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第六章
アリの巣掃除3
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「いい加減にしろー!」
第五波になってラストはとうとう叫んでしまった。
第一波では十匹だったアリも三十匹と三倍になった。
来るならもっとまとめてくればいいし、襲ってくる感覚も休むには短く警戒を保っておくにはちょっと長いというめんどくさい感じなのである。
「なんか赤いのいるよ!」
「りょーかい!」
暗闇に強くないリュードとデルデにはよく見えていなくても、暗闇に強いルフォンとラストには先の方までよく見えている。
アリの後ろの方にこれまでのアリとは様子の違う赤いアリがいた。
何かが変わったなと思うが、後ろにいるし無理に赤いアリから倒しに行くこともない。
まずは手前にいる黒いアリからルフォンたちは倒していく。
もはやアリの動きも慣れっこになってきた。
数が増えたところで坑道の広さには限界があるので一度に襲い掛かれる数も限りがあって戦いに大きな変化はない。
むしろアリの死体が増えることでアリの方が戦いにくそうにしていた。
「ルフォン来るよ!」
「うん!」
黒いアリを倒していってとうとう赤いアリが前に出てきた。
黒いアリより一回りほど大きくてアゴが発達している。
リュードの考えでは黒いアリはいわゆる働きアリで、こちらの赤いアリは兵隊アリといったところだろう。
素早さも少し黒いアリよりも速く、ルフォンをアゴで挟もうと迫る。
けれどそれでもルフォンの速さには敵わない。
ルフォンはアゴをかわすとナイフで反撃を繰り出した。
まだ切れはするが黒いアリよりも固い感じがする。
黒いアリよりも明らかに戦闘力が高いアリはリュードの予想通り兵隊アリであった。
一撃で仕留めるにはルフォンの反撃は浅く、アリは再びルフォンを挟もうと試みる。
「ほっ!」
ルフォンは飛び上がってアゴをかわすともう一度ナイフを振る。
今度は魔力をしっかりと込めて。
ドワーフというのはすごいと思った。
デルデの技術は卓越していて、尊敬できるとルフォンは素直に認める。
今までナイフに関して不満なことなど思ったことは一度もなかった。
けれどミスリルを混ぜてデルデが鍛え上げたナイフを使うともう以前のナイフには戻れないと言わざるを得ない。
同じ形状のナイフであるはずなのに比べてしまうとどうしても以前のナイフが劣っている。
赤いアリの体の中でも特に固いはずのアゴが切れて飛んでいく。
ミスリルの凄さもあるのだろうけどデルデの技術があるからミスリルも最大限生かされているのだ。
「はっ!」
最大の武器を傷つけられて、ひどい痛みに赤いアリが大きく怯んだ。
ここは本来ラストにとどめを任せるところだけどこのままいける気がした。
ルフォンは体ごと回転させるようにナイフを真っ直ぐ上に振り上げた。
アリの頭が縦に切り裂かれて倒れる。
「あれだな、嫁さんには逆らわん方がいいな、リュード」
「亭主関白気取るつもりなんてないから大丈夫だよ」
逆らうも何も何かを決める時はちゃんと相談するし、多少のわがままは互いにあっても許容はしている。
ルフォンやラストが本気でやりたいことはリュードは応援したいし、リュードがやりたいことはルフォンやラストも応援してくれる。
互いをちゃんと尊重しているから大丈夫である。
「ワシは鍛冶仕事にかまけて女房に逃げられたからな。お前さんは嫁さんを大事にしてやれよ?」
「肝に銘じておきます」
ガハハと笑ってデルデはリュードのケツを叩く。
本当なら背中を叩くところなのだけどデルデの身長では自然とケツぐらいの高さが限界なのだ。
「その心意気があれば大丈夫だろうよ。二人もいて大変だろうがお前さんは果報者だ。その幸せ忘れんようにな!」
ラストの方はまだそうした関係ではないと言いかけて言葉を飲む。
説明も面倒だし、あらためて客観視した時にそう見えることに自分で自分に反論できないと思ったのだ。
ルフォンも認めているしラストのことは憎からずは思っている。
嫁さんになるかは分からないが、大事にはしようと思うことに変わりないので曖昧に笑顔を浮かべておいた。
友人だろうと恋人だろうと大切にはするし、一緒に旅をするのだから絶対に守るという気概はある。
リュードにその甲斐性が十分にあり、魔人族の習性的に見ればそうした関係性に見えてしまうからデルデがそう思うのも仕方のない話なのである。
「敵の編成も変わってきたな」
第五波の赤いアリの出現を皮切りに黒いアリが減り、赤いアリが増えた。
一波あたりのアリの量の増加はほとんどなくなったが、少しだけ厄介な赤いアリがほとんどの割合を占めるのに時間はかからなかった。
その変化はアリの巣の中心に近づいていることをリュードたちに予感させていた。
「なんだここは?」
「奴らがやったんだな。ここにこんな広い場所なかったはずだ」
アリの襲撃にルフォンたちにも疲労が見え始めてきた。
余力を残しているリュードが前に出て戦おうかと思っていたら広い部屋に出た。
