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第九章
噴き上がる風3
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「……食料や水ならあるぞ」
「なに?」
黙して聞いていたトモナリがさらりと答えてダンテが驚いた顔をする。
「ほらよ」
圭は袋に手を突っ込むと中から水の入ったペットボトルを取り出してダンテに投げる。
「本当に水だ……」
「なんでそんなもの」
「備えあれば憂いなしっていうだろ?」
今回潜入のために亜空間の収納袋を青龍ギルドに要求した。
しかし潜入が終わった後も袋は有用である。
買い物でもいくように数時間でゲートを攻略できれば楽であるが世の中そう簡単にはいかない。
半日、あるいはもっと長くかかることだって珍しくない。
そのために必要な準備というものも意外と多い。
当然のことながら食料や水というのも必要なものであるのだ。
食料や水というものはどうしても荷物として圧縮できない。
スペースは取るし水なんか数があると重たい。
だが袋があればスペースを取ることもなく軽く水をどこでも持ち運ぶことができる。
袋そのものの容量もどれぐらいあるのかと確かめる目的もありながら圭は袋の中に食料や水を入れてきていた。
リーダビリティギルド、つまり圭だけでなく夜滝たちも含めて数日活動できるだけのものが袋の中に入っているのだ。
「じゃあ食べ物も?」
「ああ。ついでに船ん中の料理もいくらか入ってる」
船で出された料理は持ち帰り可能だった。
フィーネの希望でいくつかの料理を持ち帰らせてもらっているので袋の中にはそうした料理も入っている。
「……これならテレポートポータルを使えばよかったな」
「そうなのか?」
ルシファーは小さくため息をついた。
「さっきも言ったが魔界において食べ物は貴重だ。人間から供物として提供してもらうしかないからな。だから昔から牛一頭など訳の分からない供物を捧げるだろう?」
「……だから?」
「向こうの世界の食べ物は高値で取引される。暴食の悪魔は人の力や寿命よりも食べ物を供物として捧げることを好むがそうしたことが理由なのだ」
「じゃあ町に行って食べ物の代わりにお金をくれといえば……」
「誰もが飛びついてくるだろうな」
「あっちの町ではダメなのですか?」
「あそこにテレポートポータルはない。一度食べ物を売るとしつこくついてくる連中もいるだろうから最初からテレポートポータルのある町で取引するのがよい」
まさか悪魔と食べ物で交渉できるだなんて圭は思いもしなかった。
袋の中に食べ物があるだなんてこんな状況で申告もしないし仕方ない。
「どうする? 噴出口とやら向かうのか、それともテレポートポータルに向かうのか」
ここにきて最も楽な移動方法が候補に浮上してきた。
「ここまできたら噴出口が近い。無駄に移動することもないし町中に入ればバレる危険性はある」
テレポートポータルは悪魔の町の中でも大きな都市にしか設置されていない。
今から大きな町に移動するよりも噴出口の方が距離は近く、悪魔の町に圭たちが紛れようとすると人間だとバレてしまうかもしれない。
門のことを調べようと思えば悪魔の中に入る必要はあるが今からリスクを負うことはない。
「じゃあこのまま噴出口ってところに行ってみよう」
ベルゼブブがいる第三階層からは早く抜け出したい。
圭たちは水分補給をして軽く休憩してから再び噴出口を目指し始めた。
ーーーーー
「あれが噴出口か?」
「そうだ」
底なしの巨大な穴というのが圭の印象だった。
少し高くなっている場所があり、そこから離れたところにある噴出口なるものが見えていた。
地面にぽっかりと開いた巨大な穴がルシファーのいう噴出口というものであった。
「あれで本当に第二階層に?」
「というかそもそも上があるのか?」
ジャンは空を見上げた。
上には天井があるわけではなく不気味な空が広がっているように見えた。
噴出口なんて名前の通りに理解すると何かが噴出して上に行けるのだろうと思うのだが空が広がる上に飛んで行っても落ちてくるしかない。
「飛んでみれば分かる」
「それはいいんだけど悪魔がいるな」
「あんまりよくないがな……」
噴出口は古い移動方法で利用者が少ないとルシファーは説明していた。
それなのに噴出口の周りには多くの悪魔が集まっているのが見えた。
「ふむ……なぜだろうな?」
ルシファーにもその理由が分からない。
「どうする?」
「行ってみるしかないだろう」
結局悪魔の中に突っ込んでいくしかない。
圭たちは覚悟を決めて噴出口の方に向かっていくことにした。
「……見られるな」
「身なりは人だからな。だが人のような身なりをした悪魔も今はあるから堂々としておれ。ジャンは何があっても黙っているように。余計なことを言えば戦いになる」
「……わかった」
圭たちが噴出口に近づくと悪魔は圭たちのことを見た。
じろじろと観察されるような視線に居心地の悪さを感じる。
しかしダンテや圭の悪魔の力を感じているのか人だろうと絡んでくる奴はいない。
