314 / 550
第五章
始まる悪魔の大会3
しおりを挟む
「今時綺麗な国の方が珍しいけどよ、こんなドロドロした国も珍しいよ」
特殊な価値観に加えて、黙認された男奴隷と男奴隷を競わせる貴族の遊びまである。
ウロダが世界の国々の内情に精通している人ではないけれどこんな国はそうそうあるものではないと断言してもよい。
他にも何人か乗せられているのでそれぞれ簡単な身の上話をしたり、自己紹介したりをする。
合法奴隷と違法奴隷が半々といった感じで残りの人はみな細い感じの人であった。
移動が続くがリュードたち奴隷は何もしない。
当然野営などの時間もあるわけだがそうした準備にも駆り出されることはない。
手伝おうとするとむしろ座っていろと怒られてしまう。
首輪にある効果は魔力を抑制し、魔法を使わせないだけであるので身体能力や意識に制限をかけられはしない。
抵抗する意志を持てることはもちろん首輪ではそれを止めることができない。
作業に参加させて何か武器になるものを隠し持たれたり、魔力が使えなくてもいいからと逃げられでもしたら嫌なので何もさせないのだ。
一生魔力を使えなくてもいいからと覚悟できる人は多くないと思うが万が一の可能性も警戒はしておく。
「何もしない……というのも暇だな」
リュードは首輪を触る。
何かの金属で出来た首輪は小さい鍵穴があるだけでなんの変哲もないように見える。
指を突っ込んで内側を触るとザラザラとした感触がある。
少しデコボコとしていて、よく触って確かめてみると内側に魔力を抑制する効果を発揮する魔法を刻んであるようだった。
壊せないものでもなさそうだとリュードは思う。
少しばかり無茶すれば首輪を破壊して魔力を取り戻すことができそうではある。
問題となるのは逃げるべきタイミングの方である。
リュードの格好は未だに上半身裸。
金も武器もない。
戦いにおいては魔力が戻れば魔法が使えるので最悪武器がなくても構わないが、上半身裸でお金がないとただのヤバいやつになってしまう。
この国で上半身裸の男がそこらをうろついていたら逮捕でもされてしまう。
他の国でもギリギリアウトになりかねない。
せめて体を隠せるものか服でも欲しい。
何というささやかな願いだろうか。
そしてもう1つは地理的な情報がないことが問題である。
普段も特別立ち寄る国内の地形を頭に叩き込むことはなく地図を見て移動しているのだが、トゥジュームは通り過ぎるだけのつもりだったので余計に地図の記憶が薄い。
ルフォンたちは今どうしているか。
多分探してくれていると思う。
ただ見つけることも楽なことではない。
とりあえず逃げたところでルフォンたちとは合流することも難しい。
今いる場所も分からなければ地形に関してはかなり記憶がおぼろげで、どこに逃げるかも分からなければルフォンたちの居場所も分からない。
逃げられないのではなく、逃げた後の計画を立てられないから逃げない。
「ルフォン……ラスト……」
ルフォンたちのことを考えると寂しさや懐かしさを感じる。
ルフォンの作ってくれる温かい料理がまた食べたい。
奴隷に出されるのはウバとウバの連れた私兵が食べ終わった後の残りになる。
食事を出してもらえるだけありがたいのだけど具もないスープでは口寂しさも感じてしまう。
「食事出るだけでもありがたいと思わなきゃな……」
わびしく奴隷で身を寄せ合って食事を食べる。
奴隷は全部で五人。
本当は六人いたけれど筋肉奴隷がリタイアしたまま帰ってこなかったのでこのまま五人でいくのだろう。
リュード、トーイ、ウロダの他の奴隷の一人は合法奴隷で低ランクの冒険者だった人、もう一人は人攫いに攫われた奴隷でどこかで使用人をしていた人らしい。
正直なところ動けそうな人はウロダぐらいだとリュードは思う。
奴隷で蜂起して兵士たちを制圧することはほとんど無理である。
奴隷がそんなことをして失敗すれば次はない。
筋肉奴隷がどうなったのか末路は知らないが自由放免とはいかないだろう。
無理に行動を起こす時ではない。
何もしなくていいなら楽だし大人しく従っておく。
でも分かりやすく無遠慮に監視をされていては気が休まらないなとリュードはスープを一気に飲み干した。
何もしない、何もさせてもらえないまま、馬車に揺られること数日が経った。
何もすることがないので話題すらもなくなり無言でみな方々をただ見つめる。
「これは……よくないな」
古びた看板が窓から見えた。
マヤノブッカと書かれた看板に都市の名前が見えて、ため息混じりにつぶやいた。
この都市の名前はリュードも知っていた。
行きたいところを地図上でピックアップするのと同様に行きたくないところ、避けるべきところもピックアップをする。
マヤノブッカは行きたくないところ、あるいは避けるべきところとしてリュードはピックアップしていた。
どうしてマヤノブッカが避けるべきところであるのかというとマヤノブッカという都市は治安が最悪なのである。
マヤノブッカは緩衝地帯に存在する都市であった。
複数国の間に存在していて明確な支配者が存在せずにどの国にも属さない無法地帯となっている。
どの国からもアクセスがしやすく、攻めやすくて守りにくい地形でありながら便利な位置にあるために戦争のたびに支配者が変わった。
結局マヤノブッカはどの国でも簡単に手を出せてしまうために手を出せなくなってしまったのである。
特殊な価値観に加えて、黙認された男奴隷と男奴隷を競わせる貴族の遊びまである。
ウロダが世界の国々の内情に精通している人ではないけれどこんな国はそうそうあるものではないと断言してもよい。
他にも何人か乗せられているのでそれぞれ簡単な身の上話をしたり、自己紹介したりをする。
合法奴隷と違法奴隷が半々といった感じで残りの人はみな細い感じの人であった。
移動が続くがリュードたち奴隷は何もしない。
当然野営などの時間もあるわけだがそうした準備にも駆り出されることはない。
