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第六章
アリの巣掃除4
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正面の奥側に一際デカい黒いアリとさらにその奥に白い卵が見えた。
大きさや状況から察するに女王アリだろう。
女王アリの前には四匹のアリがいた。
赤黒いが艶やかで、働きアリよりは大きいが兵隊アリよりは少し小さいぐらいの大きさのアリ。
非常にアゴが発達していて、大きく伸びているのでアリというよりもクワガタを思い起こさせる。
女王を守る護衛アリだ。
「くるぞ! デルデは下がっていてくれ!」
護衛アリの背中の羽が低い音を立てて羽ばたき始め、体がふわりと浮く。
「ショット!」
ラストが素早く矢を二回放つ。
浮き上がったばかりのアリは動きが鈍く、二匹のアリが矢をかわしきれずにヒットする。
当たった瞬間に矢の魔力が爆発を起こす。
表面は兵隊アリよりも固そうで大したダメージは与えられそうにもないがそれでも良い。
爆発の衝撃で浮き上がったばかりのアリは大きくバランスを崩して地面に落ちる。
結果的に半分の二匹だけがそのまま飛んでリュードたちに襲いかかってくる。
「ナイスだ、ラスト!」
リュードは襲いかかるアリのアゴをかわして剣にあまり魔力を込めず素早く剣を振り、アゴと胴体を切りつけた。
アゴは金属がぶつかるような音がして、胴体も鈍い音がした。
アゴは傷つかなかったが胴体の方は魔力を込めていないのにも関わらずわずかに傷がついていた。
やはりこの剣は素での能力も高いと感心してしまう。
しかしその剣でも軽くしか傷つかないアリの方もだいぶ硬い。
「じゃあ魔力を込めたらどうかな?」
次は少し本気を出して剣に魔力を込める。
そしてさらに魔力を変化させて属性を持たせる。
バチバチと弾ける音がして、黒い剣が雷をまとう。
もうすでに違うとリュードは感じた。
これまでと同じように魔力を込めているのに剣がまとう雷は大きく力強い。
「今ならなんでも切れそうだ」
ニヤリと笑ったリュードはアリを切りつける。
魔力を込めない時には結構硬いなと思っていたアリの外骨格だったけれど、魔力を込めて切りつけるとその手応えはほんのわずかであった。
アリの胴体を通過して剣を振り切ったのに返ってきた手応えは恐ろしく少ない。
簡単にアリの体を切り裂いたリュードの方が驚いてしまうぐらいだ。
雷がアリの体を駆け巡り、ビクビクと体を震わせる。
まるで一瞬空でも切ってしまったのかと思うほどに軽くアリのことを切ることができた。
「デルデに感謝だな」
剣の強さに感動する。
けれど傷は深いがアリは死んでいない。
致命傷にはギリギリ至らなかった。
お試しじゃなくてしっかり切っておけばやれたかもしれない。
どの程度切れるのか分からないので浅めにしたのが仇となった。
「リュード、後ろ!」
ラストの爆発で遅れていたアリが立ち直ってリュードに向かっていた。
「痺れてろ!」
リュードが手を伸ばして襲いかかってくるアリに魔法を放つ。
もはやお馴染みの雷の魔法だ。
モロに魔法が直撃したアリは体が痺れて地面に落ちる。
これで死なないあたり、魔法に対する耐性もそれなりに高そうだと感じる。
「さっすがリュード!」
ラストが目一杯に引いた矢を放った。
目標はリュードが魔法で落として痺れているアリだ。
魔力を込めた一矢は真っ直ぐに飛んでいき、アリの頭のど真ん中に突き刺さる。
硬い外骨格を砕き中に入り、奥深くに矢が刺さった。
か細く鳴いて頭に矢が埋め込まれたアリが倒れる。
