人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

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第七章

煮物とニュース

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「相変わらず料理の腕はうまいな」

 新徳は夜滝の研究室にいた。
 目の前には煮物の皿が置いてあり、新徳はパクパクと煮物を食べている。

「ありがとうございます」

 褒められて圭も笑顔を浮かべる。
 正直にもの言う新徳の評価が得られるのは素直に嬉しい。

「サハギンとマンドラゴラダイコンの煮物とはな……一昔前なら考えられなかった」

 新徳が食べている煮物は圭が作ったものである。
 中に入っている食材となっているのはサハギンの切り身とマンドラゴラダイコンであった。

 RSIに戻ってきた圭は継続的にマンドラゴラダイコン料理の試作を続けていた。
 今回作ってみたのは以前作って好評だったサハギンの煮付けにマンドラゴラダイコンを加えたものである。

 モンスターが出始めたばかりの頃はモンスターを食べるなんてこと考えられなかった。
 憎むべき相手であり、穢れているなんて言う人もいた。

 だがモンスターの影響で色々なところが打撃を受けるとそんなことも言ってられなくなったのだ。
 食糧危機が世界を襲い、モンスターの活用法の一つとして食べることも模索されてきた。

 既存の動物に近い形をしたものから手を出していって、今では結構グロテスクな見た目をしたモンスターまで試している人がいる。
 モンスター食材研究家なんてモンスターをどう食べるのかを専門に研究している人も今でも出てきていた。

「まあ今度は薬効を得られた乾燥マンドラゴラダイコンを試してくれ」

「分かりました」

 新徳が夜滝の研究室に来たのは飯を食べに来たからではなかった。
 RSIではマンドラゴラダイコンの研究が続いていて、その報告に来てくれた。

 ちゃんとメールにも報告書をつけてくれているらしいが夜滝には新徳のメールを見ていないという前科があるので直接訪ねてきた。
 マンドラゴラとはいうものの本物のマンドラゴラに比べて薬的な効果についてマンドラゴラダイコンは薄かった。

 どうにかそうした効果はないのかと試したところ天日干しで1週間ほど水を抜くとやや薬効が強くなることが分かったのだ。
 マンドラゴラみたいな薬というよりは高麗人参的な元気になるような感じらしい。

 普通のマンドラゴラダイコンとは違うのでそれも料理にしてほしいということでまた圭が腕を振ることになった。

「太羽島ブレイキングゲート攻略が日韓の合同で計画されており……」

 つけっぱなしになっているテレビでは昼のニュースをやっている。
 メインの大きなニュースはモンスターに支配された島である太羽島のブレイキングゲートを日本と韓国の覚醒者ギルドで協力して攻略するという発表があったことだった。

 以前圭たちも太羽島に関わったことがある。
 定期的にモンスターが島から溢れ出して海を渡って襲いかかってくる太羽島モンスターウェーブという現象が起こる。

 圭たちも覚醒者たちの一員として海を渡ってきたモンスターと戦った。
 太羽島についてはゲートがブレイクしてしまいモンスターが増えてからというもの、他にゲートが現れて攻略できずに増えていく悪循環に陥っている。

 ブレイキングゲートから溢れてきたモンスターによって同時の生態系が形成されつつあった。
 現在では太羽島にはA級からF級までいくつものブレイキングゲートが存在していて、ニュースの内容を聞く限り低い等級のゲートから少しずつ攻略するみたいだった。

「北条勝利も復活したようだな」

 テレビの画面が移り変わり、太羽島ブレイキングゲート攻略について北条勝利がインタビューを受けている様子が流れていた。
 しばらくの間北条勝利は表に出ていなかった。

 思えば圭たちも協力した上九条レッドゲートらへんからなぜかとても静かだった。
 世間では色々と言われていたけれどそれらの噂を吹き飛ばすような元気そうな姿をしている。

 新徳は北条が普通にA級覚醒者として活躍している人だと考えている。
 特別応援してもいないが強い覚醒者がいてくれれば安心だとは思う。

 対して圭と夜滝は北条が人類の裏切り者であると知っている。
 復活してゲートなりを攻略してくれることはありがたいけれど北条が元気そうにしているのはどうしても複雑な気持ちであった。

「続きまして近年失踪者が増加していると言われている件につきまして専門家の方をお呼びして話を聞きたいと思います」

 現段階では太羽島ブレイキングゲート攻略は計画であり本格的な話し合いはまだのようだ。
 そのために北条のインタビューが終わった後コメンテーターがコメントを述べて次の話題に移った。

「まだ継続的に失踪する人もいるらしいな」

「そうなんですか?」

 失踪については終末教という連中が人を生贄にしてゲートを召喚していたことが関わっていた。
 終末教の主軸メンバーは死んだり逮捕されたりして組織は解体されて人を生贄にする連中はいなくなったはずだと圭は思った。

 しかし失踪そのものはまだ続いていた。
 終末教があった時ほどには失踪者の数が多くはないけれどなんの前触れもなく失踪する人が時々いるのだ。

「こんな時代だ、失踪したっておかしくない。だがあまり多いようだと事件のにおいもするんだろうな」

「確かに……怖いですね」

「こんなうまい飯作れるんだ、失踪するなよ?」

「しませんよ」
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