手伝おうとするとむしろ座っていろと怒られてしまう。
首輪にある効果は魔力を抑制し、魔法を使わせないだけであるので身体能力や意識に制限をかけられはしない。
抵抗する意志を持てることはもちろん首輪ではそれを止めることができない。
作業に参加させて何か武器になるものを隠し持たれたり、魔力が使えなくてもいいからと逃げられでもしたら嫌なので何もさせないのだ。
一生魔力を使えなくてもいいからと覚悟できる人は多くないと思うが万が一の可能性も警戒はしておく。
「何もしない……というのも暇だな」
リュードは首輪を触る。
何かの金属で出来た首輪は小さい鍵穴があるだけでなんの変哲もないように見える。
指を突っ込んで内側を触るとザラザラとした感触がある。
少しデコボコとしていて、よく触って確かめてみると内側に魔力を抑制する効果を発揮する魔法を刻んであるようだった。
壊せないものでもなさそうだとリュードは思う。
少しばかり無茶すれば首輪を破壊して魔力を取り戻すことができそうではある。
問題となるのは逃げるべきタイミングの方である。
リュードの格好は未だに上半身裸。
金も武器もない。
戦いにおいては魔力が戻れば魔法が使えるので最悪武器がなくても構わないが、上半身裸でお金がないとただのヤバいやつになってしまう。
この国で上半身裸の男がそこらをうろついていたら逮捕でもされてしまう。
他の国でもギリギリアウトになりかねない。
せめて体を隠せるものか服でも欲しい。
何というささやかな願いだろうか。
そしてもう1つは地理的な情報がないことが問題である。
普段も特別立ち寄る国内の地形を頭に叩き込むことはなく地図を見て移動しているのだが、トゥジュームは通り過ぎるだけのつもりだったので余計に地図の記憶が薄い。
ルフォンたちは今どうしているか。
多分探してくれていると思う。
ただ見つけることも楽なことではない。
とりあえず逃げたところでルフォンたちとは合流することも難しい。
今いる場所も分からなければ地形に関してはかなり記憶がおぼろげで、どこに逃げるかも分からなければルフォンたちの居場所も分からない。
逃げられないのではなく、逃げた後の計画を立てられないから逃げない。
「ルフォン……ラスト……」
ルフォンたちのことを考えると寂しさや懐かしさを感じる。
ルフォンの作ってくれる温かい料理がまた食べたい。
奴隷に出されるのはウバとウバの連れた私兵が食べ終わった後の残りになる。
食事を出してもらえるだけありがたいのだけど具もないスープでは口寂しさも感じてしまう。
「食事出るだけでもありがたいと思わなきゃな……」
わびしく奴隷で身を寄せ合って食事を食べる。
奴隷は全部で五人。
本当は六人いたけれど筋肉奴隷がリタイアしたまま帰ってこなかったのでこのまま五人でいくのだろう。
リュード、トーイ、ウロダの他の奴隷の一人は合法奴隷で低ランクの冒険者だった人、もう一人は人攫いに攫われた奴隷でどこかで使用人をしていた人らしい。
正直なところ動けそうな人はウロダぐらいだとリュードは思う。
奴隷で蜂起して兵士たちを制圧することはほとんど無理である。
奴隷がそんなことをして失敗すれば次はない。
筋肉奴隷がどうなったのか末路は知らないが自由放免とはいかないだろう。
無理に行動を起こす時ではない。
何もしなくていいなら楽だし大人しく従っておく。
でも分かりやすく無遠慮に監視をされていては気が休まらないなとリュードはスープを一気に飲み干した。
何もしない、何もさせてもらえないまま、馬車に揺られること数日が経った。
何もすることがないので話題すらもなくなり無言でみな方々をただ見つめる。
「これは……よくないな」
古びた看板が窓から見えた。
マヤノブッカと書かれた看板に都市の名前が見えて、ため息混じりにつぶやいた。
この都市の名前はリュードも知っていた。
行きたいところを地図上でピックアップするのと同様に行きたくないところ、避けるべきところもピックアップをする。
マヤノブッカは行きたくないところ、あるいは避けるべきところとしてリュードはピックアップしていた。
どうしてマヤノブッカが避けるべきところであるのかというとマヤノブッカという都市は治安が最悪なのである。
マヤノブッカは緩衝地帯に存在する都市であった。
複数国の間に存在していて明確な支配者が存在せずにどの国にも属さない無法地帯となっている。
どの国からもアクセスがしやすく、攻めやすくて守りにくい地形でありながら便利な位置にあるために戦争のたびに支配者が変わった。
結局マヤノブッカはどの国でも簡単に手を出せてしまうために手を出せなくなってしまったのである。
5
あなたにおすすめの小説
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
《作者からのお知らせ!》
※2025/11月中旬、 辺境領主の3巻が刊行となります。
今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。
【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん!
※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
風魔法を誤解していませんか? 〜混ぜるな危険!見向きもされない風魔法は、無限の可能性を秘めていました〜
大沢ピヨ氏
ファンタジー
地味で不遇な風魔法──でも、使い方しだいで!?
どこにでもいる男子高校生が、意識高い系お嬢様に巻き込まれ、毎日ダンジョン通いで魔法検証&お小遣い稼ぎ! 目指せ収入UP。 検証と実験で、風と火が火花を散らす!? 青春と魔法と通帳残高、ぜんぶ大事。 風魔法、実は“混ぜるな危険…
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる