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第四章
実は君のこと3
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「うーん…………」
死にはしなかったけれど結構な出血も伴う大きめのケガだった。
そのためかポーションで治しても血が足りず体が気だるい感じがしていたバロワは唸るようにして目を覚ました。
「ここは……」
見知らぬ天井だとバロワは思った。
思い出せるのは最後に情けない姿を晒したことだった。
レストを守ろうとして守りきれず、ラストの胸に抱かれるようにして気を失ってしまった。
ベギーオの力が予想よりも遥かに強かった。
元よりバロワよりもベギーオの方が強い。
しかしそこまで圧倒的な差があるとは思っていなかったのに、何かヤバいものにでも手を出したかのような強さだったと悔しさがある。
「んん……」
「あっ、レスト…………」
気だるさを押して体を起き上がらせるとベッドに突っ伏して寝ていたレストに気がついた。
状況はまだ分かっていないけれど、生きていることからベギーオがやられたのだなとバロワは察した。
頭数はいたがベギーオの周りには信頼できる仲間というものはいなかった。
対してラストには信頼でき、強い仲間がいた。
バロワもリュードが切られる直前で割り込んでくれたからまだ死なずに済んだことは覚えていた。
血人族とは真逆の黒い姿の青年は冷静な判断でバロワも助けてくれた。
ペラフィランと思われる魔物も乱入してきたのでそこはどうなったかなどは気になったが、生きている今が全ての結果を物語っている。
「ん……バロワ、君?」
思わずレストの寝顔を眺めてしまっていた。
バロワが守りたかったもの、それがレストだった。
そうしているとレストも目を覚ました。
「また、そう呼んでくれるんだな」
レストとバロワは幼馴染だった。
バロワの方が年上なのだがラストが物心ついて遊び相手が欲しいと思っている時にバロワが兄となった。
だから昔の関係は兄妹というよりも友達であった。
ラストとも当然に遊んでいたが、ラストが幼くて外で遊ぶことができなかったのでバロワをその相手に選んだのだ。
ラストが生まれてお姉さんになったレストはバロワに対してもお姉さんぽく接した。
暗くて物静かでオドオドとしたバロワ少年は明るく活発でお姉さんぶりたいレストに手を引かれて王城で遊んだ。
決して嫌じゃなかった。
両親を亡くして新しい環境に置かれたバロワにとって手を引いて自分を連れ出してくれるレストはお日さまなような存在であった。
その時の呼び方がバロワ君であった。
いつ頃からか君ではなくちゃんと兄として呼んでくれるようになったけれどバロワはずっとそのままでいいのにと思っていた。
「……どうしてあんなことしたの!」
目を覚ましたレストは血に濡れたバロワの姿を思い出して声を荒らげた。
「どうしてなの……」
言葉の勢いがあったのは一瞬だけだった。
レストはすぐにしおらしくなって目に涙がたまる。
「それは……」
「分かってるわ」
「えっ?」
どうしてと聞いておきながら分かってるという。
自分の気持ちに気づかれたのかもしれないとバロワはドキッとする。
「ラストのためでしょ?」
「……えっ?」
「分かってるの。今でも綺麗だけど、あの子はこの先もっと綺麗になる。大領主だし、それに王座にも近いわ」
「ち、ちが……」
「ラストは知らないけどヴィッツがラストの身に危険が迫るとちゃんと調べてくれていたの」
ただやられているだけではない。
ベギーオやプジャンがラストにやった嫌がらせや命を狙った策略などはヴィッツが調査を行っていた。
ベギーオは自分で手を下さず人を使ってやるので関与が疑わしいが証拠までは掴むことができなかった。
「あなたが関わっていると見られる時、ベギーオの計画は大体失敗していたわ」
ヴィッツの調査でバロワの影が見える時にはその計画が前段階で失敗しているようなことが多かった。
故に敵なのか味方なのか分からない相手がバロワだった。
バロワも直接出てこないので下の者の失敗ではあるのだけど、関連性があるかもしれないとヴィッツは報告をまとめていた。
ちなみにそのような調査をしていたことはラストには伝えられなかった。
ともかくバロワの存在が疑われる時にはベギーオの策略は失敗していたのである。
レストは昔のバロワを思い出した。
少し気弱でどことなく影があったけど、他人を思いやれて優しい少年だった。
もしかしたら敵じゃなく味方なのかもしれないと期待していた。
味方である理由は多分ラストなんだろう。
そう思いながら。
「隠さなくてもいいのよ。もうベギーオも死んだし、プジャンもきっと全てを失うわ。あなたがラストに気があって、それでこっそり助けていたことは分かってるんだから……」
「違うんだ!」
レストが悲しそうな顔をしている。
そんな風に見えてバロワは思わず声が大きくなった。
バロワが珍しく大きな声を出したものだからレストは驚いた顔をした。
「ご、ごめん。大きな声を出して。でも、違うんだよ。いや違くないところもあるんだけどそうじゃないんだ」
納得させられる答えが見つからない。
正直に答える他にこの勘違いをうまく収めて、全てが上手くいくような説明なんてできはしない。
バロワは口下手な自分を恨む。
「俺がラストを助けていたのは事実だ。でもそれはラストのためじゃない」
「……じゃあどうして?」
「うっ……」
ラストのためじゃなく、ラストを助ける。
そんなことあり得ない。
潤んだ瞳を向けられてバロワが怯む。
頭の中で精一杯の言い訳を考えるけれどレストを納得させられるようなものがない。
「…………それは……」
「言えないのね……権力のため? それともベギーオが気に入らなかった……とか?」