新しい弓を全力で引くと止められるものなどいないのではないかと錯覚するほどの高威力になる。
「逃すか!」
痺れさせたアリはラストに任せてリュードは胴体を切られて逃げるアリを追う。
飛んで逃げ出そうとする護衛アリに向かって飛び上がると体を回転させながら上に剣を振り上げる。
リュードが着地して、少し遅れてアリの頭が地面に落ちる。
さらに遅れて羽ばたきの止まったアリの胴体と地面に激突した。
「ラスト、ルフォンの方を頼むぞ!」
「りょーかい!」
これで二匹片付いたので残るは二匹。
ラストはつがえた矢をルフォンの戦うアリに向ける。
「まあ、心配なさそうだけどね」
見るとルフォンは危なげなく戦っていた。
残る二匹がルフォンの方に向かったというのに無理せず引きつけながら戦っていて、一匹はすでに羽と足を何本か切り落とされていた。
もうちょっと時間があればルフォンがそのまま二匹を制圧してしまいそうな雰囲気すらある
二匹とも全身切り傷だらけで無事なのもご自慢のアゴぐらいのものだ。
しかしご自慢のアゴもルフォンにはかすりもしない。
「ルフォン!」
「オッケー!」
ラストの声にルフォンが視線も返さずに返事する。
戦いの最中によそ見なんて出来ない。
けれど見ずともこれまで一緒に戦ってきた経験から何となくラストの行動は分かるし、声の位置から場所も把握できる。
ルフォンは巧みに一匹のアリの向きを誘導する。
ラストが頭を狙えるように戦いながら少しずつ場所を変えていく。
そしてルフォンが大きく横に飛んで場所を空けた瞬間ラストは矢から手を放した。
弓に魔力を込めるのを止めると弦が固くなり形を戻そうとする力が働いてより強く矢を打ち出す。
アリの頭に矢が刺さり、そして爆発する。
頭の一部が吹き飛んだアリは声を上げることもなく地面に倒れて動かなくなる。
「う、ううむ……」
岩の影に隠れて戦いの様子を見ていたデルデは思わず唸った。
三人では厳しいかもしれないと正直なところ考えていたが、リュードたちの圧倒的な実力にアリの方が可哀想になってくるほどだ。
大きさや状況から察するに女王アリだろう。
女王アリの前には四匹のアリがいた。
赤黒いが艶やかで、働きアリよりは大きいが兵隊アリよりは少し小さいぐらいの大きさのアリ。
非常にアゴが発達していて、大きく伸びているのでアリというよりもクワガタを思い起こさせる。
女王を守る護衛アリだ。
「くるぞ! デルデは下がっていてくれ!」
護衛アリの背中の羽が低い音を立てて羽ばたき始め、体がふわりと浮く。
「ショット!」
ラストが素早く矢を二回放つ。
浮き上がったばかりのアリは動きが鈍く、二匹のアリが矢をかわしきれずにヒットする。
当たった瞬間に矢の魔力が爆発を起こす。
表面は兵隊アリよりも固そうで大したダメージは与えられそうにもないがそれでも良い。
爆発の衝撃で浮き上がったばかりのアリは大きくバランスを崩して地面に落ちる。
結果的に半分の二匹だけがそのまま飛んでリュードたちに襲いかかってくる。
「ナイスだ、ラスト!」
リュードは襲いかかるアリのアゴをかわして剣にあまり魔力を込めず素早く剣を振り、アゴと胴体を切りつけた。
アゴは金属がぶつかるような音がして、胴体も鈍い音がした。
アゴは傷つかなかったが胴体の方は魔力を込めていないのにも関わらずわずかに傷がついていた。
やはりこの剣は素での能力も高いと感心してしまう。
しかしその剣でも軽くしか傷つかないアリの方もだいぶ硬い。
「じゃあ魔力を込めたらどうかな?」
次は少し本気を出して剣に魔力を込める。
そしてさらに魔力を変化させて属性を持たせる。
バチバチと弾ける音がして、黒い剣が雷をまとう。
もうすでに違うとリュードは感じた。
