人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

犬型大

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第一章

告白1

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 寒さが和らぎ、暖かくなってくると薬草の栽培や狩猟が盛んになる季節でもある。
 この辺りはに寒くなっても雪も降らないほど気温の変化は小さく比較的温暖な地域であるが、それでも寒いと植物は育ちにくく魔物であっても動物なので外をうろつくものは減る。
 
 さらに竜人族も寒さに弱く、出来るなら寒い時期は獲物を探して森を駆けずり回りたくはない。
 暖かい時期はお金の貯め時であると大人たちは言う。

 リュードの村で育てている薬草は青々と伸び、薬草そのものやそれを加工したポーションなんかの薬などはよく売れる商品になる。
 もう一つの稼ぎ頭である狩猟による毛皮なども高品質で高値で取り引きされ、ある程度のお金と長持ちする食料などを今のうちから少しずつ蓄えていく。

 リュードも15歳になればもはや大人とそうは変わらない。
 狩猟するか農業するか、はたまた何か別の何かに従事するか。

 そろそろ決めなきゃいけないと両親も時折口にする。
 何をするか決まっているリュードはヴェルデガーに従って薬草栽培を手伝ってポーション作りをしたり、ウォーケックに付いていって森の魔物を狩って解体したりしている。

 薬草は元々の魔力の濃い土壌に加えてヴェルデガーの丁寧な育て方とほんの少しの魔力を与えてやることでグンと品質が良いものになる。
 リュードも細かい作業は好きだし意外と土いじりも悪くはない。

 さらにリュードの魔力は濃くて質がいいのかリュードが魔力を与えると薬草の成長も質も良くなるとヴェルデガーも嬉しそうだ。
 ポーション作りも似たようなもので最初こそ失敗していくらか薬草を無駄にしたことはあったけど今ではヴェルデガーにも負けず劣らずのものが作れるようになっていた。

 狩猟はもはや慣れっこ。
 狩りを始めた頃は小さい動物や魔物に対しては弓の扱いが難しかったり気配を消して近づく事に苦労があった。
 
 しかし早くから遠視魔法も使えたリュードは獲物を探すのが上手く狩猟の回数を重ねて腕を上げた。
 逆に大きい魔物に対しては倒してしまえばいいなんてこともあって持ち前の身体能力と魔法で意外と簡単に狩れてしまう。

 小物より大物の方が食料的にも多く素材としても良い。
 リュードとウォーケックは村の男たちの中でも奥に潜って大物狩りをしてくるとあって狩猟にも期待をされていた。

 どちらか一方に集中してやってくれればいいけど両方とも結果を残しているので薬草栽培と狩猟の両立もいいのではないか、なんて村の中で多少議論になったこともあるようだけどそれはリュードの与り知らぬことである。
 こうした生活に必要な行いもしているが同時に鍛錬も怠ることはない。

 身長もみるみると伸びていき、体つきも地獄のシゴキを乗り越えて引き締まった体つきになっている。
 やはりというかそれなりに鍛えているのに村長のようなムキムキな体つきになることは難しいようである。

 なるつもりもないけれど。

「リューちゃーん!」

 日が沈み始めて日課となっているウォーケックとの手合わせを終えるとルフォンがタオルを持って家から出てきた。
 ルフォンは先祖返りのために真っ黒で艶やかな髪を腰まで伸ばしていた。

 まだあどけなさや子供っぽさを残しながらも大人びてきた顔つきに主張しすぎない程度に育った体つきと予想を裏切らない成長を見せている。

「拭いてあげる」

「自分で拭けるからいいよ」

 もっと小さい頃はそんなに違わなかった身長もいつの間にか頭半分ぐらい違っている。
 それでルフォンの身長は高い方である。
 
 ルフォンはグッと体を寄せてリュードの額の汗を拭う。
 距離が近いのは毎度のことだからしょうがないけど村でも1、2を争うといっていいほどの美人になったルフォンとベタベタしているリュードをよく思わない奴も多い。

 この間ルフォンに結婚を申し出て玉砕した人狼族がいるという話もリュードは聞いた。

「お父さんも汗かいてるぞ~?」

「お父さん汗臭いから早くお風呂でも入って」

「うぬぅ……」

 ルフォンがリュードに純粋に好意を向けてくれていることは分かっている。
 ただリュードにそれに応えることはできない。

 できないのだけれどこんなふうに嬉しそうに笑うルフォンを突き放すこともまたできないのである。

「ねえ、今日はうちでご飯食べていかない?」

「それは……」

 ルフォンは戦いに加え、料理や裁縫といった方面でもメキメキと腕を上げていて、リュードの前世の記憶からちょっとした料理の要求をしてみてもちょちょいと再現してくれたりもする。
 力比べの優勝者は村長に一つ願いを叶えてもらえるのでルフォンは以前の優勝で様々な調味料をお願いしていた。

 なので普通の料理もルフォンが作れば一味違うものなのだ。
 リュードとしてもお誘いは嬉しいのだけど帰ればメーリエッヒがすでに朝ごはんを作ってくれているはず。

 だからどっちかを食べてどっちかを食べないなんてことはリュードには選択できない。
 どっちもやや多めな量用意するので2食分食べることは現実的ではない。

 魔法で保存もできるけどこっそりやることも難しいしいつ食べるか問題にもなる。

「大丈夫! おかあさんにもちゃんと言ってあるから」

 おかあさんとはリュードの母のことである。

 ルフォンは自分の母親もお母さんと呼ぶけどいつの間にかリュードの母親もおかあさんと呼んでいたのである。
 まあ戦いに関してメーリエッヒからも学んでいるし昔から仲は良く、半分ルフォンは子供みたいなものなのだろう。

 どうやらリュードがルフォンの家で朝食を取ることは既定路線であったみたいだ。
 窓からメーリエッヒが手を振っているのが見えて、ルフォンがそれに手を振り返している。
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