441 / 515
第九章
噴き上がる風2
しおりを挟む
「知識の泉が?」
「知識の泉は知識であり、神でもある。他の神とは少し違う存在であるがな。その話は本来知識ではなく力を使っていないお主には伝える必要のないこと。それでもそうして伝えてきているということはお主を気に入っているのだろう」
「俺のことを気に入ってくれている……」
言葉の意味は理解できるけれど実感としてはなかなか分かりにくい話である。
けれどもそう言われて思い返してみれば圭にだけ見える不思議なメッセージ表示があったこともあった。
もしかしたらあれが知識の泉の行為によるものだったのかもしれないと思った。
「そのメッセージが来たことよりも問題はその内容だな。ゆかりのある悪魔とは何のことか分かるか?」
「そんなの分かるわけが……目を持っていたヘルカトぐらい……」
悪魔と関わりなんてない。
唯一思い当たるのは真実の目と元となったヘルカトぐらいである。
他に関わりのある悪魔なルシファーは目の前にいるし思いつく悪魔なんて他にいるはずがなかった。
「私もあやつのことはよく知らんからな」
ヘルカトは準魔王と呼ばれるほどの力を持った存在だった。
そもそもヘルカトは悪魔の種族名でありヘルカト自身にも名前があるらしいが、ルシファーはそのことも知らないでいた。
調べれば分かるのだろうが死んだ悪魔について調べても意味がないので興味もなかった。
「もしかしたらそのヘルカトの関係者がいるのかもしれないな」
「……何か問題になるかな?」
「分からん。見ているだけなら問題にはならんが動いたら問題になるかもしれない」
「……結局どうなるか分かんないってことか」
「そうだな。まあ心配をするな。さっさと魔界を出てしまえばいい」
手を出そうとしているにしても悪魔が手を出せるのは魔界にいる間の話となる。
魔界から出てしまえば手を出すことなどできなくなるし圭に注目することもできなくなる。
「相手が何か分かんないけど早く行ったほうがよさそうだな」
知識の泉が警告を送ってくれた。
そのことは心に留めつつ圭は先を急ぐことにした。
「あれは……」
「悪魔の町だ」
「悪魔の町だと!?」
歩いていくと遠くに建物のようなものを見えた。
ルシファーに何なのかと尋ねるとそれは悪魔の町であった。
見た目的にはかなり不思議な感じで石でできた家のように見える。
ジャンは悪魔の町ということにまたしても驚いている。
「考えてもみい、お金があるのに町ぐらいなくてどうする?」
「…………確かに」
お金があるということは取引があるということだ。
取引があるということは何か物が集まる場所があってもおかしくない。
お金という文化があるなら家などを作りある程度集まって暮らすような知恵があるのも当然といえる。
「驚くことばかりだ」
「悪魔が野蛮だと思っておったか?」
「……そうだ」
「野蛮だということに否定はできん。しかし悪魔は人より生まれた物だからな」
「どういうことだ?」
「神と違って悪魔は人の欲や願い、薄ら黒い考えなどから生まれた存在だ。今はこうして力を持って独立したようになっているが人の影響を大きく受けることに変わりはない。人が増え、文化的な発展を遂げるにつれて悪魔も人の影響を受けて同じく文化的な考えを持ち始めたのだ」
町やお金というのも悪魔が文化的な考えを持っている一つの証左である。
「ただ闇より生まれる存在であったが今は子をもうけるようなものもおる」
「子供……」
「昔は雌雄などなかったり私のように好きに変えられるものだったがいつの間にか悪魔にも雌雄の区別がはっきりしているものが出てきた。区別なくても子は作れるがな」
ジャンは少し気が遠くなりそうだった。
悪魔に対して描いていた印象が思い切り覆された。
だからと言って悪魔に対する考えが変わることはないけれどかなり意外だったことは確かである。
「子を産むと力の一部を奪われるなんていうこともあるから人のように産んで増えるわけではない」
「何だか悪魔のこと知れて面白いな」
それを知ったからといってなんだという話ではあるがこれまで敵であるとばかり思っていた悪魔の世界の話を知れて楽しくはあった。
きっとこんな話を他でしてもイカれてるのかと思われるだけだろうなと圭は思った。
「ルシファー様、一つお聞きしたいのですが」
「なんだ?」
「この世界に食料や水はあるのですか?」
少し喉が乾いたなとダンテは思っていた。
空気は乾燥しているし少し砂のようなものも飛んでいる。
今はまだ我慢できるけれどそのうち水分補給が必要になってきそうである。
「ないけどある」
「ないけど……ある?」
「なんでそんな謎かけみたいな答えなんだ?」
「悪魔は元来食事も取らないし水も必要としない。だが昔から人間を食らったり人間の願いを叶える対価として供物を受け取ったりしていた。だから必要なくとも食べることはできた。この世界に食べ物はない。だが人間からの供物として受け取ることでそうしたものが存在するのだ」
「つまり……」
「貴重品ということだ」
「なるほど……」
人にとってはかなり酷な世界。
食べ物がそこらへんにあるとは思っていないが手に入れるのも難しそうだと聞いてダンテも顔をしかめる。
「知識の泉は知識であり、神でもある。他の神とは少し違う存在であるがな。その話は本来知識ではなく力を使っていないお主には伝える必要のないこと。それでもそうして伝えてきているということはお主を気に入っているのだろう」
「俺のことを気に入ってくれている……」
言葉の意味は理解できるけれど実感としてはなかなか分かりにくい話である。
けれどもそう言われて思い返してみれば圭にだけ見える不思議なメッセージ表示があったこともあった。
もしかしたらあれが知識の泉の行為によるものだったのかもしれないと思った。
「そのメッセージが来たことよりも問題はその内容だな。ゆかりのある悪魔とは何のことか分かるか?」
「そんなの分かるわけが……目を持っていたヘルカトぐらい……」
悪魔と関わりなんてない。
唯一思い当たるのは真実の目と元となったヘルカトぐらいである。
他に関わりのある悪魔なルシファーは目の前にいるし思いつく悪魔なんて他にいるはずがなかった。