天井の一部が崩落して日が差し込んでいて明るい。
それほどまでに拡張された空間はデルデたちドワーフが掘ったものではなくて、アリが独自に広げたもののようだ。
第五波になってラストはとうとう叫んでしまった。
第一波では十匹だったアリも三十匹と三倍になった。
来るならもっとまとめてくればいいし、襲ってくる感覚も休むには短く警戒を保っておくにはちょっと長いというめんどくさい感じなのである。
「なんか赤いのいるよ!」
「りょーかい!」
暗闇に強くないリュードとデルデにはよく見えていなくても、暗闇に強いルフォンとラストには先の方までよく見えている。
アリの後ろの方にこれまでのアリとは様子の違う赤いアリがいた。
何かが変わったなと思うが、後ろにいるし無理に赤いアリから倒しに行くこともない。
まずは手前にいる黒いアリからルフォンたちは倒していく。
もはやアリの動きも慣れっこになってきた。
数が増えたところで坑道の広さには限界があるので一度に襲い掛かれる数も限りがあって戦いに大きな変化はない。
むしろアリの死体が増えることでアリの方が戦いにくそうにしていた。
「ルフォン来るよ!」
「うん!」
黒いアリを倒していってとうとう赤いアリが前に出てきた。
黒いアリより一回りほど大きくてアゴが発達している。
リュードの考えでは黒いアリはいわゆる働きアリで、こちらの赤いアリは兵隊アリといったところだろう。
素早さも少し黒いアリよりも速く、ルフォンをアゴで挟もうと迫る。
けれどそれでもルフォンの速さには敵わない。
ルフォンはアゴをかわすとナイフで反撃を繰り出した。
まだ切れはするが黒いアリよりも固い感じがする。
黒いアリよりも明らかに戦闘力が高いアリはリュードの予想通り兵隊アリであった。
一撃で仕留めるにはルフォンの反撃は浅く、アリは再びルフォンを挟もうと試みる。
「ほっ!」
ルフォンは飛び上がってアゴをかわすともう一度ナイフを振る。
今度は魔力をしっかりと込めて。
ドワーフというのはすごいと思った。
デルデの技術は卓越していて、尊敬できるとルフォンは素直に認める。
今までナイフに関して不満なことなど思ったことは一度もなかった。
けれどミスリルを混ぜてデルデが鍛え上げたナイフを使うともう以前のナイフには戻れないと言わざるを得ない。
同じ形状のナイフであるはずなのに比べてしまうとどうしても以前のナイフが劣っている。
赤いアリの体の中でも特に固いはずのアゴが切れて飛んでいく。
ミスリルの凄さもあるのだろうけどデルデの技術があるからミスリルも最大限生かされているのだ。
「はっ!」
最大の武器を傷つけられて、ひどい痛みに赤いアリが大きく怯んだ。
ここは本来ラストにとどめを任せるところだけどこのままいける気がした。
ルフォンは体ごと回転させるようにナイフを真っ直ぐ上に振り上げた。
アリの頭が縦に切り裂かれて倒れる。
「あれだな、嫁さんには逆らわん方がいいな、リュード」
「亭主関白気取るつもりなんてないから大丈夫だよ」
逆らうも何も何かを決める時はちゃんと相談するし、多少のわがままは互いにあっても許容はしている。
ルフォンやラストが本気でやりたいことはリュードは応援したいし、リュードがやりたいことはルフォンやラストも応援してくれる。
互いをちゃんと尊重しているから大丈夫である。
「ワシは鍛冶仕事にかまけて女房に逃げられたからな。お前さんは嫁さんを大事にしてやれよ?」
「肝に銘じておきます」
ガハハと笑ってデルデはリュードのケツを叩く。
本当なら背中を叩くところなのだけどデルデの身長では自然とケツぐらいの高さが限界なのだ。
「その心意気があれば大丈夫だろうよ。二人もいて大変だろうがお前さんは果報者だ。その幸せ忘れんようにな!」
ラストの方はまだそうした関係ではないと言いかけて言葉を飲む。
説明も面倒だし、あらためて客観視した時にそう見えることに自分で自分に反論できないと思ったのだ。
ルフォンも認めているしラストのことは憎からずは思っている。
嫁さんになるかは分からないが、大事にはしようと思うことに変わりないので曖昧に笑顔を浮かべておいた。
友人だろうと恋人だろうと大切にはするし、一緒に旅をするのだから絶対に守るという気概はある。
リュードにその甲斐性が十分にあり、魔人族の習性的に見ればそうした関係性に見えてしまうからデルデがそう思うのも仕方のない話なのである。
「敵の編成も変わってきたな」
第五波の赤いアリの出現を皮切りに黒いアリが減り、赤いアリが増えた。
一波あたりのアリの量の増加はほとんどなくなったが、少しだけ厄介な赤いアリがほとんどの割合を占めるのに時間はかからなかった。
その変化はアリの巣の中心に近づいていることをリュードたちに予感させていた。
「なんだここは?」
「奴らがやったんだな。ここにこんな広い場所なかったはずだ」
アリの襲撃にルフォンたちにも疲労が見え始めてきた。
余力を残しているリュードが前に出て戦おうかと思っていたら広い部屋に出た。
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