これまでと同じように魔力を込めているのに剣がまとう雷は大きく力強い。
「今ならなんでも切れそうだ」
ニヤリと笑ったリュードはアリを切りつける。
魔力を込めない時には結構硬いなと思っていたアリの外骨格だったけれど、魔力を込めて切りつけるとその手応えはほんのわずかであった。
アリの胴体を通過して剣を振り切ったのに返ってきた手応えは恐ろしく少ない。
簡単にアリの体を切り裂いたリュードの方が驚いてしまうぐらいだ。
雷がアリの体を駆け巡り、ビクビクと体を震わせる。
まるで一瞬空でも切ってしまったのかと思うほどに軽くアリのことを切ることができた。
「デルデに感謝だな」
剣の強さに感動する。
けれど傷は深いがアリは死んでいない。
致命傷にはギリギリ至らなかった。
お試しじゃなくてしっかり切っておけばやれたかもしれない。
どの程度切れるのか分からないので浅めにしたのが仇となった。
「リュード、後ろ!」
ラストの爆発で遅れていたアリが立ち直ってリュードに向かっていた。
「痺れてろ!」
リュードが手を伸ばして襲いかかってくるアリに魔法を放つ。
もはやお馴染みの雷の魔法だ。
モロに魔法が直撃したアリは体が痺れて地面に落ちる。
これで死なないあたり、魔法に対する耐性もそれなりに高そうだと感じる。
「さっすがリュード!」
ラストが目一杯に引いた矢を放った。
目標はリュードが魔法で落として痺れているアリだ。
魔力を込めた一矢は真っ直ぐに飛んでいき、アリの頭のど真ん中に突き刺さる。
硬い外骨格を砕き中に入り、奥深くに矢が刺さった。
か細く鳴いて頭に矢が埋め込まれたアリが倒れる。
新しい弓を全力で引くと止められるものなどいないのではないかと錯覚するほどの高威力になる。
「逃すか!」
痺れさせたアリはラストに任せてリュードは胴体を切られて逃げるアリを追う。
飛んで逃げ出そうとする護衛アリに向かって飛び上がると体を回転させながら上に剣を振り上げる。
リュードが着地して、少し遅れてアリの頭が地面に落ちる。
さらに遅れて羽ばたきの止まったアリの胴体と地面に激突した。
「ラスト、ルフォンの方を頼むぞ!」
「りょーかい!」
これで二匹片付いたので残るは二匹。
ラストはつがえた矢をルフォンの戦うアリに向ける。
「まあ、心配なさそうだけどね」
見るとルフォンは危なげなく戦っていた。
残る二匹がルフォンの方に向かったというのに無理せず引きつけながら戦っていて、一匹はすでに羽と足を何本か切り落とされていた。
もうちょっと時間があればルフォンがそのまま二匹を制圧してしまいそうな雰囲気すらある
二匹とも全身切り傷だらけで無事なのもご自慢のアゴぐらいのものだ。
しかしご自慢のアゴもルフォンにはかすりもしない。
「ルフォン!」
「オッケー!」
ラストの声にルフォンが視線も返さずに返事する。
戦いの最中によそ見なんて出来ない。
けれど見ずともこれまで一緒に戦ってきた経験から何となくラストの行動は分かるし、声の位置から場所も把握できる。
ルフォンは巧みに一匹のアリの向きを誘導する。
ラストが頭を狙えるように戦いながら少しずつ場所を変えていく。
そしてルフォンが大きく横に飛んで場所を空けた瞬間ラストは矢から手を放した。
弓に魔力を込めるのを止めると弦が固くなり形を戻そうとする力が働いてより強く矢を打ち出す。
アリの頭に矢が刺さり、そして爆発する。
頭の一部が吹き飛んだアリは声を上げることもなく地面に倒れて動かなくなる。
「う、ううむ……」
岩の影に隠れて戦いの様子を見ていたデルデは思わず唸った。
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