人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

犬型大

文字の大きさ
343 / 550
第五章

遊びの代償4

しおりを挟む
「……おかしい」

「そうだね」

「えっ、どうしてですか?」

 ミュリウォが見ている分にはリュードは順調に戦っている。
 ネズミの攻撃を華麗にかわして反撃を繰り出していて、他の奴隷とは明らかに違う戦いっぷりである。

 けれどルフォンとラストはそんなリュードの戦いに違和感を感じていた。
 リュードの攻撃がネズミに対して致命傷になっていない。

 割としっかり反撃することに成功しているのに槍によるダメージが浅い。
 リュードが槍を得意としていないことは重々承知だけどそれにしたっておかしいのである。

 ネズミが特別固そうな魔物でもないのに苦戦している。

「なんで……」

 動きも精彩を欠いている。
 リュードならばあの程度の魔物簡単に倒せるはずなのに何が起きているのか2人にはわからなかった。

 ルフォンもラストも知らなかった。
 リュードが今どんな状態にあるのかを。

 リュードは付けられている首輪によって魔力を封じられている。
 体の中にある魔力を隅々まで充実させることによって体の強化はある程度できる。

 しかし魔力による強化とは内側だけからではダメなのだ。
 内側に魔力を満たし、外側に魔力をまとわせて初めて本当の効果が発揮される。

 内側だけでは半分の効果しか発揮されない。
 もしかしたら半分以下かもしれない。

 さらに魔力を使えないと武器にまとわせて強化することも出来ない。
 ルフォンとラストが思うよりも遥かに厳しい戦いをリュードは強いられていた。

 一見優勢にも見える戦いを繰り広げているリュードは気づけば汗だくになっている。
 滝のような汗が流れ落ちてマダムたちにはそれもまた好評だが、ルフォンから見ればリュードの体力の消耗が手に取るようである。

「リューちゃん……頑張れ!」

 同じく反撃を繰り出していたリュードは体力がなくなる前に勝負に出た。
 ネズミに背を向けて走り出したリュードは壁を駆け登って高く飛び上がり、落下の勢いのままに槍をネズミの頭に突き立てた。

 アクロバティックで劇的な展開に会場が大いに沸き立つ。
 ラストもいつの間にか手に汗握って声を出してリュードを応援していた。

 リュードの動きは勉強にもなるし、気づいたら応援にも熱が入ってしまっていた。
 ミュリウォも祈るようにリュードの戦いを見ている。

 トーイがあんな状態であるのでリュードが勝ってくれないとトーイも終わりである。

「よっしゃ!」

 槍を頭に刺されたネズミがぐらりと倒れた。
 倒した、誰もがそう思って歓声が上がった。

 しかし倒れたネズミは再びゆっくりと起き上がってきたのだ。
 立ち上がってネズミは全身が激しく燃え上がる。

 武器を失ったリュードは全身燃えるネズミの攻撃を必死にかわしている。
 ネズミを応援する声も根強いが、諦めずに粘り強く戦うリュードを応援する声も大きくなってきた。

 攻撃が当たりそうになる度に悲鳴に近い声が上がる。

「ああっ!」

 ルフォンからもとうとう声が漏れた。
 リュードが槍を取り返そうとしたのだが失敗して反撃を食らってしまった。
 
 劣勢になればなるほどリュードへの応援が大きくなる。
 その時ハンマーが飛んできた。
 
 映像の一つがトーイの方に移り変わり、何かを叫んでいた。
 ハンマーがトーイの持っていたものだとみんなが気づいた。
 
 リュードのところまで届いていないが思わぬ展開にみんなが固唾を飲んで映像を見守っている。
 リュードが走り出してハンマーに手を伸ばす。
 
 背中にネズミが迫る中、リュードがわずかに早くハンマーに手を届かせた。
 ネズミがリュードにハンマーで殴られて横に転がる。

「いいぞ、リュードぉ!」

 ラストももう立派な観客である。

「リューちゃん頑張れー!」

 ルフォンももう立派な観客である。

「殴り倒せー!」

 ミュリウォももう立派な観客である。

「やれー!」

「リューちゃんやっちゃえー!」

「頑張ってくださーい!」
 
 一転してリュードの方が攻勢に出る。
 ハンマーは槍よりもネズミ相手に有効で、リュードのパワーをうまく使えた。

 ネズミは火を吐いたりと反撃を試みているが勢いに乗ったリュードは止められない。
 リュードがネズミのアゴを殴り上げて火球が口の中で爆発する。

 口から黒い煙を吐き出しながら倒れるネズミ。
 リュードはその隙を見逃さず、ハンマーで槍を殴りつけた。

 ズドンと槍が深くネズミの頭に刺さる。
 カッとネズミが目を見開いて暴れ出す。

 壁に体を打ち付けたり叫び声を上げている様子が見られて、部屋の隅にあった水溜りに突っ込んだ。
 ネズミの体の炎が水に触れて水蒸気が発生して映像がどれも真っ白になる。

 会場にいた誰もが声を出すのをやめて映像を食い入るように見つめる。

「やっ……たぁー!」

 地面が揺れるほどの歓声。
 水蒸気がうっとおしくてパタパタと手を振るリュードと動かないネズミが見えて戦いの結果が判明した。

「な……なんと魔物に勝つ出場者が現れましたー!」

 リュードがネズミに勝った。
 ルフォンとラストは抱き合って喜び、ミュリウォもトーイが助かったことに涙を浮かべている。

 ほとんどの人が不可能だと思った魔物の討伐を1人でやってのけてしまった。
 その後トーイを下ろしたり石を集めたりしていたが中でも注目されたのはリュードの入浴シーンだった。
 
 一度下を脱ごうかと手をかけたために女性たちが食い入るように映像に注視していた。
 ざわつきが一瞬静かになり、水を打ったように静まり返った。
 
 脱ぐのか、脱がないのか。
 結局なんだか脱ぐことに不安を覚えたリュードはそのままお湯になった水溜りにつかった。
 
 会場から大きなため息が聞こえてきたがヒヤヒヤしていたルフォンもセーフだと大きく息を漏らした。
 ある種の一体感が会場全体に存在していたのである。

 先ほどまで険しい顔をして激しい戦いを繰り広げていたリュードはのほほんとした顔をして入浴するシーンはマダムに人気なので戦いの場面でもないのに長めに映されていた。
 脱いでくれれば、なんて声がちょいちょい聞こえてくるが下半身までいろんな人に見せることにならなくてルフォンは安心する。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆ 気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。 チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。 第一章 テンプレの異世界転生 第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!? 第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ! 第四章 魔族襲来!?王国を守れ 第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!? 第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~ 第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~ 第八章 クリフ一家と領地改革!? 第九章 魔国へ〜魔族大決戦!? 第十章 自分探しと家族サービス

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。 現世で惨めなサラリーマンをしていた…… そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。 その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。 それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。 目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて…… 現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に…… 特殊な能力が当然のように存在するその世界で…… 自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。 俺は俺の出来ること…… 彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。 だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。 ※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※ ※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

風魔法を誤解していませんか? 〜混ぜるな危険!見向きもされない風魔法は、無限の可能性を秘めていました〜

大沢ピヨ氏
ファンタジー
地味で不遇な風魔法──でも、使い方しだいで!? どこにでもいる男子高校生が、意識高い系お嬢様に巻き込まれ、毎日ダンジョン通いで魔法検証&お小遣い稼ぎ! 目指せ収入UP。 検証と実験で、風と火が火花を散らす!? 青春と魔法と通帳残高、ぜんぶ大事。 風魔法、実は“混ぜるな危険…

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

処理中です...