「私もあやつのことはよく知らんからな」
ヘルカトは準魔王と呼ばれるほどの力を持った存在だった。
そもそもヘルカトは悪魔の種族名でありヘルカト自身にも名前があるらしいが、ルシファーはそのことも知らないでいた。
調べれば分かるのだろうが死んだ悪魔について調べても意味がないので興味もなかった。
「もしかしたらそのヘルカトの関係者がいるのかもしれないな」
「……何か問題になるかな?」
「分からん。見ているだけなら問題にはならんが動いたら問題になるかもしれない」
「……結局どうなるか分かんないってことか」
「そうだな。まあ心配をするな。さっさと魔界を出てしまえばいい」
手を出そうとしているにしても悪魔が手を出せるのは魔界にいる間の話となる。
魔界から出てしまえば手を出すことなどできなくなるし圭に注目することもできなくなる。
「相手が何か分かんないけど早く行ったほうがよさそうだな」
知識の泉が警告を送ってくれた。
そのことは心に留めつつ圭は先を急ぐことにした。
「あれは……」
「悪魔の町だ」
「悪魔の町だと!?」
歩いていくと遠くに建物のようなものを見えた。
ルシファーに何なのかと尋ねるとそれは悪魔の町であった。
見た目的にはかなり不思議な感じで石でできた家のように見える。
ジャンは悪魔の町ということにまたしても驚いている。
「考えてもみい、お金があるのに町ぐらいなくてどうする?」
「…………確かに」
お金があるということは取引があるということだ。
取引があるということは何か物が集まる場所があってもおかしくない。
お金という文化があるなら家などを作りある程度集まって暮らすような知恵があるのも当然といえる。
「驚くことばかりだ」
「悪魔が野蛮だと思っておったか?」
「……そうだ」
「野蛮だということに否定はできん。しかし悪魔は人より生まれた物だからな」
「どういうことだ?」
「神と違って悪魔は人の欲や願い、薄ら黒い考えなどから生まれた存在だ。今はこうして力を持って独立したようになっているが人の影響を大きく受けることに変わりはない。人が増え、文化的な発展を遂げるにつれて悪魔も人の影響を受けて同じく文化的な考えを持ち始めたのだ」
町やお金というのも悪魔が文化的な考えを持っている一つの証左である。
「ただ闇より生まれる存在であったが今は子をもうけるようなものもおる」
「子供……」
「昔は雌雄などなかったり私のように好きに変えられるものだったがいつの間にか悪魔にも雌雄の区別がはっきりしているものが出てきた。区別なくても子は作れるがな」
ジャンは少し気が遠くなりそうだった。
悪魔に対して描いていた印象が思い切り覆された。
だからと言って悪魔に対する考えが変わることはないけれどかなり意外だったことは確かである。
「子を産むと力の一部を奪われるなんていうこともあるから人のように産んで増えるわけではない」
「何だか悪魔のこと知れて面白いな」
それを知ったからといってなんだという話ではあるがこれまで敵であるとばかり思っていた悪魔の世界の話を知れて楽しくはあった。
きっとこんな話を他でしてもイカれてるのかと思われるだけだろうなと圭は思った。
「ルシファー様、一つお聞きしたいのですが」
「なんだ?」
「この世界に食料や水はあるのですか?」
少し喉が乾いたなとダンテは思っていた。
空気は乾燥しているし少し砂のようなものも飛んでいる。
今はまだ我慢できるけれどそのうち水分補給が必要になってきそうである。
「ないけどある」
「ないけど……ある?」
「なんでそんな謎かけみたいな答えなんだ?」
「悪魔は元来食事も取らないし水も必要としない。だが昔から人間を食らったり人間の願いを叶える対価として供物を受け取ったりしていた。だから必要なくとも食べることはできた。この世界に食べ物はない。だが人間からの供物として受け取ることでそうしたものが存在するのだ」
「つまり……」
「貴重品ということだ」
「なるほど……」
人にとってはかなり酷な世界。
食べ物がそこらへんにあるとは思っていないが手に入れるのも難しそうだと聞いてダンテも顔をしかめる。
15
あなたにおすすめの小説
シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~
尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。
だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。
全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。
勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。
そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。
エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。
これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。
…その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。
妹とは血の繋がりであろうか?
妹とは魂の繋がりである。
兄とは何か?
妹を護る存在である。
かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~
仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
焔の幽閉者!自由を求めて最強への道を歩む!!
雷覇
ファンタジー
とある出来事で自身も所属する焔木一族から幽閉された男「焔木海人」。
その幽閉生活も一人の少女の来訪により終わりを迎える。
主人公は一族に自身の力を認めさせるため最強の力を求め続ける。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる