し始めた。

「さっきの男か?」

「違う」

 浦安は首を振った。

「中山っていう覚醒者で……そいつも力を与えられた」

「どんな力だ?」

 こんな話をするということは黒い石に関わっているのだろうなということは圭にも分かる。

「……人を魔石にする力だ」

「なんだと!?」

 衝撃の話に全員が驚く。

「ゲートを呼び出すには多くの魔力がいる……だから人を魔石にして……」

 苦しそうに答える浦安にみんなが嫌悪感をあらわにする。

「普通のモンスターの魔石を使えばいいじゃないか?」

「ゲートを呼び出すために一体いくらかかると思う? 魔石を買えば記録が残るし俺たちは高等級覚醒者じゃないから魔石を集めるのにも苦労する……そんな力を与えられたということはこれでどうにかしろってことだ」

「だからって人をそんな……!」

「カレン、ダメだ」

 浦安に掴みかかろうとしたカレンを夜滝が止める。
 カレンが行こうとしなければ圭がいっていたかもしれない。

「じゃあ最近頻発している失踪事件は……」

「俺たちが原因です」

 人類の裏切り者。
 圭の脳裏に言葉がよぎった。

 言葉巧みに騙してこのように都合の良いように他の世界の神々に利用されている人もこの世界を裏切っているといえる。
 ゲートを呼び出させるなんて行為をもって人類を攻撃している。

 この事実は圭にとっても衝撃だった。

「他にもゲートを呼び出したことはあるのか?」

「何回か……駅前の道で呼び出したりしたこともあります」

「駅前? 駅前ってだいぶ前に現れたウルフのゲートか?」

「ええ、そうです。最初の頃だったので駅の中で呼び出す勇気がなくて」

 圭が覚醒して間もない頃、波瑠のために父親や保険会社に行った帰りにブレイキングゲートが発生した。
 圭は死にかけたがあの事件のおかげで波瑠は覚醒したのだった。

「……なにか?」

「なんでもない」

 不思議な繋がりがあるものだなと圭は苦い顔をした。
 あのブレイキングゲート事件でも多くの人が犠牲になった。

 圭と波瑠だけで見ると覚醒して仲間になるきっかけとなる出来事だったけれどこちらも許されざることである。

「……とんでもない話だな」

 本当だとしたらしっかり情報を聞き出した上で周りにも警告し、そして浦安には罰を受けさせねばならない。
 まためんどくさいことをと伊丹がため息をつくのが見えるようだ。

「そろそろ助けも来るかな……」

 密閉された空間な以上あまり長いこと閉じこもってもいられない。

「うっ!」

「どうかしましたか?」

 急に浦安が胸を押さえて苦しみ出した。

「なんだか体から力が……」

「力が?」

『浦安省吾
 レベル149
 総合ランクE
 筋力E(無才)
 体力D(一般)
 速度E(無才)
 魔力C(一般)
 幸運E(一般)
 スキル:無し
 才能:無し』

「スキルが……」

 力が、なんていうから浦安のステータスを見てみた。
 すると浦安にあったはずのスキルがなくなっていた。

 ついでに総合ランクも一つ下がっている。
 それを見て圭は思った。

 浦安は神から見捨てられたのだと。

「何が……」

 浦安自身は自分に何が起こっているのか分かっていない。

「お兄さん!」

 先ほどからドンドンと大きな音が鳴っている。
 スキルの発動者であるカレンにはそれが外部から大きな力がかかっているためだと感じていた。

 そしてとうとうドームに大きなヒビが入った。

「モンスターの方が先か……」

 ドームの一部が壊されて、ラーナノクイーンが中に入ってきた。
 ラーナノクイーンはニタリと笑った表情を浮かべているように見えた。

 世界のカケラはその世界の神が所有している。
 ラーナノクイーンの世界もラーナノクイーンの神が世界を持っている。

 これまでの話から神々の間でも色々な派閥や関係があることは分かった。
 以前呼び出したというゲートはウルフが出てきたのだし浦安に力を与えた神の世界を呼び出しているのではないことは予想できる。

 つまりラーナノクイーンの世界の神と浦安に力を与えた神は違うのだ。
 ゲートを呼び出して暴れさせてやる代わりにゲートを呼び出す役割だった浦安には手を出さないような約束があったのだろう。

 突然ぼんやりした後にラーナノクイーンは浦安を攻撃した。
 そして急に浦安の貸与されていたスキルがなくなった。

 このことを考えると浦安は力を与えていた神に裏切られて見捨てられたのだ。
 ラーナノクイーンに浦安を攻撃してもいいという何かの指示のようなものがあったのだと考えられた。
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