人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

犬型大

文字の大きさ
327 / 550
第五章

あの人を追いかけて9

しおりを挟む
 二日の余裕はできたけれどマヤノブッカの治安は良くないし観光地でもない。
 観光する気もないし下手に動き回るわけにもいかない。

 はやる気持ちを押さえつけて、ルフォンたちは二日間を宿にこもって過ごした。

「……会場に向かおう」
 
 ルフォンたちはフードを深くかぶって顔を隠す。
 誰に見られたところで構わないのだけど目立たぬようにはしておく。
 
 他にもバレたくない人がいるのか似たような出立ちの人がいるので仮に何か行動を起こすとしてもルフォンたちだとはバレないだろう。
 コロシアムは異様な雰囲気であった。
 
 指定された席に着いたが、耳が痛くなるほどのざわつきと戦いと血を求める興奮した目をした大人たちの集まりは熱気よりも狂気に近い異常さがある。

「始まるのかな」
 
 今か今かと待っているとコロシアムの真ん中にある闘技場ステージの上に一人の女性が出てきた。
 黒いウサギのお面を付けたその人は黒い筒のような物を持っていた。
 
「さーて、それでは第二ステージの方に参りたいと思いますが準備はよろしいですかー?」

 黒うさぎの司会が筒に向けて話すとコロシアムのあちこちに取り付けられた大きな筒から声が出てくる。
 いわゆるマイクとスピーカーだが、この世界ではそれを魔道具として作り出したものだった。

 早く始めろ!と罵声が飛ぶ。
 ステージの声がスピーカーから聞こえてくることやこんな魔道具をどうやって用意したかなんて周りの人は気にしていない。

 とっとと大会を始めることの方がみんなにとっては大切なことだった。
 この雰囲気を三人はとても好きになれそうになかった。

「第一ステージを生き残ったのは百五十八名の挑戦者の皆様でーす。この第二ステージで挑戦していただくのはダンジョンバトルです!」

 黒うさぎの司会はステージを大きく使って各方向を向きながら罵声もなんのその視界を続ける。

「ダンジョンといっても本当にダンジョンを攻略するのではありません!この町の地下には巨大な地下空間があるのはご存じでしょうか? 知らなくても大丈夫ですが、ダンジョンとも呼べるほどに広いこの地下空間を使って参加者をさらに絞ります!」

 黒うさぎの司会の声は高めで今の状況で聞いていると少しイラっとするとラストは思った。

「ルールは簡単です。参加者の手首には腕輪が付けられていまして、それには一つの石がついています。それを十個集めるだけ! いくつ集めても構いませんが十個集められなかったら失格となります。どうやって集めるかって? それはお願いでもしてみればいいんじゃないでしょうか?」

 ルフォンたちは苦い顔をする。
 要するに自分たち以外の奴隷を殺して石を奪えと言っているのだ。

 黒うさぎの司会の白々しい言い方に石でも投げたくなる。

「ただしもう一つ、石がなくてもクリアと見なされる条件もございます。やっさしー私たちは地下空間のどこかに魔物をご用意しました! もし魔物を倒すことができましたら、石が十個なくても次のステージに進むことができちゃいます! 二つも条件があるなんて太っ腹!」

 黒うさぎの司会が可愛らしくポーズを取る。

「えっ? どうやってみんなが勝ち上がってくるかみたいですって? そりゃあもちろん見ることもできます。こちらをご覧くださーい!」

 黒うさぎの司会がパッと手を上げる。
 すると闘技場を囲むように白い布が上から降りてくる。

 闘技場を囲むように天井から吊るされている真っ白な巨大な布がなんなのか会場がざわつく。

「つい先日およそ500年前の遺物が大量に発掘されました。それは魔道具でありまして、なんと離れたところの光景を映し出すことができるものでした! 元々は偵察や監視を行うための魔道具だったみたいですが、私たちはそんな魔道具を手に入れることにせいこーしたのでーす!」

 黒うさぎの司会が何を言いたいのか理解している人は少ない。
 その魔道具がどうしたのだとざわつきが大きくなる。

「んー、実際に見ていただいた方が早いでしょうね。じゃん!」

 白い布に囲まれてしまって見えないステージの上で黒うさぎの司会はポーズをとる。
 コロシアムの中を照らしていた明かりが次々と消えて行く。

 そして真っ暗になったコロシアムの中でパッと白い布に映像が映し出された。

「リューちゃん!」

 ボヤけたり、ブレたりしている映像が布に映し出された。
 安定しないで次々と移り変わって行くような映像が段々と鮮明に見え始めた。

 別々の人が映し出されるその映像の中の1人に一瞬だけどリュードの姿があった。
 ルフォンはそれを見逃さなかった。

「全てを同時にお見せすることはできませんがこちらの魔道具を使いまして、良いシーンをみなさまにお見せしたいと思います。いかがでしょう!」

 ワッと会場が湧く。
 すごい技術だと先ほどまで殺気立っていた人たちもほめそやす。

 これまでなかったやり方と競技内容に興奮を隠しきれない観客たちだがルフォンは本当に一瞬だけ映った光景に釘付けになっていた。
 リュードはどこか狭い洞窟のようなところにいるようにルフォンの目には見えた。

「どこにいるの……リューちゃん」

 姿は見えた。
 なのに目の前にはいない。

 手が届きそうで届かない。
 胸に広がるもどかしさが苦しくて、もう一度リュードが移らないかとルフォンは映像に目を凝らした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

風魔法を誤解していませんか? 〜混ぜるな危険!見向きもされない風魔法は、無限の可能性を秘めていました〜

大沢ピヨ氏
ファンタジー
地味で不遇な風魔法──でも、使い方しだいで!? どこにでもいる男子高校生が、意識高い系お嬢様に巻き込まれ、毎日ダンジョン通いで魔法検証&お小遣い稼ぎ! 目指せ収入UP。 検証と実験で、風と火が火花を散らす!? 青春と魔法と通帳残高、ぜんぶ大事。 風魔法、実は“混ぜるな危険…

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...