人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

犬型大

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第五章

遊びの代償5

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 流石にずっと入浴シーンが流れているわけもなく、そこそこに映像が切り替わる。
 今度は奴隷同士の戦いだった。
 
 リュードの戦いが終わって、入浴シーンでまったりした観客に再び熱が入り始める。
 
「ふぅ~……」

 リュードの戦いに見入っていたラストから息が漏れた。
 勝つと分かっていたし、信じていた戦いでも気を抜いて見られなかった。

 こうした見せ物には興味がないと思っていたけれど、どうしてこんなものがあるのかその一端に触れた気分になった。
 野蛮な行いだが応援している間は熱中して、リュードが勝った時には自分も何かに勝ったような高揚感があった。

 必死に戦うリュードの姿は応援したくなるし、この程よい疲労感も悪くないと思える。
 二度目は絶対にないけど気持ちがわからないものでもなくなった。

 リュードが大きなケガをしなくてよかったとルフォンとラストは安心した。

「あ、あの……失礼いたします……」

「ん?」

「え、ええと……こ、こちら賭けの……」

 係員が大きな袋を持ってルフォンの元に来ていた。
 賭けの支払いにきていたのである。
 
 戦いに夢中になってルフォンはリュードに賭けていたことを忘れていた。
 みんな魔物が勝つと思っていた。
 
 しかも1人で勝つなんてこと大会側も考えていなかったために中で賭けていたために賭けの倍率はかなり大きくなっていたのである。
 持っている袋は大きくてお金を持つ係員の顔の半分を覆うマスクの下が青くなっていることが分かる。

 ルフォンが袋を受け取るとその重さにビックリした。

「うわっ! なにこれ!」

 袋の中にはぎっしりの金貨。
 金貨一枚をリュードに賭けた結果とんでもない金額として返ってきた。

 貴族の大会ともなれば大金が動いている。
 それでもルフォンの得られた金額は莫大で大会関係者は顔を青くしていた。

 人を賭けにする大会なんかぶっ壊してやる! という思いは半分成功していたのである。

 ーーーーー

 リュードはお風呂に入ると結構長い。
 たっぷり入るわけはないだろうけどリュードがこの後劇的展開に巻き込まれる可能性も低そうだとルフォンは思った。

 このステージについては数日日やる予定で好きな時に観られるように1日中映像は映しっぱなしでいるらしい。
 いくらなんでも数日ぶっ通しで映像を見続けることは出来ないのでチラホラと一度引き上げる人も出始めた。

「一度帰ろうか」

 ルフォンたちも応援疲れをしてしまった。
 時間的に食事も取らなきゃいけないし宿に帰ることにした。

 人が多いので出店みたいなものもコロシアムの周辺にあった。
 適当なものを買って宿に帰って食べながらワイワイとリュードの活躍について話していた。

 改めてリュードはすごい人だと思った。
 苦戦した理由も見ていて何となく魔力が使えないと分かったし、もしそうなら余計すごいと思った。

「お休みのところ、失礼します。サドゥパガンの者です」

 みんなが顔を見合わせる。

「どうぞ」

「失礼します。こちらが割符です」

 例の如く割符を合わせてちゃんと相手が情報屋かどうか確認する。
 情報屋がやっている宿だから大きな心配はないが警戒してし足りないことなどない。

「今お時間大丈夫ですか?」

「はい、何かありましたか?」

「情報が1つ。それと支部長からの伝言がございます」

 ここにきての情報に否が応でもリュードのことを期待する。

「まずは伝言から……『マヤノブッカから早く脱出なさってください』とのことでした」

「えっ?」

 予想だにしなかった言葉で三人は驚きを隠せなかった。
 内容もマヤノブッカから脱出しろとは穏やかではない伝言である。

「どういうこと?」

「詳しいことはまだ明らかになっていないのですがお客様の調査を進める中で……」

「キャッ!」

 轟音、それと振動。
 爆発がどこかで起きてミュリウォがひどく驚く。

 ルフォンは不安な予感がして外に出た。
 外に出ると嫌な魔力をルフォンとラストは感じた。

 遠くの方で煙が上がっている。

「な、なんです……キャア!」

 今度は近いところで爆発が起きてミュリウォは頭を守るようにして身をかがめた。
 それだけでなくマヤノブッカの至る所で爆発が起きて煙が上がっている。

「まさか……こんなに早く」

「一体何が起きてるの!」

「これは……うっ!」

 また爆発が地面が揺れる。

「何が起きてるのか簡単に説明して」

「はい。私たちは調査の過程でこの大会に悪魔が関わっている疑いがあることを突き止めました。まだ確証はないのですがどうやら悪魔がこの大会を利用して何かをしようとしていると支部長は踏んでいました」

「悪魔って……」

「キャアアア!」

 ミュリウォのものではない悲鳴が聞こえてきた。

「ルフォン、空!」

「あれは……」

 いつの間にか空を何かが飛んでいる。
 それなりの大きさがあるそれはワイバーンのような翼竜に近い姿をしているけれどワイバーンほどの大きさもなく、真っ黒な色をしている。

 どこから湧いて出てきているのか数が増えていっていて、空を旋回しては時折地上に向かって滑降している。
 人に襲いかかっているらしく近くに滑降した直後に悲鳴のようなものが聞こえてきた。

 何かしらの尋常じゃない事態が起きていると誰でも分かった。

「わわっ、こっち来るよ!」

 謎の翼竜もどきが1匹ルフォンたちに気づいて滑降してきた。

「みんな下がって」

 ルフォンがナイフを抜いて飛び上がる。
 大きく開けられた翼竜もどきの口の上を越え、空中で身をひるがえす。

 グルリと回転したルフォンはそのままの勢いで翼竜もどきをナイフで切り付けた。
 首を切り落とされて翼竜もどきはそのまま地面に激突しながら転がっていく。

 人ほどの大きさがある翼竜もどきはルフォンたちも見たことがない魔物であった。

「よっ、さすがルフォン!」

「へへん、私だって強いからね!」

「こ、これなんですかぁ?」

 でろりと紫色の血が流れ出る頭が目の前に転がってきて、ミュリウォは慌ててラストの後ろに隠れる。

「これは最下級の悪魔ですね」

 ミュリウォの疑問に情報屋の女性が答えた。
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