人と希望を伝えて転生したのに竜人という最強種族だったんですが?〜世界はもう救われてるので美少女たちとのんびり旅をします〜

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第六章

冒険者にお任せあれ8

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「みんな、あと少しだ! 油断しないように!」

 少しずつ確実にミスリルリザードを倒していく。
 減っただけ楽になり、疲れはしたが戦いの経験は蓄積されて戦いやすくなる。

 ミスリルリザードが敵わないと判断して逃げ出そうとしたがもう遅かった。
 盾を持ったドワーフに囲まれて突破することもできず、他のミスリルリザードがやられてアタッカーの誰かが来るのを待つのみとなった。

「ふんっ!」

 二十七体目のミスリルリザードがダリルに殴り飛ばされて宙を舞う。
 その先にいたのはリュードだった

「リューちゃん!」

「リュードやっちゃえ!」

「あとは任せた!」

「最後なら、いいよな?」

 リュードが剣に魔力をまとわせる。
 終わりならと全力で剣に魔力を込めて、雷属性に変化させる。

 真横に走る雷の閃光。
 ミスリルリザードは真っ二つになって地面に落ちた。

「……終わりだ! 俺たちの勝利だ!」

 リュードが勝どきの声を上げるとドワーフたちが盾を放り投げて同じく喜びの声を上げる。
 魔物に対して負け続けだったドワーフにとっての初めての勝利である。

 結果死者はおらず、ミスリルリザードという貴重な魔物を大量にゲットすることもできた。
 喜びもひとしおである。
 
「だぁ……疲れた……」

 リュードはため息をつくように大きく息を吐き出した。
 疲労感が強く、休みたいところであるけれどもまだやることはある。
 
 周辺の警戒、調査やミスリルリザードの処理など気は抜けない。
 けれど頭を回しながら戦うことがこれほど疲れるものかとリュードは思った。

「お疲れ様」

「みんなもお疲れ様」

「素晴らしい戦いだったぞ!」

「お褒めに預かり光栄です」

「ほら、功労者を労ってやろう」

 ダリルがリュードの肩に手を置いて神聖力を流し込む。
 ぽわっと淡い光がリュードを包み込んで体の疲労が楽になっていく。

 頭が感じる疲労はまだ残っているけれど、かなり体が軽くなった。

「ありがとう、ダリル」

「あれだけのことをしていたのだ、これぐらいは当然だ」

 神聖力を持つ聖職者は神聖力による強化支援や回復が出来る。
 ユリディカは今回の戦いで回復の方に専念していてくれていたけれど、疾風の剣のメンバーを強化しながら戦うのが本来のスタイルである。

 リュードもいつかこうした神聖力を持つ仲間がいれば戦いの支援も戦闘中の回復も楽になるなと思った。

「みんな、ミスリルリザードを集めよう」

 リザーセツの指示をリュードが代わってドワーフに指示して戦後処理をした。
 ミスリルリザードをドワガルに運んで地面に血がついているので一度焼き払う。

 少量ならともかく大量の血ではそのままにすると他の魔物が寄ってきてしまうからだ。

「よし! 帰るぞ!」

 ミスリルリザードは素材になる。
 ロープでくくりつけてドワーフたちが引きずってドワガルまで運んだ。

 ミスリルリザードの解体そのものはドワーフたちに任せてリュードは宿に向かった。
 酒飲み勝負の後に激しく体を動かし、そして指示まで出しながら戦ったのだ、もう限界だった。

「俺は寝る……ドワーフが訪ねてきても起こさないでくれ」

「分かったよ、お疲れ」

 ケルタに訪ねてこようとするドワーフの処理をお願いしてリュードはベッドに倒れ込んだ。
 やっぱり疲れていたら寝るのがいい。

「はぁ……疲れた……」

 ーーーーー

 次の日ミスリルリザードの配分について話し合われた。
 ミスリルリザードは鉱山にいた魔物だけど、鉱山で倒したのではないから全ての権利が冒険者にあるのではない。

 参加したドワーフ側にも権利があって、盾を持って戦ってくれた貢献度は高い。
 なのでドワーフで半分、リュードたちで半分ということになった。

 疾風の剣とリュードたちでさらに半分となった。

「しかし……いったいなぜミスリルリザードはドワガルに……」

 ドワーフたちは勝利とミスリルリザードが手に入ったことに喜んでいるけど、リュードを始めとして冒険者たちの顔は明るくなかった。
 鉱山に一度棲みついたはずのミスリルリザードが移動するという異常が起きている。

 予測していなかった事態だ。
 ミスリルリザードがいた鉱山は今空なのか、それとも何か別のものがいるのか、調べるべきことが増えてしまった。

 まだ異常な事態が起こることも想定して、警戒を怠らず見回りを増やした。
 攻略に向かった冒険者たちの安否を不安に思っていたが、鉱山に向かっていた冒険者たちが帰ってきた。

 ミスリルリザードの鉱山とは違うところに行ったので不測の事態が起こってはいないだろうと思っていたけれど、やはり心配はあった。
 ただ冒険者たちも鉱山を奪還して帰ってきたのではなかった。

 向かった鉱山は広く、中にいた魔物も多かった。
 最後まで倒し切ることも出来なくはないけれど、無理はせずに一度戻って万全の備えをすることにしたのだ。

 戻ってきた冒険者にミスリルリザードの話をするとひどく驚いていた。
 ドワーフと協力したとはいえ残っていた人数でミスリルリザードを討伐し切ったのはにわかには信じ難い話だった。

「万全を期して動こう。時間はあるし焦ることはない」

 一つ状況に変化があった。
 どうするのか話し合って、今攻略している鉱山は奪還しきってしまい、ミスリルリザードの方の鉱山は改めて調査を行うことにした。

 ドワーフもちゃんと指揮を取れば戦えることがわかったので、ドワガルはリュードとドワーフに任せて、リュードたちは防衛第一で動くことになった。
 冒険者たちは疾風の剣も加わり、偵察などを得意とするパーティーがミスリルリザードの鉱山の調査に向かって、残りで鉱山を取り戻してしまうことにした。

 ちなみにダリルは単独だけどリュード組と見られていて、ついでにミスリルリザードもいらないと断っていた。
 ミスリルリザードが来てダリルも到着したのではなく、前回入れてもらえなかった反省を踏まえてさっさとドワガル前のキャンプで待機していたらしい。

 ちゃんと言ってあったので入れたのに、ちょっとした行き違いが生じてしまっていた。

「勝ったのなら祝杯をあげないとな!」

「お前たちだけでやってくれ……」

 リザーセツたち冒険者は方針をしっかり決めて攻略に出発した。
 そしてリュードはといえば祝杯の酒を片手にドワーフたちに迫られていた。

 リュードのおかげでミスリルリザードに勝てたのだと戦いに参加したドワーフたちは話して回った。
 ドワーフの力もあって戦いに勝利をしたのだから祝うのは当然である。

「ガハハっ! お前さんのおかげで勝てたのだ、当然お前さんがいなきゃならないだろ!」

 勝手に祝ってくれればいいのにドワーフたちはまたリュードを巻き込もうとする。
 鉱山の攻略に連れて行ってほしいと思わずにはいられないリュードなのであった。
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