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第八章

第三次対羽島奪還攻略作戦2

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「モンスターが進化しただと!?」

「そんなことがあり得るのか?」

 中断された第三次対羽島奪還攻略作戦の後参加覚醒者や関係者が集められた会議が開かれた。
 その中で発表された情報に覚醒者たちは困惑していた。

 なぜ第三次対羽島奪還攻略作戦が中断、そして作戦凍結となったのかというと大きな事故が起きたためであった。
 A級覚醒者が率いる覚醒者ギルドが二つ壊滅した。

 それはB級ゲートに近いところにあるC級ゲートに向かっていた覚醒者ギルドで、数名の生存者を除いてA級覚醒者までもが帰らぬ人となったのである。
 襲われた覚醒者ギルドを助けに行ってもう一つのギルドもほとんど壊滅してしまった。
 
 配信サイトで配信されていたために話題にもなったのだが、現場でもなぜそんなことが起きたのか原因が分からずに作戦を中断して調査が行われた。
 そしてその原因が判明した。
 
 残されたB級ゲートはアラクネゲートと呼ばれていて、文字通りアラクネがゲートのボスモンスターである。
 アラクネとは女性の上半身にクモの下半身がついた姿をしていて高い知能や糸を活かした戦い方をする厄介なモンスターである。
 
 ゲートは森の中に発生していてアラクネやその配下となるクモが勢力を持っていた。
 そしてA級覚醒者が襲われた映像を見返すとクモの糸が映っていたのだ。
 
 ゲートから出たアラクネが想定していたよりも行動範囲を広げていた。
 しかしそれだけではA級覚醒者がやられるはずはなかった。

「残された映像に相手モンスターの姿が映っていました」

 報告を行う覚醒者協会の人が画面を切り替える。

「これは……」

「アラクネだと思われます」

「アラクネだと?」

「クモの足のようなものは見えるが……」

 映し出されたモンスターの姿は半裸の女性のようなものだった。
 ただ普通の女性ではない。

 胸部や下半身が外骨格のようなもの覆われていて、背中からはクモの足のようなものが生えている。

「これまでゲート周辺で観測されたものはこちらです」

 奇妙な女性型モンスターの隣にもう一つ画像が並べられる。
 それは下半身がクモになっているみんながイメージするアラクネの画像だった。

「こちらの既存のアラクネの姿が見えなくなり、こちらのモンスターが現れるようになりました。こちらのモンスターがユ・ジェンヨンさんを殺害したものだと思われます。このことから私たちはアラクネがなんらかの形で進化のではないかと結論づけました」

 他にいるクモモンスターの形は変わらない。
 下半身がクモのアラクネが消えて全身人型のモンスターが現れたのだから何か関連性があるのではと考えた。

「確かに……言われてみれば顔も似ている気がするな」

 誰かがボソリとつぶやいた。
 以前までのアラクネも上半身は人間の女性のようなものである。

 顔は比較的美人だといえ、二つの画像のモンスターの顔を比べてみると似ているようにも見えた。
 こうした関連性からモンスターが変化したのではないかと推測した。

 しかもただ変化したのではなくA級覚醒者を含めたギルドを壊滅させるほど強力な存在となっていた。
 このことから単なる変化ではなく進化であると結論を出して報告していた。

「おばあちゃんに感謝ね……」

 会議に出席していたかなみは小さくため息をついた。
 仮に現場にいてもかなみがC級ゲートの攻略に向かう可能性は小さかったけれど新型アラクネと遭遇する万が一の可能性はあった。

 モンスターが進化するという事象は実は初めではなかった。
 とある国にあるゲートが攻略されないまま長期間放置された結果モンスターの姿が変わった事例があった。

 ただボスモンスターであるアラクネの姿が変わってA級覚醒者に匹敵する力を手に入れたというのは初めてのことだった。

「より詳細な調査を行うために太羽島の奪還はひとまず延期されることになりました。現在置かれている防衛ラインを交代で守りつつ状況観察を行います」

 他にも変化していることがあるかもしれない。
 大きな犠牲が出た以上慎重に行動せざるを得ない。

 それでも太羽島の半分を取り戻し、太羽島にあった多くのゲートを攻略して閉じることには成功した。
 太羽島から溢れ出すほどのモンスターの大量発生に困っているということが念頭にはあったのでゲートやモンスターを減らして大きな目標は達成できたといえる。

「今後調査を元に情報を精査して太羽島における活動の方針を協議していきたいと思います。何かありましたら覚醒者協会の窓口の方にご連絡をお願いします」

「……なんとなくまた一つ世界は終わりに近づいている感じがあるわね」

 かなみはまたため息をついた。
 高等級モンスターの進化。

 それはいまだに攻略できずに放置されてされているゲートがある世界に大きな衝撃を与えたのであった。
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