「……君のためだ!」
「…………へっ?」
絞り出すようなバロワの言葉にレストは理解が追いつかなかった。
死にはしなかったけれど結構な出血も伴う大きめのケガだった。
そのためかポーションで治しても血が足りず体が気だるい感じがしていたバロワは唸るようにして目を覚ました。
「ここは……」
見知らぬ天井だとバロワは思った。
思い出せるのは最後に情けない姿を晒したことだった。
レストを守ろうとして守りきれず、ラストの胸に抱かれるようにして気を失ってしまった。
ベギーオの力が予想よりも遥かに強かった。
元よりバロワよりもベギーオの方が強い。
しかしそこまで圧倒的な差があるとは思っていなかったのに、何かヤバいものにでも手を出したかのような強さだったと悔しさがある。
「んん……」
「あっ、レスト…………」
気だるさを押して体を起き上がらせるとベッドに突っ伏して寝ていたレストに気がついた。
状況はまだ分かっていないけれど、生きていることからベギーオがやられたのだなとバロワは察した。
頭数はいたがベギーオの周りには信頼できる仲間というものはいなかった。
対してラストには信頼でき、強い仲間がいた。
バロワもリュードが切られる直前で割り込んでくれたからまだ死なずに済んだことは覚えていた。
血人族とは真逆の黒い姿の青年は冷静な判断でバロワも助けてくれた。
ペラフィランと思われる魔物も乱入してきたのでそこはどうなったかなどは気になったが、生きている今が全ての結果を物語っている。
「ん……バロワ、君?」
思わずレストの寝顔を眺めてしまっていた。
バロワが守りたかったもの、それがレストだった。
そうしているとレストも目を覚ました。
「また、そう呼んでくれるんだな」
レストとバロワは幼馴染だった。
バロワの方が年上なのだがラストが物心ついて遊び相手が欲しいと思っている時にバロワが兄となった。
だから昔の関係は兄妹というよりも友達であった。
ラストとも当然に遊んでいたが、ラストが幼くて外で遊ぶことができなかったのでバロワをその相手に選んだのだ。
ラストが生まれてお姉さんになったレストはバロワに対してもお姉さんぽく接した。
暗くて物静かでオドオドとしたバロワ少年は明るく活発でお姉さんぶりたいレストに手を引かれて王城で遊んだ。
決して嫌じゃなかった。
両親を亡くして新しい環境に置かれたバロワにとって手を引いて自分を連れ出してくれるレストはお日さまなような存在であった。
その時の呼び方がバロワ君であった。
いつ頃からか君ではなくちゃんと兄として呼んでくれるようになったけれどバロワはずっとそのままでいいのにと思っていた。
「……どうしてあんなことしたの!」
目を覚ましたレストは血に濡れたバロワの姿を思い出して声を荒らげた。
「どうしてなの……」
言葉の勢いがあったのは一瞬だけだった。
レストはすぐにしおらしくなって目に涙がたまる。
「それは……」
「分かってるわ」
「えっ?」
どうしてと聞いておきながら分かってるという。
自分の気持ちに気づかれたのかもしれないとバロワはドキッとする。
「ラストのためでしょ?」
「……えっ?」
「分かってるの。今でも綺麗だけど、あの子はこの先もっと綺麗になる。大領主だし、それに王座にも近いわ」
「ち、ちが……」
「ラストは知らないけどヴィッツがラストの身に危険が迫るとちゃんと調べてくれていたの」
ただやられているだけではない。
ベギーオやプジャンがラストにやった嫌がらせや命を狙った策略などはヴィッツが調査を行っていた。
ベギーオは自分で手を下さず人を使ってやるので関与が疑わしいが証拠までは掴むことができなかった。
「あなたが関わっていると見られる時、ベギーオの計画は大体失敗していたわ」
ヴィッツの調査でバロワの影が見える時にはその計画が前段階で失敗しているようなことが多かった。
故に敵なのか味方なのか分からない相手がバロワだった。
バロワも直接出てこないので下の者の失敗ではあるのだけど、関連性があるかもしれないとヴィッツは報告をまとめていた。
ちなみにそのような調査をしていたことはラストには伝えられなかった。
ともかくバロワの存在が疑われる時にはベギーオの策略は失敗していたのである。
レストは昔のバロワを思い出した。
少し気弱でどことなく影があったけど、他人を思いやれて優しい少年だった。
もしかしたら敵じゃなく味方なのかもしれないと期待していた。
味方である理由は多分ラストなんだろう。
そう思いながら。
「隠さなくてもいいのよ。もうベギーオも死んだし、プジャンもきっと全てを失うわ。あなたがラストに気があって、それでこっそり助けていたことは分かってるんだから……」
「違うんだ!」
レストが悲しそうな顔をしている。
そんな風に見えてバロワは思わず声が大きくなった。
バロワが珍しく大きな声を出したものだからレストは驚いた顔をした。
「ご、ごめん。大きな声を出して。でも、違うんだよ。いや違くないところもあるんだけどそうじゃないんだ」
納得させられる答えが見つからない。
正直に答える他にこの勘違いをうまく収めて、全てが上手くいくような説明なんてできはしない。
バロワは口下手な自分を恨む。
「俺がラストを助けていたのは事実だ。でもそれはラストのためじゃない」
「……じゃあどうして?」
「うっ……」
ラストのためじゃなく、ラストを助ける。
そんなことあり得ない。
潤んだ瞳を向けられてバロワが怯む。
頭の中で精一杯の言い訳を考えるけれどレストを納得させられるようなものがない。
「…………それは……」
「言えないのね……権力のため? それともベギーオが気に入らなかった……とか?」
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