「こぉーんなところで、人間なぞ連れて何をしている?」
馬のような頭で一つ目のいかにも悪魔という造形の悪魔が圭たちに声をかけてきた。
「なに?」
黙して聞いていたトモナリがさらりと答えてダンテが驚いた顔をする。
「ほらよ」
圭は袋に手を突っ込むと中から水の入ったペットボトルを取り出してダンテに投げる。
「本当に水だ……」
「なんでそんなもの」
「備えあれば憂いなしっていうだろ?」
今回潜入のために亜空間の収納袋を青龍ギルドに要求した。
しかし潜入が終わった後も袋は有用である。
買い物でもいくように数時間でゲートを攻略できれば楽であるが世の中そう簡単にはいかない。
半日、あるいはもっと長くかかることだって珍しくない。
そのために必要な準備というものも意外と多い。
当然のことながら食料や水というのも必要なものであるのだ。
食料や水というものはどうしても荷物として圧縮できない。
スペースは取るし水なんか数があると重たい。
だが袋があればスペースを取ることもなく軽く水をどこでも持ち運ぶことができる。
袋そのものの容量もどれぐらいあるのかと確かめる目的もありながら圭は袋の中に食料や水を入れてきていた。
リーダビリティギルド、つまり圭だけでなく夜滝たちも含めて数日活動できるだけのものが袋の中に入っているのだ。
「じゃあ食べ物も?」
「ああ。ついでに船ん中の料理もいくらか入ってる」
船で出された料理は持ち帰り可能だった。
フィーネの希望でいくつかの料理を持ち帰らせてもらっているので袋の中にはそうした料理も入っている。
「……これならテレポートポータルを使えばよかったな」
「そうなのか?」
ルシファーは小さくため息をついた。
「さっきも言ったが魔界において食べ物は貴重だ。人間から供物として提供してもらうしかないからな。だから昔から牛一頭など訳の分からない供物を捧げるだろう?」
「……だから?」
「向こうの世界の食べ物は高値で取引される。暴食の悪魔は人の力や寿命よりも食べ物を供物として捧げることを好むがそうしたことが理由なのだ」
「じゃあ町に行って食べ物の代わりにお金をくれといえば……」
「誰もが飛びついてくるだろうな」
「あっちの町ではダメなのですか?」
「あそこにテレポートポータルはない。一度食べ物を売るとしつこくついてくる連中もいるだろうから最初からテレポートポータルのある町で取引するのがよい」
まさか悪魔と食べ物で交渉できるだなんて圭は思いもしなかった。
袋の中に食べ物があるだなんてこんな状況で申告もしないし仕方ない。
「どうする? 噴出口とやら向かうのか、それともテレポートポータルに向かうのか」
ここにきて最も楽な移動方法が候補に浮上してきた。
「ここまできたら噴出口が近い。無駄に移動することもないし町中に入ればバレる危険性はある」
テレポートポータルは悪魔の町の中でも大きな都市にしか設置されていない。
今から大きな町に移動するよりも噴出口の方が距離は近く、悪魔の町に圭たちが紛れようとすると人間だとバレてしまうかもしれない。
門のことを調べようと思えば悪魔の中に入る必要はあるが今からリスクを負うことはない。
「じゃあこのまま噴出口ってところに行ってみよう」
ベルゼブブがいる第三階層からは早く抜け出したい。
圭たちは水分補給をして軽く休憩してから再び噴出口を目指し始めた。
ーーーーー
「あれが噴出口か?」
「そうだ」
底なしの巨大な穴というのが圭の印象だった。
少し高くなっている場所があり、そこから離れたところにある噴出口なるものが見えていた。
地面にぽっかりと開いた巨大な穴がルシファーのいう噴出口というものであった。
「あれで本当に第二階層に?」
「というかそもそも上があるのか?」
ジャンは空を見上げた。
上には天井があるわけではなく不気味な空が広がっているように見えた。
噴出口なんて名前の通りに理解すると何かが噴出して上に行けるのだろうと思うのだが空が広がる上に飛んで行っても落ちてくるしかない。
「飛んでみれば分かる」
「それはいいんだけど悪魔がいるな」
「あんまりよくないがな……」
噴出口は古い移動方法で利用者が少ないとルシファーは説明していた。
それなのに噴出口の周りには多くの悪魔が集まっているのが見えた。
「ふむ……なぜだろうな?」
ルシファーにもその理由が分からない。
「どうする?」
「行ってみるしかないだろう」
結局悪魔の中に突っ込んでいくしかない。
圭たちは覚悟を決めて噴出口の方に向かっていくことにした。
「……見られるな」
「身なりは人だからな。だが人のような身なりをした悪魔も今はあるから堂々としておれ。ジャンは何があっても黙っているように。余計なことを言えば戦いになる」
「……わかった」
圭たちが噴出口に近づくと悪魔は圭たちのことを見た。
じろじろと観察されるような視線に居心地の悪さを感じる。
しかしダンテや圭の悪魔の力を感じているのか人だろうと絡んでくる奴はいない。
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